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調査ファイル1:素行調査

#1

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 依頼されていた素行調査が終わり、一緒に組んでいた熊谷とともに、日差しと灼熱を避ける様に近くのチェーン店の喫茶店に入った。
 「暑い…。なんでこんな暑い日に私が外で調査なんてしなきゃいけないのよ…。」
 窓際にある席に座るや否や、熊谷がそう声を上げた。
 「仕方ないだろ、アミちゃんが急用だっていうから、一番暇そうなクマちゃんに、代打してもらうしかなかったんだよ。」
 本来は今回の依頼の調査は、俺、岡本と亮太、京子の3人で調査していた。だが、今日の調査最終日に、京子が急用とかで、急遽熊谷に代打を頼んだ。
 「…暇だったのは認めるけど…。こんなに過酷だとは思ってなかったよ…。」
 「過酷って、1~2時間追跡調査するだけだったろ…。」
 調査とは言え、特別な肉体行動をやらせたわけでも、走らせたわけでもない。しいて言うなら、外の気温が熱い程度だ…。
 「お待たせしました。ご注文されたカフェ・オ・レとメロンソーダです。」
 店員から注文したものをそれぞれ受け取った。
 「あ、追加でフライドポテトも貰っていい?」
 熊谷が店員にそういうと、店員は了承し戻っていった。
 「腹減ってたんですか?行ってくれば、ファミレスとかにしたのに…。」
 「良いよ、ここが一番近かったし、そんなにがっつり食べるほどでもないから…。」
 「そっか。じゃぁ俺も何か食べようかなぁ。」
 メニュー表を開いたとき、熊谷の視線が、窓の外に向けられていることに気付いた。そして何か驚いたような表情をしている…。
 「何どうした?」
 「…あ、あれ…。」
 熊谷は視線の先に指をさした。
 俺はその方を見た。すると見慣れた顔がカフェ近くの交差点に立ち信号待ちをしていた。
 「あれ?アミちゃんですよね?なんだってこんなところに。」
 先述通り、彼女は今日、急遽休みを取っている筈だ。だから、彼女の自宅からは程遠いこんな場所にはいる筈がなかった。
 「何か用事ですかね…。」
 「違うくて!その隣見て!」
 「隣?」
 そういわれ、彼女の隣に視線を向けた。すると2~3歳くらいの女の子の手を引いていた。
 さらにその隣には…。
 「リュ、リューさん?」
 女の子を挟むようウチの調査班の班長、日下部竜司が立っている。それも、女の子の手を握っている。そして、交差点の信号が変わり、3人して歩き出した。
 そして日下部と京子は、時折女の子に微笑みながら話しかけているようだった…。
 「え?あの二人って、そういう関係…。っていうか、どんな状況?」
 「お待たせしました。注文された、フライドポテトです。」
 料理を運んできた店員に気を取られた瞬間、あの3人は、人込みの中に消えていった。
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