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調査ファイル1:素行調査
#10
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それから数分経つと、熊谷チームから、京子が自宅を出たと、報告が上がった。
『アミちゃんと、例の女の子出てきましたよ。女の子が居る以外は、特段変わった様子はないですね…。とりあえず、収音マイク取り付けてきます。』
「了解です。引き続き頼みます。」
美歌はそう応え、引き続き日下部を追跡した。
「ミカ、暑くないか?追跡だけなら、交代でもできるし…。」
彼女は普段、カシワギ班の通信担当。そのため、外に出て仕事をすることは殆どない。あっても、パソコンや通信機器が使える、屋内や車内の方が多い。
そのため、この高温の屋外の環境に慣れていないのか、彼女の体からは大粒の汗が、滝の様に湧き出ていた。
「だ、大丈夫。」
「本当か?しっかり水分補給しておけよ。」
「ちゃんと飲み物は持ってきてるから大丈夫。最悪、コンビニか自販機寄るから。」
「そうか。無理になる前に、言ってくれよ。」
「ありがとう。」
正直、こんな不正規な依頼で、倒れたり病気にでもなったりしたら、土屋や宮間から怒られるのは、最高地位である柏木班長だ。それだけは、美歌も困るだろう…。だから、現場慣れしていない彼女には、人一倍、気にかけておかないと、思い出した頃には既に…。ということもあり得る…。
「はぁ…。」
「なんでため息吐いてるのよ…。」
思わず、心に溜まっていたものが溢れ出てしまったようだ…。
「…なんでもないっすよ。ただ、あちぃなぁ…と思って。」
「そう…。」
美歌はそう呟くと、袖で自分の汗をぬぐった。
「…タケ。雑談として聞いても良い?」
少しの無言が続いたあと、美歌が訊ねてきた。
「あまりセンシティブな内容じゃなければ。」
「そんなこと聞かないよ…。」
この日、彼女の笑ったところを初めて見た。
「タケって、好きな人、居る?」
「え?」
「ただの興味だよ。居るか居ないかだけでいいから、教えてよ。」
まさか、美歌の方から、その質問が飛んでくるとは思わなかった。
『あ、それ私も気になります!』
プライベート通話繋いだままのリンさんからもリクエストが入った…。
どうしていつの時代も女性は、こういった話が好物なのだろうか…。
「まぁ、今は居ないっすね…。絶賛募集中です。」
「マジ?どういった人がタイプなの?うちのメンバーで言ったら、誰が近い?」
さっきは、居るか居ないかだけと言っていたと思ったんだが…。
「まぁ、優しくて常識ある人かな。ホームズのメンバーで言ったら、実採さんかアミちゃんですかね。」
『アミちゃんと、例の女の子出てきましたよ。女の子が居る以外は、特段変わった様子はないですね…。とりあえず、収音マイク取り付けてきます。』
「了解です。引き続き頼みます。」
美歌はそう応え、引き続き日下部を追跡した。
「ミカ、暑くないか?追跡だけなら、交代でもできるし…。」
彼女は普段、カシワギ班の通信担当。そのため、外に出て仕事をすることは殆どない。あっても、パソコンや通信機器が使える、屋内や車内の方が多い。
そのため、この高温の屋外の環境に慣れていないのか、彼女の体からは大粒の汗が、滝の様に湧き出ていた。
「だ、大丈夫。」
「本当か?しっかり水分補給しておけよ。」
「ちゃんと飲み物は持ってきてるから大丈夫。最悪、コンビニか自販機寄るから。」
「そうか。無理になる前に、言ってくれよ。」
「ありがとう。」
正直、こんな不正規な依頼で、倒れたり病気にでもなったりしたら、土屋や宮間から怒られるのは、最高地位である柏木班長だ。それだけは、美歌も困るだろう…。だから、現場慣れしていない彼女には、人一倍、気にかけておかないと、思い出した頃には既に…。ということもあり得る…。
「はぁ…。」
「なんでため息吐いてるのよ…。」
思わず、心に溜まっていたものが溢れ出てしまったようだ…。
「…なんでもないっすよ。ただ、あちぃなぁ…と思って。」
「そう…。」
美歌はそう呟くと、袖で自分の汗をぬぐった。
「…タケ。雑談として聞いても良い?」
少しの無言が続いたあと、美歌が訊ねてきた。
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「そんなこと聞かないよ…。」
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「タケって、好きな人、居る?」
「え?」
「ただの興味だよ。居るか居ないかだけでいいから、教えてよ。」
まさか、美歌の方から、その質問が飛んでくるとは思わなかった。
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