3 / 8
3 ガマ様のお導き! そして戦うガマ様
しおりを挟む
なぜエリザベスがこのトイレの情事に気がついたかはガマ様のお導きであるとエリザベスはつくづく思った。
午前中に提出すべき書類がバッグにないことに気づいたエリザベスは、午後からのスケジュールを繰り上げて予定より早めに屋敷に戻ってきた。庭園を横切ったところ、東屋の奥に設置したトイレの前にガマガエル達がずらりと並んでいたのだった。そのなかでもひときわ大きなガマガエルはエリザベスのほうに跳ねながら呼びかけた。それはまるでこちらに来いとでも言うような仕草であった。
エリザベスがそのトイレに近づくと男女の怪しげな声が聞こえて……。それはこのような場所から聞こえてきていい声ではなかった。
トイレの緊急用の外からも開けられる鍵を、屋敷から急いで取ってきたエリザベスがそっとトイレの扉を開けたら……つまりは……アレだ……トイレでこの二人はいちゃついていたのだった。
エリザベスに詰め寄られて一瞬ひるんだハーマンだが、そこはクズらしく開き直る。
「見られてしまったのなら仕方ないな。だが夫婦になったばかりで離婚なんて世間体が悪いからできないよね?」
ハーマンはそう言いながらニヤリとエリザベスに笑いかけてきたのだ。
「ふふふ。私も伯爵家の養女になったばかりで追い出すなんて世間体が悪いですわよね? まして、夫と妹に裏切られた間抜けな姉のレッテルを貼られるなんて屈辱でしょう?」
マギーは楽しそうに笑い声をあげた。
「離婚歴があると女性にとってはどのような理由でも後ろ指を指されるよね? 婚約破棄と違うんだし」とハーマン。
「私は伯爵令嬢にもうなっているはずですわよね? 今日の午前中に書類を提出するっておっしゃっていましたものねぇ? お義父様は私を伯爵家の籍にいれてくださると約束してくれたもの! そんなに簡単には追い出せませんわよ」とマギー。
「ばかばかしい。このような理由があればいくらでも追い出せましてよ? お父様のたっての希望でマギーを伯爵家の籍にいれることを一度は承諾した私ですが、このような場面を見たらその気持ちはすっかりなくなりましたわ。お父様はもう引退された方です。決定権は私にあります」
エリザベスの言葉にマギーが残忍な微笑みを浮かべた。
「ふん! むかつくわねぇ! ねぇ、ここには誰もいませんわ。お姉様とハーマンと私だけ。このトイレは東屋と木々の影で隠れて屋敷からは死角になっておりますわ。ということは……チャンスですわねぇ」
咄嗟に拾い上げた大きな石をエリザベスに向かって振り下ろそうとするマギーに、向かって行くのはガマガエルの大群だ。
「ケロケロケロケロケロ! ケロロッロ!」
「ケロケロケロケロケロ! ゲロゲロゲローーン」
「ケロケロケロケロケロケロケロケロ
ケロケロケロケロケロケロケロケロケロ!!」
人間のように連携プレイをとりながらマギーを攻撃していくガマガエル部隊である。見事にイボから毒をマギーに浴びせ続けるガマ様達は一歩も引かない。マギーはガマガエルを石で殴ろうとするが巧みにかわされてかすりもしないのだった。
「痛い! 痛い! いたぁーーい!! 目に入ったわ。見えない、見えない! 目が……目がぁーー!!」
マギーは目にも口にもガマガエルの毒が入り悶絶してうずくまってしまった。
それをあっけにとられて見ていたハーマンは、ガマガエルから次々と小便を浴びせられていた。
「うわぁーー! やめろぉーー!! くっ、臭いよ。止めろってばぁ。チックショーー!!」
ハーマンは逃げまどいすぎて池に転がり落ち溺れかけるのだった。
午前中に提出すべき書類がバッグにないことに気づいたエリザベスは、午後からのスケジュールを繰り上げて予定より早めに屋敷に戻ってきた。庭園を横切ったところ、東屋の奥に設置したトイレの前にガマガエル達がずらりと並んでいたのだった。そのなかでもひときわ大きなガマガエルはエリザベスのほうに跳ねながら呼びかけた。それはまるでこちらに来いとでも言うような仕草であった。
エリザベスがそのトイレに近づくと男女の怪しげな声が聞こえて……。それはこのような場所から聞こえてきていい声ではなかった。
トイレの緊急用の外からも開けられる鍵を、屋敷から急いで取ってきたエリザベスがそっとトイレの扉を開けたら……つまりは……アレだ……トイレでこの二人はいちゃついていたのだった。
エリザベスに詰め寄られて一瞬ひるんだハーマンだが、そこはクズらしく開き直る。
「見られてしまったのなら仕方ないな。だが夫婦になったばかりで離婚なんて世間体が悪いからできないよね?」
ハーマンはそう言いながらニヤリとエリザベスに笑いかけてきたのだ。
「ふふふ。私も伯爵家の養女になったばかりで追い出すなんて世間体が悪いですわよね? まして、夫と妹に裏切られた間抜けな姉のレッテルを貼られるなんて屈辱でしょう?」
マギーは楽しそうに笑い声をあげた。
「離婚歴があると女性にとってはどのような理由でも後ろ指を指されるよね? 婚約破棄と違うんだし」とハーマン。
「私は伯爵令嬢にもうなっているはずですわよね? 今日の午前中に書類を提出するっておっしゃっていましたものねぇ? お義父様は私を伯爵家の籍にいれてくださると約束してくれたもの! そんなに簡単には追い出せませんわよ」とマギー。
