17 / 72
燃えた人形
#5
しおりを挟む
「麗華…。」
扉の向こうからは、未だに、私の名前を呼ぶ声が聞こえていた…。その声には、生気は無く、冷たく、何処か、寂しそうな…そんな感覚が、伝わってくる…。
それが、怖い。その寂しさの、底が深くて、飲み込まれてしまいそうで…。
「麗華…。どうして…。」
「え?」
初めて、名前以外の、言葉を聞いた…。“どうして”その言葉が、妙に、引っかかる…。自慢ではないが、私は、産まれてこの方、他人に、誰かに恨まれるような、人生を歩んできては居ない。と思う…。
だから、『どうして』と問われる筋合いはない…。
だが、引っかかってしまった。これだけ、怖い思いをしたにも、関わらず、声の主のは、私に危害を、加えてきていない。
確かに、恐怖と言う、精神的なものを、除けば、何一つ、怖いものなどない。
しかも、これは、夢。自分の好きな様に、行動もできるし、いざとなれば、目覚める事も、可能。
「あの…。」
私は、彼女に、声を掛けた。怖いもの見たさ、と言うのも、あるかもしれないが、やはり、気になる物は、聞いておきたい…。
「貴女は、誰ですか?」
王道の問かもしれないが、これを聞かない限りは、彼女の素性が分からない…。いや、幽霊?に対して、素性と言うのは変かもしれないが…。
「―――。」
何か、ぼそぼそと言っているようだが、聞こえない…。
「え?何?」
「名前…ない…。」
息を殺し、耳を澄ませ、ようやっと、彼女の言っている言葉の、一部が、聞こえた。
だが、それでも、なんとなく、意味は、伝わった…。
「名前が…ない…の?」
「………。」
それを訊ねた、瞬間、彼女は、押し黙った。まるで、答え方に。困っている様に…。
そして、さっきほど聞いた、声より、更に寂しそうな、感覚が、私を襲ってきた。
だが、何故かしら、先程より、怖いという感覚は、無くなった。
「あの…もしかして、名前、無いの?」
彼女は、何も言わなかったが、扉の向こうで、頷いたのが、なんとなく解った…。
「そ、そうなの…。」
さらに、寂しそうな、感覚が、伝わってくる。これは、多分、彼女の、感情が、そのまま、私の感情に、伝わってきているのだろう。
寂しい。悲しい。そんな、感覚のはずなのに、何故か、「申し訳ない。」という、言葉、がしっくりくるような、感じがして、ならなあった。
「貴女は、何か、失敗を犯したの?」
また、彼女の、訊ねた。だが、今度は、首を横に振った。そんな感じがした。
「じ、じゃぁ、貴女が、謝らなきゃいけない、理由は何?」
扉の向こうからは、未だに、私の名前を呼ぶ声が聞こえていた…。その声には、生気は無く、冷たく、何処か、寂しそうな…そんな感覚が、伝わってくる…。
それが、怖い。その寂しさの、底が深くて、飲み込まれてしまいそうで…。
「麗華…。どうして…。」
「え?」
初めて、名前以外の、言葉を聞いた…。“どうして”その言葉が、妙に、引っかかる…。自慢ではないが、私は、産まれてこの方、他人に、誰かに恨まれるような、人生を歩んできては居ない。と思う…。
だから、『どうして』と問われる筋合いはない…。
だが、引っかかってしまった。これだけ、怖い思いをしたにも、関わらず、声の主のは、私に危害を、加えてきていない。
確かに、恐怖と言う、精神的なものを、除けば、何一つ、怖いものなどない。
しかも、これは、夢。自分の好きな様に、行動もできるし、いざとなれば、目覚める事も、可能。
「あの…。」
私は、彼女に、声を掛けた。怖いもの見たさ、と言うのも、あるかもしれないが、やはり、気になる物は、聞いておきたい…。
「貴女は、誰ですか?」
王道の問かもしれないが、これを聞かない限りは、彼女の素性が分からない…。いや、幽霊?に対して、素性と言うのは変かもしれないが…。
「―――。」
何か、ぼそぼそと言っているようだが、聞こえない…。
「え?何?」
「名前…ない…。」
息を殺し、耳を澄ませ、ようやっと、彼女の言っている言葉の、一部が、聞こえた。
だが、それでも、なんとなく、意味は、伝わった…。
「名前が…ない…の?」
「………。」
それを訊ねた、瞬間、彼女は、押し黙った。まるで、答え方に。困っている様に…。
そして、さっきほど聞いた、声より、更に寂しそうな、感覚が、私を襲ってきた。
だが、何故かしら、先程より、怖いという感覚は、無くなった。
「あの…もしかして、名前、無いの?」
彼女は、何も言わなかったが、扉の向こうで、頷いたのが、なんとなく解った…。
「そ、そうなの…。」
さらに、寂しそうな、感覚が、伝わってくる。これは、多分、彼女の、感情が、そのまま、私の感情に、伝わってきているのだろう。
寂しい。悲しい。そんな、感覚のはずなのに、何故か、「申し訳ない。」という、言葉、がしっくりくるような、感じがして、ならなあった。
「貴女は、何か、失敗を犯したの?」
また、彼女の、訊ねた。だが、今度は、首を横に振った。そんな感じがした。
「じ、じゃぁ、貴女が、謝らなきゃいけない、理由は何?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる