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廃洋館
#34
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8月8日
この数日間、理解が追い付かないまま、私は人間ではなくなり、何とか生き永らえた。ただ二つだけ、判ったことがあった。
一つは、身体中に痣や血が滲んでいるにも関わらず、痛みは無く、更には空腹も何も感じない。唯一ある感覚は、少しの眠気だけだという事。
二つ目は、兄さんの言葉には絶対逆らえないという事。逆らえないとは言え、過度な命令はしてこなかった。
8月10日
朝早く兄さんは、私の下にやってきた。そして、“憎しみがあるのなら母さんを殺そう…。”
そう言われ、私は手枷を外し、出て兄さんの後に着いて行った。
そこからの記憶は、殆どなく、気が付けば、実の母親を手に持っていた、刃物で腹部を刺していた。ただ、何故か罪悪感等一切なかった。あったのは、高揚感だった。
9月1日
私は、兄さんの恨みと憎しみを乗せ、私に1年分の寿命を掛け、“父と使用人の男を殺せ”と命令が下った。
私はこの家を抜け、父たちの下に向かった。
不思議な事に、私の姿は、警察達には見えないらしく、警察署の表から堂々と侵入し、拘留所に向かった。
父は少しやつれた表情で、部屋の隅に座り込んでいた。
私の姿に気が付くと、怯えた様に悲鳴を上げた。その声が、何故か気に食わず、持っていた、刃物で、そのまま父の胸部を突き刺し、そして、抜いた。
血が噴き出て、悶え苦しんでいる、父の姿は、滑稽で笑えた。
それと同様の方法で、使用人の男も刺した後、刃物を、その場に残し私は、血塗れのまま、警察署を出て行った。
私が家に帰ると、兄さんからは、お礼された。
10月4日。
また、兄さんが現れた。今度は、もう一人の私も呼び出し、この館を護ってほしいと、頭を下げられた。
もう一人の私は、快諾したが、私は寿命を貰わなければ、命令には従えない…。それに、永久的に続くものとなると、1~2年程度の寿命では、どうにもならないことは、既に知っていた。
すると兄さんは、“自分の残りの寿命の3分の2を賭ける”と言いだし、私は、それを断る事ができなかった。
『そして、私たちは、この館の敷地内から、出ることは許されなくなった。
たまにやって来る肝試し連中は、私が驚かしては、追い返し、壊された家具や窓は、もう一人の私が、修復することにした。
だけど、いつしか、退屈になったもう一人の私は、力を蓄える様になり、私の仕事まで、奪う様になり、私は等々、こんな狭い地下室まで追いやられてしまった…。」
ナツミさんは、そう言うと、日記を閉じ、元の位置に戻した。
この数日間、理解が追い付かないまま、私は人間ではなくなり、何とか生き永らえた。ただ二つだけ、判ったことがあった。
一つは、身体中に痣や血が滲んでいるにも関わらず、痛みは無く、更には空腹も何も感じない。唯一ある感覚は、少しの眠気だけだという事。
二つ目は、兄さんの言葉には絶対逆らえないという事。逆らえないとは言え、過度な命令はしてこなかった。
8月10日
朝早く兄さんは、私の下にやってきた。そして、“憎しみがあるのなら母さんを殺そう…。”
そう言われ、私は手枷を外し、出て兄さんの後に着いて行った。
そこからの記憶は、殆どなく、気が付けば、実の母親を手に持っていた、刃物で腹部を刺していた。ただ、何故か罪悪感等一切なかった。あったのは、高揚感だった。
9月1日
私は、兄さんの恨みと憎しみを乗せ、私に1年分の寿命を掛け、“父と使用人の男を殺せ”と命令が下った。
私はこの家を抜け、父たちの下に向かった。
不思議な事に、私の姿は、警察達には見えないらしく、警察署の表から堂々と侵入し、拘留所に向かった。
父は少しやつれた表情で、部屋の隅に座り込んでいた。
私の姿に気が付くと、怯えた様に悲鳴を上げた。その声が、何故か気に食わず、持っていた、刃物で、そのまま父の胸部を突き刺し、そして、抜いた。
血が噴き出て、悶え苦しんでいる、父の姿は、滑稽で笑えた。
それと同様の方法で、使用人の男も刺した後、刃物を、その場に残し私は、血塗れのまま、警察署を出て行った。
私が家に帰ると、兄さんからは、お礼された。
10月4日。
また、兄さんが現れた。今度は、もう一人の私も呼び出し、この館を護ってほしいと、頭を下げられた。
もう一人の私は、快諾したが、私は寿命を貰わなければ、命令には従えない…。それに、永久的に続くものとなると、1~2年程度の寿命では、どうにもならないことは、既に知っていた。
すると兄さんは、“自分の残りの寿命の3分の2を賭ける”と言いだし、私は、それを断る事ができなかった。
『そして、私たちは、この館の敷地内から、出ることは許されなくなった。
たまにやって来る肝試し連中は、私が驚かしては、追い返し、壊された家具や窓は、もう一人の私が、修復することにした。
だけど、いつしか、退屈になったもう一人の私は、力を蓄える様になり、私の仕事まで、奪う様になり、私は等々、こんな狭い地下室まで追いやられてしまった…。」
ナツミさんは、そう言うと、日記を閉じ、元の位置に戻した。
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