（本編）カトレーネ・トマス前々公爵夫人の事件簿

タタラン女伯爵の夫/ムッシュ女子爵の夫（浮気夫の言い分）

*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟタタラン女伯爵の夫の場合*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ

　私はキンバリー・タタラン女伯爵の夫のベントレーだ。キンバリーのことは変わらず好きだ。ただ、マンネリ化というか家族のようになってしまい、恋人という感じではなくなってしまった。妻は仕事があって社交界のつきあいもあり、大忙しなのでそもそも二人の時間がもてない。もてたとしても、妻の愚痴を聞かされる事が多い。

　夫婦生活も段々なくなり、男としての存在価値に不安を感じていた。性欲はあるが、妻には向かない。しっかり者の妻は、私より有能で大きな存在すぎて萎縮してしまうのもあるのかもしれない。


　そんな時に、ミランダと出会った。オレンジ色の鮮やかな髪に蜂蜜色の瞳がキラキラ輝く。一目惚れだった。きっちりした妻にはない大胆な性の解放に虜にもなった。妻にはできないことも許してくれる最高の女だと思った。

「カトレーネ・トマス前公爵夫人から屋敷をもらったのよ。遊びに来ない？」

　カトレーネ・トマス前公爵夫人は社交界のドン的存在だ。タタラン家は彼女の派閥に入っている。ということは、現トマス公爵夫人のミランダと仲良くしておくことはタタラン家の為にもなるはずだ。これは、私しかできない仕事ではないか！

　精一杯、現トマス公爵夫人に奉仕しよう。



*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟムッシュ女子爵の夫の場合*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ



　私は、ロンドン・ムッシュ女子爵の夫のナサニエルだ。妻のロンドンはくちやかましい女性だ。子供が3人もいれば子供中心になるのは仕方ないが、わたしはそのペットの犬以下な気がする。

　義理の両親と住んでいるが、ロンドンは実の母親と仲が悪くその愚痴を私にぶつける。子供のできが悪いこともなぜか私のせいだと言う。お前が産んだんだろ？お前の血のせいじゃないか！　心の中で毒づく。

　むかつく！　むかつく！　屋敷の中では従順な婿養子の顔を貼り付ける。しかし、このクソ嫁に復讐してやりたいなと思う。

　そんな時に、ミランダと会った。この女こそは、私の運命の女だと思う。美しいし、体の相性もバッチリだ。この女に出会うために俺は生きてきたのだと実感した。

　クソ嫁よ、ざまあみろ！　俺は今、運命の女と出会って幸せの絶頂だぞ！　もう、ロンドンが愚痴をこぼそうとも、子供にバカにされようとも、飼い犬に吠えられようとも気にはならない。

　愛する女神様に感謝します！