34 / 53
大貴族の護衛騎士がなんでここに? (カーター先生視点)
しおりを挟む
翌日、メイソンの保護者を教室で待っていたら、誰も来なかった。ジェイコブの方は、ダリア男爵も金持ちの時計店のオヤジも来ているのになぜだ? ダリア男爵が来たから校長までこのゲームに参加することになった。
「僕の両親はいないので、誰も来ません。それに、僕は、時計も盗っていないし、カンニングもしていません。」
きっぱりと言い切り、私の目を見つめてきた。両親がいないだと? それならば、なにをしてもいいはずだ。
「正直に言いなさい。盗ったことは、わかっているんだ。体育の時間には、みんな校庭にいただろう? メイソンだけ、体育の帽子を取りに教室に戻ったよな? 最初から狙っていたのだろう? 親がいないのなら、腕時計は欲しいよな?」
私は、詰め寄った。さぁ、泣け! 泣いて、許しを請え!
だが、メイソンは口を一文字に結んだまま、まっすぐ前を見つめていた。
なんて、強いガキだ! この瞳は知っている。私は、学者養成学校でこんな瞳をした奴を何人か見たことがあった。
そいつらは、みんな優秀で王室お抱えのお偉い学者様になったんだ。
今頃、王宮でふんぞり返っていることだろう。
くそっ! 忌々しい!
「こんな白状しない子はムチで叩いた方がいい! 折檻室に連れて行った方がいい! 保護者も来ないなんて、家庭でも放置された『いらない子』なのだろう!」
ダリア男爵が、意地の悪い笑みを浮かべながら言った。良い案だ。日頃の鬱憤がこれで晴れそうだ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
折檻室は、なにもない殺風景な部屋だ。ここは、生徒に体罰をする時の部屋で、軽いお仕置き部屋だ。
「もう一回、聞こうかな? メイソンは時計を盗ったんだろう?盗ったというまで叩いてやろう」
私は、うきうきしながら質問した。
「いいえ。盗っていないものは盗ったとは言えません」
なんて、潔い子供だ。認めれば、ムチの一回で済んだのに! まぁ、いいか・・・・・・何回も叩けるなんて最高だよ!
「これは、躾だ。まずは、私が叩こう」
ダリア男爵が楽しげにムチを手に取った。あぁ、この方もストレス発散ができて嬉しそな顔をしていた。
「「さぁ、歯を食いしばれ!」」
ダリア男爵と私は、ハモりながら叫んだ。
ビシ!!
大きな音とともに、メイソンの背中が赤く傷つき血がにじんだ。
あっははは。このムチは子供用にしては威力がある。
「今度は、私の番です!」
私が、ムチを手に取り振り下ろそうとした瞬間、誰かが私を後ろから羽交い締めにしやがった。
「な、なにをする! 離せ! 離せってばっつ!」
振り返ると、大貴族の護衛騎士が5人も後ろに立っていた。
おまけにその一人が、メイソンに駆け寄ってこう言ったのだった。
「メイソン様、大丈夫ですか? 今、すぐにカトレーネ・トマス前公爵夫人とトマス公爵夫妻がいらっしゃいますからね!」
は? どういうことだ?
「僕の両親はいないので、誰も来ません。それに、僕は、時計も盗っていないし、カンニングもしていません。」
きっぱりと言い切り、私の目を見つめてきた。両親がいないだと? それならば、なにをしてもいいはずだ。
「正直に言いなさい。盗ったことは、わかっているんだ。体育の時間には、みんな校庭にいただろう? メイソンだけ、体育の帽子を取りに教室に戻ったよな? 最初から狙っていたのだろう? 親がいないのなら、腕時計は欲しいよな?」
私は、詰め寄った。さぁ、泣け! 泣いて、許しを請え!
だが、メイソンは口を一文字に結んだまま、まっすぐ前を見つめていた。
なんて、強いガキだ! この瞳は知っている。私は、学者養成学校でこんな瞳をした奴を何人か見たことがあった。
そいつらは、みんな優秀で王室お抱えのお偉い学者様になったんだ。
今頃、王宮でふんぞり返っていることだろう。
くそっ! 忌々しい!
「こんな白状しない子はムチで叩いた方がいい! 折檻室に連れて行った方がいい! 保護者も来ないなんて、家庭でも放置された『いらない子』なのだろう!」
ダリア男爵が、意地の悪い笑みを浮かべながら言った。良い案だ。日頃の鬱憤がこれで晴れそうだ。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
折檻室は、なにもない殺風景な部屋だ。ここは、生徒に体罰をする時の部屋で、軽いお仕置き部屋だ。
「もう一回、聞こうかな? メイソンは時計を盗ったんだろう?盗ったというまで叩いてやろう」
私は、うきうきしながら質問した。
「いいえ。盗っていないものは盗ったとは言えません」
なんて、潔い子供だ。認めれば、ムチの一回で済んだのに! まぁ、いいか・・・・・・何回も叩けるなんて最高だよ!
「これは、躾だ。まずは、私が叩こう」
ダリア男爵が楽しげにムチを手に取った。あぁ、この方もストレス発散ができて嬉しそな顔をしていた。
「「さぁ、歯を食いしばれ!」」
ダリア男爵と私は、ハモりながら叫んだ。
ビシ!!
大きな音とともに、メイソンの背中が赤く傷つき血がにじんだ。
あっははは。このムチは子供用にしては威力がある。
「今度は、私の番です!」
私が、ムチを手に取り振り下ろそうとした瞬間、誰かが私を後ろから羽交い締めにしやがった。
「な、なにをする! 離せ! 離せってばっつ!」
振り返ると、大貴族の護衛騎士が5人も後ろに立っていた。
おまけにその一人が、メイソンに駆け寄ってこう言ったのだった。
「メイソン様、大丈夫ですか? 今、すぐにカトレーネ・トマス前公爵夫人とトマス公爵夫妻がいらっしゃいますからね!」
は? どういうことだ?
1
お気に入りに追加
3,783
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
【完結】堕ちた令嬢
マー子
恋愛
・R18・無理矢理?・監禁×孕ませ
・ハピエン
※レイプや陵辱などの表現があります!苦手な方は御遠慮下さい。
〜ストーリー〜
裕福ではないが、父と母と私の三人平凡で幸せな日々を過ごしていた。
素敵な婚約者もいて、学園を卒業したらすぐに結婚するはずだった。
それなのに、どうしてこんな事になってしまったんだろう⋯?
◇人物の表現が『彼』『彼女』『ヤツ』などで、殆ど名前が出てきません。なるべく表現する人は統一してますが、途中分からなくても多分コイツだろう?と温かい目で見守って下さい。
◇後半やっと彼の目的が分かります。
◇切ないけれど、ハッピーエンドを目指しました。
◇全8話+その後で完結
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
旦那様は私に隠れて他の人と子供を育てていました
榎夜
恋愛
旦那様が怪しいんです。
私と旦那様は結婚して4年目になります。
可愛い2人の子供にも恵まれて、幸せな日々送っていました。
でも旦那様は.........
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる
ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。
正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。
そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる