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11 断罪のはじまりー3 (オクタビアス視点)
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「実は、このオマリ伯爵家の乗っ取りは、妻と結婚する前から考えていたものです。私の妻の父親は、私が文官であった頃の上司でして、義理堅く人情家でした。そこでチンピラを雇い上司を襲わせ、私が助けにはいり傷を負いました。ほら、背中に大きな傷があるでしょう?」
私は服をめくり、背中をコクオに見せた。斜めに長く切られた傷跡は今でも醜く残っていた。
「あぁ、ほんとだ! かなり大きいな! さぞ、血も出たことだろう?」
「えぇ、でもこの傷で一生働かずに楽ができると思えば、痛さも我慢できましたよ。私は貧乏準男爵の四男ですから、もともと伯爵家の婿になるほどの身分もなかったのです。でも、上司を命がけで庇ったことで娘婿に迎えてくれました。アーソリンも私のことを好きになってくれました。上司は涙を流しながら感謝するし、同僚からは尊敬の眼差しで見られて気分が良かったなぁ」
私は自慢げにそう言うと、さらに極上の酒を一口含む。
「しかし、働き者の上司と妻は、邪魔なだけだったな。あいつらは私に感謝して腫れ物に触るように扱ってくれましたが、あいつらには休日がないんです。いつでも、王宮での仕事と領地の民のことばかり考えており、酒も飲まず賭け事もしない。つまらない人間だったなぁ。妻は仕事以外でも絵画を描き、それも趣味と言うより仕事になって・・・・・・観劇やオペラにも行かず部屋にこもりっきりだった。辛気くさくてかなわない。で、順番に殺したんです」
「殺した? 順番に? どうやって殺したのかね? 楽しい話はできるだけ詳しいほうが嬉しいな」
コクオがニヤリと笑い、私は友人になれそうだと嬉しくなった。大金持ちの友人が以前からほしかったのさ。なんでもくれる気前の良い友人って最高だ。
「植物からとった毒を薄めて、それを飲み物にいれてやりました。少しづつ弱るようにしないとバレますからね。はじめはなんの症状もないけれど次第に、消化器障害がおきはじめます。吐き気や嘔吐に悩まされ、全身が痛み出す。あの父親はわりにしぶとくて死ぬまでにずいぶん時間がかかりましたよ。ばばぁの方は、わりとあっけなかったなぁ。もしかしたら、濃度が濃すぎたのかもしれません。観察日記もつけながら、毒の作用を研究する日々は楽しかった!」
「ほぉーー。そのような人体実験めいたことをしていたとは! その観察日記とやらはあるのかね? ぜひ、見たいものだ」
「ありますとも! 今、持って来ます。・・・・・・おぉっと、これは貴重な医学的資料になるでしょう? ただで見せるわけにはいきませんよ」
こんな貴重なものをただで見せようとした自分に気がつき、自分の欲のなさに情けなくなった。もっと、貪欲にならないといけない。
「100万バギーで、セットで売りましょう! 医学の進歩に役立ててください。死んだ前々オマリ伯爵夫妻も泣いて喜ぶでしょう。あぁ、アーソリンは別の毒で実験したんだった。それもいりますか?」
私の言葉にコクオは目を輝かせた。こいつも私と同じ種類の人間だな。もっと早く知り合っていれば、いろいろな実験ができたのに。残念だな・・・・・・
私は服をめくり、背中をコクオに見せた。斜めに長く切られた傷跡は今でも醜く残っていた。
「あぁ、ほんとだ! かなり大きいな! さぞ、血も出たことだろう?」
「えぇ、でもこの傷で一生働かずに楽ができると思えば、痛さも我慢できましたよ。私は貧乏準男爵の四男ですから、もともと伯爵家の婿になるほどの身分もなかったのです。でも、上司を命がけで庇ったことで娘婿に迎えてくれました。アーソリンも私のことを好きになってくれました。上司は涙を流しながら感謝するし、同僚からは尊敬の眼差しで見られて気分が良かったなぁ」
私は自慢げにそう言うと、さらに極上の酒を一口含む。
「しかし、働き者の上司と妻は、邪魔なだけだったな。あいつらは私に感謝して腫れ物に触るように扱ってくれましたが、あいつらには休日がないんです。いつでも、王宮での仕事と領地の民のことばかり考えており、酒も飲まず賭け事もしない。つまらない人間だったなぁ。妻は仕事以外でも絵画を描き、それも趣味と言うより仕事になって・・・・・・観劇やオペラにも行かず部屋にこもりっきりだった。辛気くさくてかなわない。で、順番に殺したんです」
「殺した? 順番に? どうやって殺したのかね? 楽しい話はできるだけ詳しいほうが嬉しいな」
コクオがニヤリと笑い、私は友人になれそうだと嬉しくなった。大金持ちの友人が以前からほしかったのさ。なんでもくれる気前の良い友人って最高だ。
「植物からとった毒を薄めて、それを飲み物にいれてやりました。少しづつ弱るようにしないとバレますからね。はじめはなんの症状もないけれど次第に、消化器障害がおきはじめます。吐き気や嘔吐に悩まされ、全身が痛み出す。あの父親はわりにしぶとくて死ぬまでにずいぶん時間がかかりましたよ。ばばぁの方は、わりとあっけなかったなぁ。もしかしたら、濃度が濃すぎたのかもしれません。観察日記もつけながら、毒の作用を研究する日々は楽しかった!」
「ほぉーー。そのような人体実験めいたことをしていたとは! その観察日記とやらはあるのかね? ぜひ、見たいものだ」
「ありますとも! 今、持って来ます。・・・・・・おぉっと、これは貴重な医学的資料になるでしょう? ただで見せるわけにはいきませんよ」
こんな貴重なものをただで見せようとした自分に気がつき、自分の欲のなさに情けなくなった。もっと、貪欲にならないといけない。
「100万バギーで、セットで売りましょう! 医学の進歩に役立ててください。死んだ前々オマリ伯爵夫妻も泣いて喜ぶでしょう。あぁ、アーソリンは別の毒で実験したんだった。それもいりますか?」
私の言葉にコクオは目を輝かせた。こいつも私と同じ種類の人間だな。もっと早く知り合っていれば、いろいろな実験ができたのに。残念だな・・・・・・
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