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おまけ……なにもしなかった夫の末路 ꕤ୭* 残酷指数10段階の7くらい。ご注意くださいませ。

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★ イアン視点

 賎民になるということは家畜以下ということだ。死んでも埋葬もされず、犬や猫より下の存在。その証明は腕につけられる焼きごてだ。

 赤く熱した焼きごてがジュウジュウと音をたてて、私の腕に押しつけられた。

「うぎゃぁーあーぁーー! ぎゃぁあああああーー」

 そのすさまじい痛み気絶した。高熱が三日続き、治まったところで汚い馬車に乗せられて鉱山へと向かう。おかしなことに裁判所の監視も護衛騎士さえいない。若い御者が一人だけで、鉱山への長い道のりを行くなんて無謀だと思った。

 私達が乗った馬車は平民街の途中で、大勢の男達と女達に止められた。よく見れば見知っている顔ぶればかりだ。

「ヴィセンテ男爵さまぁーー。ほら俺だよ? 罪を着せられて辞めさせられたトーマスを覚えていますかぁーー?」

「ウェンディさまぁーー。貴女に意地悪されて泥棒扱いされたカザリンです。あれから私はどこにも雇ってもらえず、子供は餓死したんですよ? 貴女の気分転換の従業員虐めで、一家心中した人もいるって知っていましたか?」

「オーランドーー。あんたに殴られて罵倒されて、給料も払ってもらえずにクビにされたライアンだぜ! 覚えてねーーとは言わせねーぜ?」

「エスメラルダさまぁーー。貴女に熱湯をかけられて死んだ侍女のメグはあたしの愛娘でしたよ。ねぇ、もうあんたは賎民なんでしょう? どうやって、つぐなってもらおうかねぇ?」

 大勢の人間が蟻のように私達家族に群がって、思い思いの恨みごとを言う。

 そして、私達家族は髪の毛をもって、それぞれの思いをもつ者達に引きずられていった。

 やめろよ! やめてくれよぉ。私はなにもしなかっただろう? なぜ、こんな目にあうんだ? 大きな木にぐるぐるに縛り付けられて放置された私は身動きひとつできない。

 彼らは、私を蹴りもせず殴りもしなかった。つまりは、なにもしなかった……連日そこに縛られたまま、飲まず食わずでいると、段々身体も衰弱してきた。

 激しい喉の渇きと空腹感と絶望感で、死だけを願った。

「頼むよ。ひとおもいに死なせてくれないか?」

 私の願いに、その声を聞いた平民達は言った。

「だめだよ。あんたには、なんにもするなってこの立て札に書いてある。あんたは、明らかに無実の従業員が罪を着せられ酷い仕打ちをうけていたのをただ見ていた、って書いてある。そのために一家心中した家族がたくさんいたともね」

「んだよ。誰がそんな奴を助けるかい? ヴィセンテ男爵家は平民への扱いが酷すぎただろう? あんたらが賎民に落ちて復讐できて大喜びしてる奴がいっぱいだぜ?」

「あんたはマシだよ。あんたの他の家族は……多分……あんたほどは楽に死ねないだろうな」

 そんな……アイラ……助けてくれよ……こんな因果応報なんて嫌だよ……

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