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ドリアン子爵夫妻の場合
断罪その1
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私は、なぜかカトレーネ・トマス前々公爵夫人にお茶会に誘われた。
夫と連れだって行くと、オリバーもそこにはいて、ふてくされた表情で座っていた。
たくさんの侍女が傅くそこは、まるで別世界だった。お茶を注がれている間、私はそわそわと落ち着かなかった。
そのうち、私の両親まで応接室に入ってきて、何事が始まるのかと思っていたら、文官の服を着た女性達が、ぞろぞろと入ってきたのだった。
「まずは、オーロラさんの借金の借用書は全部で70万バギーですね? それは、このオリバーさんに貢いだことはわかってますよ?」
カトレーネ・トマス前々公爵夫人が、厳しい声でおっしゃった。私の両親は、ギラリと私を睨み付けた。
「オーロラ! 何をやっているんだ! お前は! そんなことをするような娘に育てた覚えはないぞ! 男に貢いだだと! なんて、バカなことをしたんだ?」
お父様は、私に向かって怒鳴りつけて、私を叩こうとこちらに向かってきた。
「あぁ、自分のことを棚に上げて偉そうなことを言う人間の典型ですね? お前こそ、恥を知れ!」
そういいながら背の高い、驚くほど綺麗な女性が、お父様の腕をねじり上げた。
「もう、いいでしょう。バーミュレ。腕を放してあげなさい。アデリー男爵、貴方達はオーロラにそうやって、暴力をいつもふるっていましたね? アデリー男爵家の侍女達が証言しました。おまけに、借金を払って貰う代わりにオーロラを嫁がせたそうじゃぁありませんか? ドリアン子爵が全部、証言しましたよ! 人身売買と変らないではありませんか! それでも、親ですか? これは、もう重罪にしたいところですねぇーー。懲役でもいいと思いますよ。これに対する罪はないのですか?」
カトレーネ・トマス前々公爵夫人は文官の女性に尋ねた。
「子供の嫁ぎ先から借金する等は、罪にはなっていませんので、借金を払う条件で嫁がせる等も、罪にはなりません」
女性の文官は、恐る恐る、カトレーネ・トマス前々公爵夫人に申し上げていた。
「ないなら、今すぐお作りなさい! 全く、文官や王宮の行政の組織は風通しが悪すぎですよ! いいですか? 子供を利用してお金を借りることや、嫁がせるから借金を払ってもらうこと等、こんなことは誰が考えても人身売買とかわりませんよ! 子供は親の道具ではありません!」
文官達が震え上がりながらも『前向きに検討を・・・・・・』と言いかけて、カトレーネ・トマス前々公爵夫人から、さらに叱られていた。
「私が、王妃様に早速、申し上げることにしましょう。文官の数がやたら多いのに、やることは遅い。数が多すぎるのではありませんか? 迅速に仕事ができないのなら、それは仕事をしていないのと同じではありませんか!」
私は、カトレーネ・トマス前々公爵夫人を目の当たりにして噂は本当だと思った。まさに女傑の貫禄なのだった。
「とにかく、アデリー男爵夫妻は、自らが借金を返すべきですから、働き口を紹介しましょうね。海と山なら、どちらが好きですか?」
まるで、遠足はどこがいいかと、子供に聞く先生のような口調でカトレーネ・トマス前々公爵夫人は、お聞きになったのだった。
夫と連れだって行くと、オリバーもそこにはいて、ふてくされた表情で座っていた。
たくさんの侍女が傅くそこは、まるで別世界だった。お茶を注がれている間、私はそわそわと落ち着かなかった。
そのうち、私の両親まで応接室に入ってきて、何事が始まるのかと思っていたら、文官の服を着た女性達が、ぞろぞろと入ってきたのだった。
「まずは、オーロラさんの借金の借用書は全部で70万バギーですね? それは、このオリバーさんに貢いだことはわかってますよ?」
カトレーネ・トマス前々公爵夫人が、厳しい声でおっしゃった。私の両親は、ギラリと私を睨み付けた。
「オーロラ! 何をやっているんだ! お前は! そんなことをするような娘に育てた覚えはないぞ! 男に貢いだだと! なんて、バカなことをしたんだ?」
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「あぁ、自分のことを棚に上げて偉そうなことを言う人間の典型ですね? お前こそ、恥を知れ!」
そういいながら背の高い、驚くほど綺麗な女性が、お父様の腕をねじり上げた。
「もう、いいでしょう。バーミュレ。腕を放してあげなさい。アデリー男爵、貴方達はオーロラにそうやって、暴力をいつもふるっていましたね? アデリー男爵家の侍女達が証言しました。おまけに、借金を払って貰う代わりにオーロラを嫁がせたそうじゃぁありませんか? ドリアン子爵が全部、証言しましたよ! 人身売買と変らないではありませんか! それでも、親ですか? これは、もう重罪にしたいところですねぇーー。懲役でもいいと思いますよ。これに対する罪はないのですか?」
カトレーネ・トマス前々公爵夫人は文官の女性に尋ねた。
「子供の嫁ぎ先から借金する等は、罪にはなっていませんので、借金を払う条件で嫁がせる等も、罪にはなりません」
女性の文官は、恐る恐る、カトレーネ・トマス前々公爵夫人に申し上げていた。
「ないなら、今すぐお作りなさい! 全く、文官や王宮の行政の組織は風通しが悪すぎですよ! いいですか? 子供を利用してお金を借りることや、嫁がせるから借金を払ってもらうこと等、こんなことは誰が考えても人身売買とかわりませんよ! 子供は親の道具ではありません!」
文官達が震え上がりながらも『前向きに検討を・・・・・・』と言いかけて、カトレーネ・トマス前々公爵夫人から、さらに叱られていた。
「私が、王妃様に早速、申し上げることにしましょう。文官の数がやたら多いのに、やることは遅い。数が多すぎるのではありませんか? 迅速に仕事ができないのなら、それは仕事をしていないのと同じではありませんか!」
私は、カトレーネ・トマス前々公爵夫人を目の当たりにして噂は本当だと思った。まさに女傑の貫禄なのだった。
「とにかく、アデリー男爵夫妻は、自らが借金を返すべきですから、働き口を紹介しましょうね。海と山なら、どちらが好きですか?」
まるで、遠足はどこがいいかと、子供に聞く先生のような口調でカトレーネ・トマス前々公爵夫人は、お聞きになったのだった。
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