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5 パーティで婚約破棄されて、おまけに・・・・・・(カサンドラ視点)
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パーティー会場の女性達は、私を見ると一瞬、驚いた顔をしたけれど、すぐに目を逸らした。
「この色が着こなせるのはカサンドラだけだね。素晴らしく似合っているよ」
ライザック様がおっしゃるから、少し得意だった私は一層、見せびらかすようにくるくると踊りながら移動した。
「うん、君の心の色と同じだから、すごくしっくりくるんだね」
え? なんですって? 心の色・・・・・・どういう意味なのかしら?
ライザック様の横には、マリーアンが来て嬉しそうにライザック様に微笑みかけた。
「ちょっと! 私の婚約者に色目を使うのはお止めになって! 全く、マリーアンは無神経な性悪な女よね?」
「あぁ、そのことだけれどね。カサンドラ・マリモ公爵令嬢! 私は、貴女と婚約破棄をする!」
ライザック様が、私を睨み付けておっしゃった。
はぁ? なにを、いきなり、おっしゃっているのかしら・・・・・・あぁ、わかったわ。マリーアンに言い寄られたのだわ、きっと、そうだわ。
「マリーアン様! 酷い人ね! なぜ、人の婚約者を奪うようなことをするのよ! 貴女も高位貴族なのだから、自分の身分に恥じない行動をなさいな!」
私は、公爵令嬢らしく背筋を伸ばして毅然とした口調で言った。うふふ、決まったわ! どうよ、私のセリフは、とても道理にあっているでしょう?
「あっはははは。傑作だよ。カサンドラ! 貴女は、とてもジョークがうまいよ。ブラックジョークな気がするけどね。自分のした行動を棚に上げてのその言葉は、正直笑えないけれどね」
なぜ、ライザック様は笑うのかしら。ここは、感動するところでしょう?
私が首を傾げていると、あの子犬を抱いたレナル寮長が、こちらに歩いてくるのが見えた。あぁ、寮長が保護してくれていたのね。
「まぁーー。探したのよ? ワンちゃん、可愛い子! 寮長様、この子犬は怪我をしていたので助けて・・・・・・」
「苦しい嘘だな。この子犬は、私が見た時より、傷だらけで弱っているじゃないか。貴女は、弱い者虐めが大好きなようだね」
ふん! うるさいわね・・・・・・たかが、犬のことで騒がないでよ・・・・・・
「あぁ、この子はそそっかしいのです。自分で転んだり、勝手に怪我をするのですよ。いつも、この子を見張っているわけにもいきませんわ。やんちゃで困ってしまいます」
私は、眉尻をさげて、ため息をつきながら、笑って誤魔化そうとした。
「この子犬は私の子犬ですわ。カサンドラ様は動物が大嫌いなのでしょう?」
マリーアンが、話に割って入ってきて、私に失礼なことを言うから、むかついたわ。
「はぁ? マリーアンが虐めていたところを私が助けたのでしょう? 人の婚約者にちょっかい出すうえに、大嘘つきなのね? お父様に言って、あんたの家なんてつぶしてやるわ!」
私が、声高に言うのと、レナル寮長が子犬を放すのと同時だった。
その子犬は、迷わず、マリーアンのところに行き、その手をペロペロなめながら、嬉しげに尻尾を振ったのだった。
「動物は正直ですからねぇーー」
レナル寮長が、そう言うと、周りにいた生徒達が一斉に、私に白い目を向けた。
「「「あの子犬を怪我させたのはカサンドラ様だってこと? なんて、酷いの!」」」
「「「あの子犬、傷だらけよ? 可哀想に・・・・・・足だって引きづってるもの・・・・・・カサンドラ様って最低ね」」」
「「「うわぁーー。まじで、そんな女は婚約者にはできないよなぁ。だって、犬を虐待するなら子供までしそうだろ?」」」
「「「うん、うん。怖い女だよね? 私も、カサンドラ様だけは婚約者にしたくないよ」」」
そんな、ひそひそ声が聞こえてきたのだった。これって、私、終わった・・・・・・かんじ・・・・・・かしら?
卒業後、マリーアンはライザック様と婚約し、私に婚約者ができることはなかった。
私は、社交界では、これ以降『ネズミ公爵令嬢』と言われるようになったのだった。
あのドレスの色のせいよ! あれは、ネズミ色じゃないわよ! グレーなのに・・・・・・
酷くない? たかが、犬を殴っただけで・・・・・・この世界は間違ってるわよね?
