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4 スワンは戦姫? そして俺は種馬なの?(チャーリー王子殿下視点)
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俺様はなぜこれほど父親に殴られているのかわからない。スワンの奴はキャラメルホイップ伯爵家にいるからただの伯爵令嬢だ。実は絶世の美女だったことを隠していたのは、きっと俺様以外にその素晴らしい美貌を見せたくなかったからに違いない。それか結婚してから俺をびっくりさせようとしたサプライズプレゼント的なもの?
どちらにしても、ピンクナなど足下にも及ばないほどの美しさ! 俺はこれほどの美女を今まで生きてきてはじめて見たんだ。
「スワン! お前が頼むならゆるひてひゃろう(許してやろう)。婚約破棄はとりけひ(取り消し)だ。それほどの美貌をかくひていた(隠していた)お前がわるひ(悪い)。このワーズワース国の王子の妃ににゃれる(なれる)のだ。喜べ!」
俺はできるだけ威厳を保てるようにゆっくりと立ち上がった。
「取り消していただく必要はありません。それからチャーリー王子殿下、ずっと間違っておられるので今更ですがひとつ訂正してさしあげますわ。私が王子の妃になるのではなく、あなたがカートレット公国に婿入りするのですよ。まぁ、その予定はなくなりましたけれどね!」
「ふぇ? 婿入り? カートレット公国? ……父上! 俺は第3王子でしゅ(です)が第1王子の兄上はおたふく風邪の後遺症で子供ができにゃい(できない)し第2王子の兄上は病弱でしゅ(です)よね? このワーズワース国は俺が国王になるはずでしゅ(です)。しょう(そう)でしょう?」
俺は頭が混乱していた。
――だって、俺はイケメンで運動神経もよくて身体も丈夫だ。王になる器は充分に兼ね備えているじゃないか!
「貴様はカートレット公国に婿入りさせていただく種馬だっ! 頭はアレだが身体だけは丈夫で元気。頭はアレだが運動神経も良いから竜にも乗れそう。だから、婿入りさせていただく光栄を承ったのだ! スワン様はカートレット大公の唯一の跡継ぎ、この方は文武両道に秀でた戦姫。竜を乗りこなし、戦場を駆け巡り……要は婿などお飾りにすぎん。ゆえに、見栄えがよく頭はアレなお前でも大丈夫かと……」
――え? えぇえぇえぇええええ~~! そんなことは初耳だ! 俺が種馬? というか、さっきから俺、頭がアレって言われてるけどぉおおおお~~。実の父と言えどあまりに失礼だ!
「頭はアレ、アレなどと連呼しゅる(する)のはやめひゃくらはい(やめてください)! 俺はそんなにバカひゃない(じゃない)!」
歯が数本抜けたようでうまくしゃべれないし、どうにも腫れ上がった頬が痛い。
そして次の瞬間、びっくりすることが起きた。
「さてっと、ちょっと失礼? ジェイコブ様、お手を拝借しますわよっと!」
スワンは優雅にその美しい瞳を細めると、ジェイコブの腕をあっという間にひねり上げ大理石の床に勢いよく叩きつけた。
「やっぱり、ほら? やられたことはやり返さないとねぇ?」
艶やかな笑顔はその場の貴族達を魅了したが、床に叩きつけられたジェイコブは鼻血をだして肘と膝から血が流れていた。
「痛い、痛いよぉ~~。血が出ているじゃないかっ! なんてことだ! 医者を呼んでくれ! 死ぬかもしれない。こんなに血を流したことなんてないのにいぃいぃいぃいぃ~~」
鼻血を吹き出し肘からだらだらと血が流れているところを見ればかなり深い傷のようだ。
だが、スワンをそれを見て鼻で笑った。
「ばっかばかしい。男のくせに! そんなの怪我のうちにもはいりませんわっ! そんなかすり傷で死んだら奇跡です」
プラチナブロンドの女神のごときスワンの眼差しはジェイコブを小馬鹿にしたように見つめていたのだった。
――えぇええええええぇぇぇぇええ~~! この怪力女って本当にスワンなのぉおおおおお?
どちらにしても、ピンクナなど足下にも及ばないほどの美しさ! 俺はこれほどの美女を今まで生きてきてはじめて見たんだ。
「スワン! お前が頼むならゆるひてひゃろう(許してやろう)。婚約破棄はとりけひ(取り消し)だ。それほどの美貌をかくひていた(隠していた)お前がわるひ(悪い)。このワーズワース国の王子の妃ににゃれる(なれる)のだ。喜べ!」
俺はできるだけ威厳を保てるようにゆっくりと立ち上がった。
「取り消していただく必要はありません。それからチャーリー王子殿下、ずっと間違っておられるので今更ですがひとつ訂正してさしあげますわ。私が王子の妃になるのではなく、あなたがカートレット公国に婿入りするのですよ。まぁ、その予定はなくなりましたけれどね!」
「ふぇ? 婿入り? カートレット公国? ……父上! 俺は第3王子でしゅ(です)が第1王子の兄上はおたふく風邪の後遺症で子供ができにゃい(できない)し第2王子の兄上は病弱でしゅ(です)よね? このワーズワース国は俺が国王になるはずでしゅ(です)。しょう(そう)でしょう?」
俺は頭が混乱していた。
――だって、俺はイケメンで運動神経もよくて身体も丈夫だ。王になる器は充分に兼ね備えているじゃないか!
「貴様はカートレット公国に婿入りさせていただく種馬だっ! 頭はアレだが身体だけは丈夫で元気。頭はアレだが運動神経も良いから竜にも乗れそう。だから、婿入りさせていただく光栄を承ったのだ! スワン様はカートレット大公の唯一の跡継ぎ、この方は文武両道に秀でた戦姫。竜を乗りこなし、戦場を駆け巡り……要は婿などお飾りにすぎん。ゆえに、見栄えがよく頭はアレなお前でも大丈夫かと……」
――え? えぇえぇえぇええええ~~! そんなことは初耳だ! 俺が種馬? というか、さっきから俺、頭がアレって言われてるけどぉおおおお~~。実の父と言えどあまりに失礼だ!
「頭はアレ、アレなどと連呼しゅる(する)のはやめひゃくらはい(やめてください)! 俺はそんなにバカひゃない(じゃない)!」
歯が数本抜けたようでうまくしゃべれないし、どうにも腫れ上がった頬が痛い。
そして次の瞬間、びっくりすることが起きた。
「さてっと、ちょっと失礼? ジェイコブ様、お手を拝借しますわよっと!」
スワンは優雅にその美しい瞳を細めると、ジェイコブの腕をあっという間にひねり上げ大理石の床に勢いよく叩きつけた。
「やっぱり、ほら? やられたことはやり返さないとねぇ?」
艶やかな笑顔はその場の貴族達を魅了したが、床に叩きつけられたジェイコブは鼻血をだして肘と膝から血が流れていた。
「痛い、痛いよぉ~~。血が出ているじゃないかっ! なんてことだ! 医者を呼んでくれ! 死ぬかもしれない。こんなに血を流したことなんてないのにいぃいぃいぃいぃ~~」
鼻血を吹き出し肘からだらだらと血が流れているところを見ればかなり深い傷のようだ。
だが、スワンをそれを見て鼻で笑った。
「ばっかばかしい。男のくせに! そんなの怪我のうちにもはいりませんわっ! そんなかすり傷で死んだら奇跡です」
プラチナブロンドの女神のごときスワンの眼差しはジェイコブを小馬鹿にしたように見つめていたのだった。
――えぇええええええぇぇぇぇええ~~! この怪力女って本当にスワンなのぉおおおおお?
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