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大貴族の護衛騎士がなんでここに? (カーター先生視点)

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 翌日、メイソンの保護者を教室で待っていたら、誰も来なかった。ジェイコブの方は、ダリア男爵も金持ちの時計店のオヤジも来ているのになぜだ? ダリア男爵が来たから校長までこのゲームに参加することになった。

「僕の両親はいないので、誰も来ません。それに、僕は、時計も盗っていないし、カンニングもしていません。」

 きっぱりと言い切り、私の目を見つめてきた。両親がいないだと? それならば、なにをしてもいいはずだ。

「正直に言いなさい。盗ったことは、わかっているんだ。体育の時間には、みんな校庭にいただろう? メイソンだけ、体育の帽子を取りに教室に戻ったよな? 最初から狙っていたのだろう? 親がいないのなら、腕時計は欲しいよな?」

 私は、詰め寄った。さぁ、泣け! 泣いて、許しを請え! 
だが、メイソンは口を一文字に結んだまま、まっすぐ前を見つめていた。
なんて、強いガキだ! この瞳は知っている。私は、学者養成学校でこんな瞳をした奴を何人か見たことがあった。

 そいつらは、みんな優秀で王室お抱えのお偉い学者様になったんだ。
今頃、王宮でふんぞり返っていることだろう。
くそっ! 忌々しい!

「こんな白状しない子はムチで叩いた方がいい! 折檻室に連れて行った方がいい! 保護者も来ないなんて、家庭でも放置された『いらない子』なのだろう!」

 ダリア男爵が、意地の悪い笑みを浮かべながら言った。良い案だ。日頃の鬱憤がこれで晴れそうだ。



*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:* 


 折檻室は、なにもない殺風景な部屋だ。ここは、生徒に体罰をする時の部屋で、軽いお仕置き部屋だ。

「もう一回、聞こうかな? メイソンは時計を盗ったんだろう?盗ったというまで叩いてやろう」

 私は、うきうきしながら質問した。

「いいえ。盗っていないものは盗ったとは言えません」

 なんて、潔い子供だ。認めれば、ムチの一回で済んだのに! まぁ、いいか・・・・・・何回も叩けるなんて最高だよ!

「これは、躾だ。まずは、私が叩こう」

 ダリア男爵が楽しげにムチを手に取った。あぁ、この方もストレス発散ができて嬉しそな顔をしていた。

「「さぁ、歯を食いしばれ!」」

 ダリア男爵と私は、ハモりながら叫んだ。

  ビシ!!

 大きな音とともに、メイソンの背中が赤く傷つき血がにじんだ。

あっははは。このムチは子供用にしては威力がある。

「今度は、私の番です!」

 私が、ムチを手に取り振り下ろそうとした瞬間、誰かが私を後ろから羽交い締めにしやがった。

「な、なにをする! 離せ! 離せってばっつ!」

 振り返ると、大貴族の護衛騎士が5人も後ろに立っていた。

 おまけにその一人が、メイソンに駆け寄ってこう言ったのだった。

「メイソン様、大丈夫ですか? 今、すぐにカトレーネ・トマス前公爵夫人とトマス公爵夫妻がいらっしゃいますからね!」

 は? どういうことだ? 

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