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3 真実の愛を捧げる妻を見つけた夫(夫視点)

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 私とアナスタシアは恋愛結婚だとアナスタシアはずっと思っていたようだが、実はこれは仕組んだことだった。イーサ伯爵家は、父上が無謀な投資話に飛びつきすっかり散財していた。

「父上は愚か過ぎますよ! なんで投資したお金が数ヶ月で5倍になるなんて、荒唐無稽な話を信じたのですか?」

「いや、もとからイーサ伯爵家の領地で生産された陶器は人気がない。このままでは先細りして破綻すると思ったのだ。今こそ、一気にご先祖様の為にも盛り返してやろうと思ったのだ」

「バカは、むやみに動いたら火傷するんですよ」
 私は父上には聞こえないようにつぶやいた。

ーー仕方がない。起死回生には才能豊かな嫁をもらって稼いでもらおう。そういえば子爵家の次女のアナスタシアは、隣国に留学してデザイン学校を出た才女だったなぁ。容姿は中の下だからあまり食指は動かないが、背に腹はかえられない。

 私はアナスタシアに夜会のたびに話しかけ、偶然を装って外出先でばったり会ったように見せかけた。まるで運命の出会いのように演出したのさ。

 恋に免疫のないアナスタシアは、あっけないぐらい好きになってくれた。やっぱり冴えない女って簡単になびいてくれるから楽だよね?

 私が見込んだ通り彼女の才能はピカイチだった。たちまち彼女がデザインするティーカップ&ソーサーは大ヒットした。彼女の作品は、1客20万ルピアはくだらない芸術品として認められた。

 貴族達はステイタスの為にそんなばか高いティーカップ&ソーサーを10客も20客も買い占める。高位貴族達のお茶会やパーティーには必需品とされたイーサ伯爵家のティーカップはもう安泰だよ。

 そろそろを迎えたいと思っていた矢先、すっごい美女と出会えたのさ。金髪美女のエルサはなんとあの世界的に有名な『神秘のベールに包まれた謎の服飾デザイナーエルサ』だという。

 私は一目で恋に落ちたし、彼女の資産や才能を喉から手が出るほど欲しかった。美女で大金持ち、おまけにつきあってすぐに妊娠したと言われた。

 
「素晴らしい! 私のお飾り妻は、妊娠もできない冴えない女なのに君はすぐに妊娠できたんだね?」

「もちろんよ。この愛が真実である証拠ね? 結婚しましょうよ。奥さんと離婚して! あ、ところで私の経営する支店の従業員が先日お金を持ち逃げしてね。利息をつけて返すから30万ルピア貸してくれない?」

 ちょっと戸惑ったが貸してやると、一週後には35万ルピアにして返してくれた。少しだけ疑って悪かったと思う。それから60万ルピアを貸した時の理由はなんだったけかな? とにかく、貸すと65万ルピアを返してくれた。

「5万ルピアも一週間ぐらいで利子をつけてくれるなんて申し訳ないよ」

「あら、いいのよ。私達いずれ結婚するのですもの。私のお金はアランのものよ」

ーーなんていい女なんだ! 今度は1,000万ルピア貸してって言われたけれど、1,500万ルピアにして返してくれるらしい。優しい女だよね?

 だから私にアナスタシアは必要なくなった。両親に紹介して話しをしたら、すぐに嫁として認めてくれた。母上には高価なドレスを半額で譲ってくれたし、父上にも安くあのエルサブランドの服を売ってくれた。

 私はなんてラッキーな男なんだろう!

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※1ルピア=1円 
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