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廃洋館
#11
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撮影用の照明を何台か点け、玄関の辺りを照らしのだが、恐ろしさは、変わらぬままだ。
「そう言えば、中に入るんですよね?鍵とかって、どうするんですか?」
大谷が、そう寺井さんに訊ねた。
「不動産屋に言って、予め鍵は預かっている。」
「不動産屋さんが管理しているんですか?」
洋館とは言え、かつては人が住んでいた、建物。当然管理する人が居る筈だが、まさか、不動産会社が管理しているとは、思わなかった…。
「管理と言っても、建物に関しては、殆ど手つかずらしい。鍵を持っているってだけっぽかったな。」
寺井さんが、機材の準備をしつつ、そう答えた。きっと誰も、引き取り手が現れなかったのだろう…。
「さぁ、夜になりました。見て下さい。かなりの雰囲気が、出ていますね…。これから、この建物内に入って行って、中の様子を、見て行きましょう。」
私たちは、予定通り、ロケを開始した。怖くないと言えば、嘘になるが、私もアナウンサー。恐怖など噛み殺すくらいの度胸は、嫌でも、鍛えられた。ここは、頑張るしか、私には、残されていない…。
「では、この鍵を使って、玄関の扉を開けて行きましょう。」
私たちは、玄関に近づき、鍵穴に、鍵を刺した。
「え?」
そう、多き声を上げたのは、大谷だった。私は驚き、彼の方を、向き直った。大谷の持っていたカメラは、私ではなく、建物の物陰の方を見ていた。
「どうした?」
寺井さんも彼に釣られる様に、持っていた、照明機材を、そちらの方に向けた。だが、そこには、何も見えない。
「何?」
私も、流石に怖くなり、彼に訊ねた。
「…今…。“何か”がこっちをじっと見つめていた気がして…。」
「“何か”って何だ?人か?」
「解りません…。ただ、眼光の様な物が、チラリと、一瞬見えたので…。」
「地面からの高さは、どのくらいだった?」
「あの窓の桟より、少し、高いくらいです。」
大谷は、指で、その窓を示した。地面から窓までの高さは、大体、150センチ程。それより少し高いとなると、160くらいになるだろう…。
「なるほど、人と同じサイズか…。ちょっと見てくる。お前らは、ここで、待っていろ。」
そう言うと、寺井さんは、物陰の方に向かって歩き出した。
「ちょ、ちょっと、危ないですよ。人じゃなくて、獣だったら、どうするんですか?」
「それを、確かめてくる。大丈夫だ、危険だと判断したら、直引き返すか、悲鳴上げるから。」
冗談でも、冗談とも取れない、ことを言い放ち、寺井さんは、モバイルタイプの照明器具を持ち、再度、歩き始めた。
「そう言えば、中に入るんですよね?鍵とかって、どうするんですか?」
大谷が、そう寺井さんに訊ねた。
「不動産屋に言って、予め鍵は預かっている。」
「不動産屋さんが管理しているんですか?」
洋館とは言え、かつては人が住んでいた、建物。当然管理する人が居る筈だが、まさか、不動産会社が管理しているとは、思わなかった…。
「管理と言っても、建物に関しては、殆ど手つかずらしい。鍵を持っているってだけっぽかったな。」
寺井さんが、機材の準備をしつつ、そう答えた。きっと誰も、引き取り手が現れなかったのだろう…。
「さぁ、夜になりました。見て下さい。かなりの雰囲気が、出ていますね…。これから、この建物内に入って行って、中の様子を、見て行きましょう。」
私たちは、予定通り、ロケを開始した。怖くないと言えば、嘘になるが、私もアナウンサー。恐怖など噛み殺すくらいの度胸は、嫌でも、鍛えられた。ここは、頑張るしか、私には、残されていない…。
「では、この鍵を使って、玄関の扉を開けて行きましょう。」
私たちは、玄関に近づき、鍵穴に、鍵を刺した。
「え?」
そう、多き声を上げたのは、大谷だった。私は驚き、彼の方を、向き直った。大谷の持っていたカメラは、私ではなく、建物の物陰の方を見ていた。
「どうした?」
寺井さんも彼に釣られる様に、持っていた、照明機材を、そちらの方に向けた。だが、そこには、何も見えない。
「何?」
私も、流石に怖くなり、彼に訊ねた。
「…今…。“何か”がこっちをじっと見つめていた気がして…。」
「“何か”って何だ?人か?」
「解りません…。ただ、眼光の様な物が、チラリと、一瞬見えたので…。」
「地面からの高さは、どのくらいだった?」
「あの窓の桟より、少し、高いくらいです。」
大谷は、指で、その窓を示した。地面から窓までの高さは、大体、150センチ程。それより少し高いとなると、160くらいになるだろう…。
「なるほど、人と同じサイズか…。ちょっと見てくる。お前らは、ここで、待っていろ。」
そう言うと、寺井さんは、物陰の方に向かって歩き出した。
「ちょ、ちょっと、危ないですよ。人じゃなくて、獣だったら、どうするんですか?」
「それを、確かめてくる。大丈夫だ、危険だと判断したら、直引き返すか、悲鳴上げるから。」
冗談でも、冗談とも取れない、ことを言い放ち、寺井さんは、モバイルタイプの照明器具を持ち、再度、歩き始めた。
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