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5 カトレーネ・トマス前々公爵夫人に相談しよう(オスカー・キーガン侯爵視点)

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イブが『婚約破棄してほしい』と、言ってきて、とてもショックだった。私達は、とてもうまくやっていけると思っていたから。

「なんでなの? 私に全部、話してごらん?」

私は、イブの肩を抱きながら優しく聞いた。イブは、嫌われたくない・・・と私の胸に縋ってきた。

「私ね・・・よく覚えていないけれど、ドレスの下を・・・写真に撮られたのよ。ばらまくぞって言われたわ。裁判になっても、辱めを受けるのは女だからなって。妹も、証言するって脅かすの。私がエルナン様を誘惑したって言うって。だから、お母様にも父様にも相談できないわ。誰にも言えないのよ・・・だって、エルナンと妹は、とても堅実で真面目に見えるでしょう? 私が言っても、きっと誰も信じてくれないわ」


「嫌いになるわけがない。脅されているなんて悪質だな。・・・こういう時は、きっと・・・うん、あの方がいいと思うよ。これから、一緒にある方のところに相談に行こう! きっと、助けてくれる。あの方は、すごく正義感が強くてね。曲がったことが、大嫌いなんだ。そんな写真で脅すような男と妹は、きっちり、懲らしめてくれそうだ」

私は、カトレーネ・トマス前々公爵夫人しか思い浮かばなかった。そうさ、あの方の屋敷に電話をして、ざっくりとした話をすると、すぐに来るように言われたのさ。


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚

カトレーネ・トマス前々公爵夫人の屋敷は、まさに今をときめく華麗なる一族の住まいに相応しい壮麗でいて、優美なものだった。

もしかしたら、王宮よりも、豪華かもしれない・・・この公爵家の勢いは、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。誰も、この一族には逆らえない。

私とイブは、とても緊張していた。私は、夜会では、たまに声をかけていただくものの、じっくりとお話をさせていただいたことはなかった。

「まずは、お茶を召し上がって。私が、カトレーネ・トマス前々公爵夫人ですよ。こちらが、嫁のマーガレットに孫娘のマリアンヌです。あちらにいるのが、孫のクリストファーの嫁のバーミュレです。私達は、王妃様から、いろいろな方の困りごとの相談にのるようにと仰せつかったのでね・・・喜んで、今回の問題も相談にのりましょう」

カトレーネ・トマス前々公爵夫人は、優しく微笑みながら。私達に美味しい紅茶を勧めてくださったのだった。

私とイブが話し出すと、カトレーネ・トマス前々公爵夫人の顔は、少しだけ、引きつりきっぱりとおっしゃった。

「カールストン伯爵家の経済状況と、その息子と両親の行動調査と、ウェンディの行動調査も、しましょう」

「ドレスの下の写真ですって? なんて卑怯なの! こんなの野放しにしておけないわ!」

マリアンヌ様も激怒していた。

「そんな、愚かな男は、逆にセクハラしてやりたいですわねぇーー」

バーミュレ様は、イブとは、また違ったタイプの凄みのある美女で、ぞっとするほどの艶やかな笑みを浮かべたのだった。




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