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オーブリー王女は多分、刺客?(ハンター皇帝視点)

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オーブリー王女を乗せた馬車がマリーベルン帝国に着いたとき、ハンター皇帝も出迎えるために薔薇の庭園にでていた。

薔薇の花がさっきから、やけに輝いて、いっそうかぐわしい香りを放っていた。

なんだ、これは?

いつも咲かない、気まぐれな白バラでさえ、大輪の花をめいいっぱい咲かせていた。

確か、午前中は枯れていたはずの薔薇まで、今を盛りに咲き誇るなんて、ありえん!!

と、思っていたら、オーブリー王女が侍女のリンダに手をひかれて馬車から降りてきた。

さぁーーと薔薇のかぐわしい香りがさらに宮殿の庭園いっぱいに広がり、薔薇の花がそよそよと嬉しそうに風に揺れていた。

艶やかな金髪のエメラルドの大きな瞳をもつ美女が、優雅にこちらに歩いてくる。

え?こんなに美しい姫を人質にしたのか?
この姫なら、いくらでも政略結婚のいい嫁ぎ先があるだろうに‥
トワイライト王国の王は大馬鹿なのか?

「トワイライト王国のオーブリーと申します。ところで、人質とはなにをすればいいものでしょうか?」
綺麗な鈴を振るような声も美しかった。

「いや、まぁ、なにもするな」
俺は努めてそっけなく言った。

この女は人質にしては美し過ぎる王女だ、何か裏があるのかも‥‥

実は王女のふりをした刺客とか‥‥?

「なにも?しなくていい?私、お掃除とお料理は得意です。特にパンは上手な方だと思うんです。明日の朝の皇帝のパンは私が焼いてもよろしいでしょうか?」

またまた、この美女は不思議なことを言い出すのだった。

変な女だな。
もしかして、ちょっと、頭がおかしいのかも?

王女がパンを焼くなんてありえないからな。

あ、それとも、そのパンに毒を仕込むとかか?

「君はなにもするな!パンは職人が焼くし掃除はメイドがする」

こんな女には関わらない方がいい。絶対だ。



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