完
「この色が着こなせるのはカサンドラだけだね。素晴らしく似合っているよ」
ライザック様がおっしゃるから、少し得意だった私は一層、見せびらかすようにくるくると踊りながら移動した。
「うん、君の心の色と同じだから、すごくしっくりくるんだね」
え? なんですって? 心の色・・・・・・どういう意味なのかしら?
ライザック様の横には、マリーアンが来て嬉しそうにライザック様に微笑みかけた。
「ちょっと! 私の婚約者に色目を使うのはお止めになって! 全く、マリーアンは無神経な性悪な女よね?」
「あぁ、そのことだけれどね。カサンドラ・マリモ公爵令嬢! 私は、貴女と婚約破棄をする!」
ライザック様が、私を睨み付けておっしゃった。
はぁ? なにを、いきなり、おっしゃっているのかしら・・・・・・あぁ、わかったわ。マリーアンに言い寄られたのだわ、きっと、そうだわ。
「マリーアン様! 酷い人ね! なぜ、人の婚約者を奪うようなことをするのよ! 貴女も高位貴族なのだから、自分の身分に恥じない行動をなさいな!」
私は、公爵令嬢らしく背筋を伸ばして毅然とした口調で言った。うふふ、決まったわ! どうよ、私のセリフは、とても道理にあっているでしょう?
「あっはははは。傑作だよ。カサンドラ! 貴女は、とてもジョークがうまいよ。ブラックジョークな気がするけどね。自分のした行動を棚に上げてのその言葉は、正直笑えないけれどね」
なぜ、ライザック様は笑うのかしら。ここは、感動するところでしょう?
私が首を傾げていると、あの子犬を抱いたレナル寮長が、こちらに歩いてくるのが見えた。あぁ、寮長が保護してくれていたのね。
「まぁーー。探したのよ? ワンちゃん、可愛い子! 寮長様、この子犬は怪我をしていたので助けて・・・・・・」
「苦しい嘘だな。この子犬は、私が見た時より、傷だらけで弱っているじゃないか。貴女は、弱い者虐めが大好きなようだね」
ふん! うるさいわね・・・・・・たかが、犬のことで騒がないでよ・・・・・・
「あぁ、この子はそそっかしいのです。自分で転んだり、勝手に怪我をするのですよ。いつも、この子を見張っているわけにもいきませんわ。やんちゃで困ってしまいます」
私は、眉尻をさげて、ため息をつきながら、笑って誤魔化そうとした。
「この子犬は私の子犬ですわ。カサンドラ様は動物が大嫌いなのでしょう?」
マリーアンが、話に割って入ってきて、私に失礼なことを言うから、むかついたわ。
「はぁ? マリーアンが虐めていたところを私が助けたのでしょう? 人の婚約者にちょっかい出すうえに、大嘘つきなのね? お父様に言って、あんたの家なんてつぶしてやるわ!」
私が、声高に言うのと、レナル寮長が子犬を放すのと同時だった。
その子犬は、迷わず、マリーアンのところに行き、その手をペロペロなめながら、嬉しげに尻尾を振ったのだった。
「動物は正直ですからねぇーー」
レナル寮長が、そう言うと、周りにいた生徒達が一斉に、私に白い目を向けた。
「「「あの子犬を怪我させたのはカサンドラ様だってこと? なんて、酷いの!」」」
「「「あの子犬、傷だらけよ? 可哀想に・・・・・・足だって引きづってるもの・・・・・・カサンドラ様って最低ね」」」
「「「うわぁーー。まじで、そんな女は婚約者にはできないよなぁ。だって、犬を虐待するなら子供までしそうだろ?」」」
「「「うん、うん。怖い女だよね? 私も、カサンドラ様だけは婚約者にしたくないよ」」」
そんな、ひそひそ声が聞こえてきたのだった。これって、私、終わった・・・・・・かんじ・・・・・・かしら?
卒業後、マリーアンはライザック様と婚約し、私に婚約者ができることはなかった。
私は、社交界では、これ以降『ネズミ公爵令嬢』と言われるようになったのだった。
あのドレスの色のせいよ! あれは、ネズミ色じゃないわよ! グレーなのに・・・・・・
酷くない? たかが、犬を殴っただけで・・・・・・この世界は間違ってるわよね?
完
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