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6 モニカ視点
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(モニカ視点)
私はモニカ。マッキン侯爵家の一人娘で、カルヴァンは従兄弟にあたる。金髪碧眼の美しい従兄弟は私の自慢ではあるけれど、私には他に恋い焦がれる方がいる。それはアルベリク殿下。この国の第2王子殿下で容姿は目立たないけれど、とても知性の溢れる方なのよ。
私と4歳年上のアルベリク殿下との恋はまだ皆には知られていないけれどカルヴァンだけは知っていた。いろいろと相談に乗ってもらっていたし、カルヴァンとは学園で一緒にいることも多い。そのカルヴァンが恋をした。
「モニカ。わたしに好きな子ができたんだ」
カルヴァンの恋のお相手は学園でも悪目立ちするほど太った女の子だった。けれど顔立ちは上品でとても可愛い。
「リネータ様ねぇ。彼女は勿体ないわね。痩せればとても綺麗だと思うわ」
「いいや、今のままでも充分綺麗だよ」
「恋は盲目ね。カルヴァンが太った子が好きだなんて思わなかったわ」
「太っている子が好きというわけではないよ。たまたま好きになった子がぽっちゃりしていただけさ」
カルヴァンはそう言って照れたように笑った。美男子で有名な従兄弟がリネータ・エヴァーツ伯爵令嬢に好意を寄せるなんてあり得ないけれど、従兄弟の性格を考えれば納得するのよね。
昔から怪我をした動物の世話や困っている人達を助ける優しい性格だから、学園でバカにされて笑われているリネータ様を可哀想に思ったのだわ。
同情から愛情に変わることはよくあることだし、始まりはそうであってもカルヴァンはリネータ様が本当に好きみたい。
「クリスマスパーティに誘おうと思うんだ」
真っ赤な顔で私に教えてくれたカルヴァンは純粋な人よ。
「カルヴァンは素敵だから大丈夫よ。きっと、誘えばリネータ様もとても喜んでくれるわ」
だから、クリスマスパーティに一緒に行くことになったと聞いた時は、自分のことのように嬉しかった。
その数日後、カルヴァンの顔が暗い。おまけにクリスマスパーティには行かない、と言い出したのよ。
「彼女は血の繋がらない兄の面影をわたしに求めていたようなんだ。痩せて綺麗になったのは、兄に婚約者ができてショックのあまり食欲がなくなったからしいよ」
カルヴァンの説明に私は怒りを覚えたわ。痩せて綺麗になったからって、いきなりカルヴァンの心を弄ぶなんて上等だわよ!
私はリネータ様を学園内の裏庭に呼びつけることにしたわ。カルヴァンはすっかり落ち込んでいるのよ? リネータ様は可愛い顔をしているのにとんだ悪女だと思うわ。
「ねぇ、リネータ様。あなたは確かに痩せてとても美しくなりましたわね? ですが、心の美しさが消えてしまったのでは無くて? カルヴァンを弄ぼうとするなんて、身の程知らずでしてよ?」
私は人があまり来ない裏庭でリネータ様を責めた。
「弄ぶですか? 私が? そんなことはしていません。モニカ様こそカルヴァン様を振るなんて酷いと思いますわ。カルヴァン様ほど素敵な男性はいません。とても優しくて格好が良くて・・・・・・太っていた頃の私にもとても優しくしてくださいました。カルヴァン様は素晴らしい男性なのです。きっとモニカ様は後悔します。だから仲直りしてくださいませ」
「へっ?・・・・・・」
(あらまぁーー、これって。両想いじゃない!)
私はすれ違った想いを抱え込んでいる、この恋人になりそこねたカップルのキューピット役になることを決意したのだった。
私はモニカ。マッキン侯爵家の一人娘で、カルヴァンは従兄弟にあたる。金髪碧眼の美しい従兄弟は私の自慢ではあるけれど、私には他に恋い焦がれる方がいる。それはアルベリク殿下。この国の第2王子殿下で容姿は目立たないけれど、とても知性の溢れる方なのよ。
私と4歳年上のアルベリク殿下との恋はまだ皆には知られていないけれどカルヴァンだけは知っていた。いろいろと相談に乗ってもらっていたし、カルヴァンとは学園で一緒にいることも多い。そのカルヴァンが恋をした。
「モニカ。わたしに好きな子ができたんだ」
カルヴァンの恋のお相手は学園でも悪目立ちするほど太った女の子だった。けれど顔立ちは上品でとても可愛い。
「リネータ様ねぇ。彼女は勿体ないわね。痩せればとても綺麗だと思うわ」
「いいや、今のままでも充分綺麗だよ」
「恋は盲目ね。カルヴァンが太った子が好きだなんて思わなかったわ」
「太っている子が好きというわけではないよ。たまたま好きになった子がぽっちゃりしていただけさ」
カルヴァンはそう言って照れたように笑った。美男子で有名な従兄弟がリネータ・エヴァーツ伯爵令嬢に好意を寄せるなんてあり得ないけれど、従兄弟の性格を考えれば納得するのよね。
昔から怪我をした動物の世話や困っている人達を助ける優しい性格だから、学園でバカにされて笑われているリネータ様を可哀想に思ったのだわ。
同情から愛情に変わることはよくあることだし、始まりはそうであってもカルヴァンはリネータ様が本当に好きみたい。
「クリスマスパーティに誘おうと思うんだ」
真っ赤な顔で私に教えてくれたカルヴァンは純粋な人よ。
「カルヴァンは素敵だから大丈夫よ。きっと、誘えばリネータ様もとても喜んでくれるわ」
だから、クリスマスパーティに一緒に行くことになったと聞いた時は、自分のことのように嬉しかった。
その数日後、カルヴァンの顔が暗い。おまけにクリスマスパーティには行かない、と言い出したのよ。
「彼女は血の繋がらない兄の面影をわたしに求めていたようなんだ。痩せて綺麗になったのは、兄に婚約者ができてショックのあまり食欲がなくなったからしいよ」
カルヴァンの説明に私は怒りを覚えたわ。痩せて綺麗になったからって、いきなりカルヴァンの心を弄ぶなんて上等だわよ!
私はリネータ様を学園内の裏庭に呼びつけることにしたわ。カルヴァンはすっかり落ち込んでいるのよ? リネータ様は可愛い顔をしているのにとんだ悪女だと思うわ。
「ねぇ、リネータ様。あなたは確かに痩せてとても美しくなりましたわね? ですが、心の美しさが消えてしまったのでは無くて? カルヴァンを弄ぼうとするなんて、身の程知らずでしてよ?」
私は人があまり来ない裏庭でリネータ様を責めた。
「弄ぶですか? 私が? そんなことはしていません。モニカ様こそカルヴァン様を振るなんて酷いと思いますわ。カルヴァン様ほど素敵な男性はいません。とても優しくて格好が良くて・・・・・・太っていた頃の私にもとても優しくしてくださいました。カルヴァン様は素晴らしい男性なのです。きっとモニカ様は後悔します。だから仲直りしてくださいませ」
「へっ?・・・・・・」
(あらまぁーー、これって。両想いじゃない!)
私はすれ違った想いを抱え込んでいる、この恋人になりそこねたカップルのキューピット役になることを決意したのだった。
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