上 下
9 / 9

おまけ ざまぁ ※残酷描写苦手な方はご自衛ください

しおりを挟む
冬の寒空に、太った中年の女と若い女が歩いていた。この寒いのに薄いコートしか着ていない。そのコートも薄汚れていて、ところどころ破けている。

そこへ、公爵家の馬車が通った。豪奢な馬車の中の顔が一瞬見えると、中年の女は悪態をつきながらその馬車を、がむしゃらに追いかけた。

「マ、マドレーヌ。あ、あれは絶対、そうだ。は、はぁ、はぁ、捕まえてやる。おっ、恩知らずめ!!ま、待てぇーーー」
その中年の女は、若い頃を思い出していた。

(首尾良く公爵家の一人息子をたぶらかし、妊娠を盾に愛人として贅沢をしようと思っていた。なのに、あのボンボンは『君が大好きだから愛人じゃなくて妻にするよ。僕は家を捨て平民として生きていく』と、言った。なんて、馬鹿な男だろう。私は貴族の愛人になりたかったんだよーーー。だから、浮気もしてやった。下の娘はあの男の子どもじゃない。)

その心の言葉はぶつぶつとした独り言になった。それでも、走ることはやめない。もうすぐ追いつくというその時、オーロラ・メイヴ男爵令嬢の馬車がちょうど横切るところにぶつかった。

ぐちゃ

嫌な音がしたかと思うと馬車も横倒しになりオーロラは頭から血をながして‥‥。馬車の下では中年の女がすっかり下敷きになっていた。馬に踏みつけられ、馬車の前輪と後輪にもしっかり引かれたらしい。


もちろん、そんなことはマドレーヌは露ほども知らないのだった。

しおりを挟む
感想 11

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(11件)

群馬より愛を込めて

非常にテンポ良く読み進められました。
王道のシンデレラストーリーに細やかな情景の描写が加わり、唯一無二のストーリーに。サチマルさん、センス有りますね。過去の作品も読んでみたいと思います。そして新作も楽しみにしてます♪

青空一夏
2020.10.28 青空一夏

群馬より愛を込めて様🌹
コメントをいただきありがとうございまぁす🙇‍♀️
センスありますか?😆嬉しいデス💃
群馬から、ありがとうございまぁす🎶😌

解除
能登原あめ
2020.10.28 能登原あめ

おじいさま素敵〜💞
じじいにハート飛ばしたのはじめてですよ🤣
さくっと読めて、おもしろかったです〜🌟

青空一夏
2020.10.28 青空一夏

一宮 あめ様🌹
コメントありがとうございまぁす😆🙇‍♀️
ジジィの💞………あっ、間違えた……ジジィに💞だった😅
飛ばさないないですよねぇーー!
ジジィの💞も欲しくないし……ジジィ……吉川晃司(54歳)ってジジィ?
あれぐらいなら、ちょっといいなぁーーー🤣🤣

解除
柚木ゆず
2020.10.28 柚木ゆず

現在、最高のプレゼントまで拝読しました。

確かに……っ。
最高のプレゼント、ですよね……!
お爺様……っ。

今日はこのあと、最後まで楽しませていただきます。
わくわくでどきどき、です……!

青空一夏
2020.10.28 青空一夏

柚子ゆず様🌹
コメントいただきまして、ありがとうございます🙇‍♀️

ゆず様の作品は、いつも読んでいまぁす🥰
最近は、感想欄もお返事を書いていただくのも申し訳ない気がして
そっと読んで感想は心のなかでつぶやいております😌😌

そんな憧れのゆず様にサチマルの小説を読んでいただけるなんて………
ゆ、ゆず様の貴重なお時間が……恐縮です🥺

きっ、緊張する〜〜〜🥺感謝でございます🙇‍♀️🙇‍♀️

解除

あなたにおすすめの小説

王妃はわたくしですよ

朝山みどり
恋愛
王太子のやらかしで、正妃を人質に出すことになった。正妃に選ばれたジュディは、迎えの馬車に乗って王城に行き、書類にサインした。それが結婚。 隣国からの迎えの馬車に乗って隣国に向かった。迎えに来た宰相は、ジュディに言った。 「王妃殿下、力をつけて仕返ししたらどうですか?我が帝国は寛大ですから機会をたくさんあげますよ」 『わたしを退屈から救ってくれ!楽しませてくれ』宰相の思惑通りに、ジュディは力をつけて行った。