「ばかばかしい。このような理由があればいくらでも追い出せましてよ? お父様のたっての希望でマギーを伯爵家の籍にいれることを一度は承諾した私ですが、このような場面を見たらその気持ちはすっかりなくなりましたわ。お父様はもう引退された方です。決定権は私にあります」
エリザベスの言葉にマギーが残忍な微笑みを浮かべた。
「ふん! むかつくわねぇ! ねぇ、ここには誰もいませんわ。お姉様とハーマンと私だけ。このトイレは東屋と木々の影で隠れて屋敷からは死角になっておりますわ。ということは……チャンスですわねぇ」
咄嗟に拾い上げた大きな石をエリザベスに向かって振り下ろそうとするマギーに、向かって行くのはガマガエルの大群だ。
「ケロケロケロケロケロ! ケロロッロ!」
「ケロケロケロケロケロ! ゲロゲロゲローーン」
「ケロケロケロケロケロケロケロケロ
ケロケロケロケロケロケロケロケロケロ!!」
人間のように連携プレイをとりながらマギーを攻撃していくガマガエル部隊である。見事にイボから毒をマギーに浴びせ続けるガマ様達は一歩も引かない。マギーはガマガエルを石で殴ろうとするが巧みにかわされてかすりもしないのだった。
「痛い! 痛い! いたぁーーい!! 目に入ったわ。見えない、見えない! 目が……目がぁーー!!」
マギーは目にも口にもガマガエルの毒が入り悶絶してうずくまってしまった。
それをあっけにとられて見ていたハーマンは、ガマガエルから次々と小便を浴びせられていた。
「うわぁーー! やめろぉーー!! くっ、臭いよ。止めろってばぁ。チックショーー!!」
ハーマンは逃げまどいすぎて池に転がり落ち溺れかけるのだった。
17
お気に入りに追加
591
あなたにおすすめの小説
私の夫を奪ったクソ幼馴染は御曹司の夫が親から勘当されたことを知りません。
春木ハル
恋愛
私と夫は最近関係が冷めきってしまっていました。そんなタイミングで、私のクソ幼馴染が夫と結婚すると私に報告してきました。夫は御曹司なのですが、私生活の悪さから夫は両親から勘当されたのです。勘当されたことを知らない幼馴染はお金目当てで夫にすり寄っているのですが、そこを使って上手く仕返しします…。
にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
浮気した婚約者を地下室に閉じ込めました。愛人とずっと一緒にいられて幸せだね。
Hibah
恋愛
イブリンには婚約者のベンジャミンがいた。イブリンはベンジャミンを愛していたが、ある日ベンジャミンはイブリンを呼び出し「結婚後は愛人のガーネットと一緒に住む。君とは夜も寝ないし、形式的な結婚だ」と告げる。ショックを受けたもののイブリンは愛人ガーネットの存在を容認することとし、ベンジャミンの恋を応援しようと決意する。イブリンのベンジャミンへの愛は、ベンジャミンとガーネットを地下室に閉じ込めるという行為に結実する。イブリンは二人の恋を地下室で観察し続けるのだが、その観察は三年間に及ぶこととなる……。 ※少し過激な表現もあるため、R15に指定しました。
やって良かったの声「婚約破棄してきた王太子殿下にざまぁしてやりましたわ!」
家紋武範
恋愛
ポチャ娘のミゼット公爵令嬢は突然、王太子殿下より婚約破棄を受けてしまう。殿下の後ろにはピンクブロンドの男爵令嬢。
ミゼットは余りのショックで寝込んでしまうのだった。
今夜、元婚約者の結婚式をぶち壊しに行きます
結城芙由奈
恋愛
【今夜は元婚約者と友人のめでたい結婚式なので、盛大に祝ってあげましょう】
交際期間5年を経て、半年後にゴールインするはずだった私と彼。それなのに遠距離恋愛になった途端彼は私の友人と浮気をし、友人は妊娠。結果捨てられた私の元へ、図々しくも結婚式の招待状が届けられた。面白い…そんなに私に祝ってもらいたいのなら、盛大に祝ってやろうじゃないの。そして私は結婚式場へと向かった。
※他サイトでも投稿中
※苦手な短編ですがお読みいただけると幸いです
愛と浮気と報復と
よーこ
恋愛
婚約中の幼馴染が浮気した。
絶対に許さない。酷い目に合わせてやる。
どんな理由があったとしても関係ない。
だって、わたしは傷ついたのだから。
※R15は必要ないだろうけど念のため。
束縛の激しい夫にずっと騙されていました。許せないので浮気現場に乗り込みます。
Hibah
恋愛
オリヴィアは、夫ゲラルトに束縛される夫婦生活を送っていた。ゲラルトが仕事に行く間、中から開けられない『妻の部屋』に閉じ込められ、ゲラルトの帰宅を待つ。愛するがゆえの行動だと思い我慢するオリヴィアだったが、ある日夫婦で招かれた昼食会で、ゲラルトのキス現場を見てしまう。しかもゲラルトのキス相手は、オリヴィアの幼馴染ハンスの妹カタリーナだった。オリヴィアは幼馴染ハンスと計画して、ゲラルトとカタリーナの決定的な浮気現場を押さえるべく、計画を練る……
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる