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カワミ様・アラミ様
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この地域には、古くから、カワミ様アラミ様という、蛙の神様が居るという、言い伝えがあった。
カワミ様と言うのは、無色透明な蛙だ。大きさは、普通のアマガエルと変わらない、三センチほどで、複数体居る。無色透明とは言え、完全な透明ではなく、葛餅の様に、少しだけ濁った感じだ。内蔵は見えず、目だけがギラリと光っているらしい。
一方アラミ様は、強大なアマガエルだ。大きさは曖昧で、山の様にという人も居れば、漬物石程度という人も様々だ。
これらを、『実際』に見るのではなく、『夢』に現れる。更には、二体を同時に現れる事は、無いらしい。
それぞれどちらかが、夢に現れると、近日中に、その恩恵や危害を受ける。
カワミ様を見た物は、仕事で出世したり、宝くじが当たったりと幸運が訪れる。
アラミ様は、その逆で、翌朝事故に遭ったり、畑が荒らされていたりと、不運が降りかかる。
噂には尾ひれがついて、カワミ様が現れた数、アラミ様の大きさでそれぞれの運の強さを計れるらしい。
何故そんな話をしたかと言うと、私も今朝、その夢を見て飛び起きてしまったのだ。
しかし、私の夢は噂とは、まるで違っていた。
カワミ様とアラミ様、両方出現したのだ…。
そんな噂等、一度も聞いたことがなかった…。
目を覚まし、部屋を出ると、一目散に視界に入ったのは、葛餅の様な半透明な蛙だった。
普通のアマガエル程の大きさの半透明の蛙が、廊下に鎮座していたのだ。
最初は一匹だけかと思ったが、彼等は、廊下の壁や扉等、至る所に点在し、鳴き袋の辺りを動かし、呼吸していた。
夢の中だと言うのに、私は嬉しくなり、廊下を走り抜け、意味もなく台所に向かった。
そして、そこで視界に飛び込んできたのは、漬物石サイズの大きな蛙だった。
おどろおどろしい、黄緑色の大きなアマガエルは、台所の隅の方に鎮座し、じっとこちらを見つめていた。
そこで私は気が付いた。廊下に居た、半透明な蛙たちも、余すことなく、こちらを見つめていた…。
そこで、目が覚めた…。
身体からは、まるで雨に打たれたのではないかと、錯覚するくらい、寝汗を掻いていた。
時計を見ると、六時を少し過ぎたあたりだった。
仕事が始まるまでは、まだ少し時間があるが、もう一度目を瞑る事が出来なかった。
夢の話。将又、噂話とは言え、そんな物を見た後だ。流石にそこまで図太い性格をしている訳ではない…。
すっかり目が冴えた私は、取り敢えず煎餅布団を畳み、押し入れに仕舞った。
二対の神様が出て来るとはどういう事なのか…。
カワミ様と言うのは、無色透明な蛙だ。大きさは、普通のアマガエルと変わらない、三センチほどで、複数体居る。無色透明とは言え、完全な透明ではなく、葛餅の様に、少しだけ濁った感じだ。内蔵は見えず、目だけがギラリと光っているらしい。
一方アラミ様は、強大なアマガエルだ。大きさは曖昧で、山の様にという人も居れば、漬物石程度という人も様々だ。
これらを、『実際』に見るのではなく、『夢』に現れる。更には、二体を同時に現れる事は、無いらしい。
それぞれどちらかが、夢に現れると、近日中に、その恩恵や危害を受ける。
カワミ様を見た物は、仕事で出世したり、宝くじが当たったりと幸運が訪れる。
アラミ様は、その逆で、翌朝事故に遭ったり、畑が荒らされていたりと、不運が降りかかる。
噂には尾ひれがついて、カワミ様が現れた数、アラミ様の大きさでそれぞれの運の強さを計れるらしい。
何故そんな話をしたかと言うと、私も今朝、その夢を見て飛び起きてしまったのだ。
しかし、私の夢は噂とは、まるで違っていた。
カワミ様とアラミ様、両方出現したのだ…。
そんな噂等、一度も聞いたことがなかった…。
目を覚まし、部屋を出ると、一目散に視界に入ったのは、葛餅の様な半透明な蛙だった。
普通のアマガエル程の大きさの半透明の蛙が、廊下に鎮座していたのだ。
最初は一匹だけかと思ったが、彼等は、廊下の壁や扉等、至る所に点在し、鳴き袋の辺りを動かし、呼吸していた。
夢の中だと言うのに、私は嬉しくなり、廊下を走り抜け、意味もなく台所に向かった。
そして、そこで視界に飛び込んできたのは、漬物石サイズの大きな蛙だった。
おどろおどろしい、黄緑色の大きなアマガエルは、台所の隅の方に鎮座し、じっとこちらを見つめていた。
そこで私は気が付いた。廊下に居た、半透明な蛙たちも、余すことなく、こちらを見つめていた…。
そこで、目が覚めた…。
身体からは、まるで雨に打たれたのではないかと、錯覚するくらい、寝汗を掻いていた。
時計を見ると、六時を少し過ぎたあたりだった。
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夢の話。将又、噂話とは言え、そんな物を見た後だ。流石にそこまで図太い性格をしている訳ではない…。
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二対の神様が出て来るとはどういう事なのか…。
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