妹がいらないと言った婚約者は最高でした

朝山みどり
恋愛
わたしは、侯爵家の長女。跡取りとして学院にも行かず、執務をやって来た。婿に来る王子殿下も好きなのは妹。両親も気楽に遊んでいる妹が大事だ。 息詰まる毎日だった。そんなある日、思いがけない事が起こった。 わたしはそれを利用した。大事にしたい人も見つけた。わたしは幸せになる為に精一杯の事をする。

王子の婚約者を辞めると人生楽になりました!

朝山みどり
恋愛
わたくし、ミランダ・スチュワートは、王子の婚約者として幼いときから、教育を受けていた。わたくしは殿下の事が大好きで将来この方を支えていくのだと努力、努力の日々だった。 やがてわたくしは学院に入学する年になった。二つ年上の殿下は学院の楽しさを語ってくれていたので、わたくしは胸をはずませて学院に入った。登校初日、馬車を降りると殿下がいた。 迎えに来て下さったと喜んだのだが・・・

王命なんて・・・・くそくらえですわ

朝山みどり
恋愛
ティーナは王宮薬師の下っ端だ。地下にある自室でポーションを作っている。自分ではそれなりの腕だと思っているが、助手もつけてもらえず一人で働いていた。 そんなティーナが王命で公爵と結婚することになった。驚くティーナに王太子は公爵がひとめぼれからだと言った。 ティーナだって女の子。その言葉が嬉しいし、婚姻届にサインするとき会った公爵はとても素敵だった。 だが、それからすぐに公爵は仕事だとかで一度も会いに来ない。 そのうえ、ティーナの給料の大半が公爵家に渡される事になった。ティーナにはいるのは端数の部分だ。 お貴族様っていうのはほんとに民から金とるしか考えてないねとティーナは諦めて休みの日も働いて食いつないだ。 だが、ある日ティーナがプッツンとなる出来事が起きた。 働いたって取り上げられるなら、働くもんかと仕事をやめて国一番の歓楽街のある町に向かう事にした。 「わたしは都会が似合う女だからね」 やがて愛しいティーナに会えると戻ってきたジルフォードは愕然とする。 そしてすぐに追いかけたいけどそれも出来ずに・・・・

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

勝手に召喚して勝手に期待して勝手に捨てたじゃないの。勝手に出て行くわ!

朝山みどり
恋愛
大富豪に生まれたマリカは愛情以外すべて持っていた。そして愛していた結婚相手に裏切られ復讐を始めるが、聖女として召喚された。 怯え警戒していた彼女の心を国王が解きほぐす。共に戦場へ向かうが王宮に反乱が起きたと国王は城に戻る。 マリカはこの機会に敵国の王と面会し、相手の負けで戦争を終わらせる確約を得る。 だが、その功績は王と貴族に奪われる。それどころか、マリカは役立たずと言われるようになる。王はマリカを庇うが貴族の力は強い。やがて王の心は別の女性に移る・・・

【完結】私は駄目な姉なので、可愛い妹に全てあげることにします

リオール
恋愛
私には妹が一人いる。 みんなに可愛いとチヤホヤされる妹が。 それに対して私は顔も性格も地味。暗いと陰で笑われている駄目な姉だ。 妹はそんな私の物を、あれもこれもと欲しがってくる。 いいよ、私の物でいいのならあげる、全部あげる。 ──ついでにアレもあげるわね。 ===== ※ギャグはありません ※全6話

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。