上 下
12 / 15
調査ファイル1:素行調査

#10

しおりを挟む
 それから数分経つと、熊谷チームから、京子が自宅を出たと、報告が上がった。
 『アミちゃんと、例の女の子出てきましたよ。女の子が居る以外は、特段変わった様子はないですね…。とりあえず、収音マイク取り付けてきます。』
 「了解です。引き続き頼みます。」
 美歌はそう応え、引き続き日下部を追跡した。
 「ミカ、暑くないか?追跡だけなら、交代でもできるし…。」
 彼女は普段、カシワギ班の通信担当。そのため、外に出て仕事をすることは殆どない。あっても、パソコンや通信機器が使える、屋内や車内の方が多い。
 そのため、この高温の屋外の環境に慣れていないのか、彼女の体からは大粒の汗が、滝の様に湧き出ていた。
 「だ、大丈夫。」
 「本当か?しっかり水分補給しておけよ。」
 「ちゃんと飲み物は持ってきてるから大丈夫。最悪、コンビニか自販機寄るから。」
 「そうか。無理になる前に、言ってくれよ。」
 「ありがとう。」
 正直、こんな不正規な依頼で、倒れたり病気にでもなったりしたら、土屋や宮間から怒られるのは、最高地位である柏木班長だ。それだけは、美歌も困るだろう…。だから、現場慣れしていない彼女には、人一倍、気にかけておかないと、思い出した頃には既に…。ということもあり得る…。
 「はぁ…。」
 「なんでため息吐いてるのよ…。」
 思わず、心に溜まっていたものが溢れ出てしまったようだ…。
 「…なんでもないっすよ。ただ、あちぃなぁ…と思って。」
 「そう…。」
 美歌はそう呟くと、袖で自分の汗をぬぐった。
 「…タケ。雑談として聞いても良い?」
 少しの無言が続いたあと、美歌が訊ねてきた。
 「あまりセンシティブな内容じゃなければ。」
 「そんなこと聞かないよ…。」
 この日、彼女の笑ったところを初めて見た。
 「タケって、好きな人、居る?」
 「え?」
 「ただの興味だよ。居るか居ないかだけでいいから、教えてよ。」
 まさか、美歌の方から、その質問が飛んでくるとは思わなかった。
 『あ、それ私も気になります!』
 プライベート通話繋いだままのリンさんからもリクエストが入った…。
 どうしていつの時代も女性は、こういった話が好物なのだろうか…。
 「まぁ、今は居ないっすね…。絶賛募集中です。」
 「マジ?どういった人がタイプなの?うちのメンバーで言ったら、誰が近い?」
 さっきは、居るか居ないかだけと言っていたと思ったんだが…。
 「まぁ、優しくて常識ある人かな。ホームズのメンバーで言ったら、実採さんかアミちゃんですかね。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

「鏡像のイデア」 難解な推理小説

葉羽
ミステリー
豪邸に一人暮らしする天才高校生、神藤葉羽(しんどう はね)。幼馴染の望月彩由美との平穏な日常は、一枚の奇妙な鏡によって破られる。鏡に映る自分は、確かに自分自身なのに、どこか異質な存在感を放っていた。やがて葉羽は、鏡像と現実が融合する禁断の現象、「鏡像融合」に巻き込まれていく。時を同じくして街では異形の存在が目撃され、空間に歪みが生じ始める。鏡像、異次元、そして幼馴染の少女。複雑に絡み合う謎を解き明かそうとする葉羽の前に、想像を絶する恐怖が待ち受けていた。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

丹波探偵

ぽりたんQ
ミステリー
丹波 体(たんば てい)という自称探偵の民俗学者と その助手で丹波より頭の回る久利須 京(くりす けい)のドタバタ活劇偽ミステリー珍道中

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...