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番外編
【IF】シエテルート 2
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「にーに?ここは?どうして、私達はここにいるの?」
シエテは、シーナの問いに笑顔で答えたのだ。
「シーたん。これからは、ここに二人きりで暮らすんだよ。あぁ、とても楽しそうだね」
「ちーち、はーはは?ねぇ、二人は?それに、二人で暮らすって……」
「二人は、俺たちを引き離そうとしたんだ。そんな事許されるわけないよね。ふふ、二人だけの生活はとっても楽しいよ、きっと」
そう言ってからシエテは、小さな小屋に簡易のベッドや椅子、テーブルを一つづつ作って設置していった。
それからは、一つのベッドで一緒に眠り、食事はシエテの膝に座らされて摂る生活が続いた。
しかし、森の中のものだけで生活をすることは困難なため、定期的にシエテは森から出て買い出しに出ていた。
シエテが買い出しに行く間は、シーナは小屋に一人で残された。
シエテは、出かけるとき必ずシーナに言った。
「シーたん。絶対に外に出たら駄目だよ?外は危ないからね」
シーナは、シエテの狂気に気が付いていたが、そうなった原因が自分と言うよりも、前世の自分にあるとなんとなく理解していたため、全てを受け入れていた。
それは、贖罪のような思いからだった。
そして、シエテもそんなシーナの気持ちを知っていたが、敢えて気が付かないふりをしていた。
シエテは、シーナが言い付けを破らないことを知っていたが、心配でしょうがなかったため、出かける時は必ず外から鍵をかけていたのだ。
その日の買い出しは、少し時間が掛かってしまった。
シーナの好きな蜂蜜を見つけたシエテは、ついつい予定になかった寄り道をしてしまったのだ。
精霊の森に後少しの距離に近づいたとき、異変に気がついた。
もう、薄暗いというのに、森の方が明るいということに。
嫌な予感にシエテは持っていた荷物を放り出して全力で駆け出していた。
森に着くと、恐ろしいことに木々が燃えていたのだ。
そして、森の入口に人の姿が見えたのだ。
シエテは、気配を殺して森の入口にいる人物に近づいた。
「けっ!何が妖精の森だよ!!中に入れないんじゃ、目の前のお宝を取れないじゃないか!!忌々しい!!他のやつの手にお宝が行くくらいなら、全部燃やしてやる!!」
その声を聞いたシエテは、一気に頭に血が昇っていた。
手に持っていた剣で、森に火をつけたと思われる男を後ろから袈裟斬りにした。
そして、剣を返す手で首を撥ねていた。
物言わぬ死体となった男に目もくれず、シエテは小屋の方に全力で駆け出した。
しかし、全てが遅かった。
小屋にも火が燃え移ったようで、小屋のあった場所には小屋の残骸しか無かったのだ。
「ああああああああ!!!!!シーナ!!シーナシーナシーナ!!!ああああああああ!!!!!!」
服や髪に火が燃え移るのも気にすることもなく、小屋の残骸を手で掻き分ける。
炭となった小屋の残骸を掻き避けてもシーナは見つからなかった。
ただし、シーナの髪と思われる髪の束だけが残骸の下から見つかった。
シエテは、自分が小屋に鍵をかけなければシーナは逃げられたのだと思い、愚かな自分を呪った。
シーナがいない世界で生きる意味など無いと悟ったシエテは、燃え盛る炎の海に自ら進んで入っていった。
その後、精霊の森は燃え続けた。
不思議なことに、雨が降っても木が全て炭になって崩れても火は消えることはなかったのだ。
その後人々は、精霊の呪いで森が燃え続けるのだと実しやかに語りだしたのだ。
しかし、実際には精霊の呪いなどではなかった。
それは、シエテの後悔が業火の炎となり永遠に燃え続けた結果の現象だったのだ。
【IF】シエテルート BADEND 完
シエテは、シーナの問いに笑顔で答えたのだ。
「シーたん。これからは、ここに二人きりで暮らすんだよ。あぁ、とても楽しそうだね」
「ちーち、はーはは?ねぇ、二人は?それに、二人で暮らすって……」
「二人は、俺たちを引き離そうとしたんだ。そんな事許されるわけないよね。ふふ、二人だけの生活はとっても楽しいよ、きっと」
そう言ってからシエテは、小さな小屋に簡易のベッドや椅子、テーブルを一つづつ作って設置していった。
それからは、一つのベッドで一緒に眠り、食事はシエテの膝に座らされて摂る生活が続いた。
しかし、森の中のものだけで生活をすることは困難なため、定期的にシエテは森から出て買い出しに出ていた。
シエテが買い出しに行く間は、シーナは小屋に一人で残された。
シエテは、出かけるとき必ずシーナに言った。
「シーたん。絶対に外に出たら駄目だよ?外は危ないからね」
シーナは、シエテの狂気に気が付いていたが、そうなった原因が自分と言うよりも、前世の自分にあるとなんとなく理解していたため、全てを受け入れていた。
それは、贖罪のような思いからだった。
そして、シエテもそんなシーナの気持ちを知っていたが、敢えて気が付かないふりをしていた。
シエテは、シーナが言い付けを破らないことを知っていたが、心配でしょうがなかったため、出かける時は必ず外から鍵をかけていたのだ。
その日の買い出しは、少し時間が掛かってしまった。
シーナの好きな蜂蜜を見つけたシエテは、ついつい予定になかった寄り道をしてしまったのだ。
精霊の森に後少しの距離に近づいたとき、異変に気がついた。
もう、薄暗いというのに、森の方が明るいということに。
嫌な予感にシエテは持っていた荷物を放り出して全力で駆け出していた。
森に着くと、恐ろしいことに木々が燃えていたのだ。
そして、森の入口に人の姿が見えたのだ。
シエテは、気配を殺して森の入口にいる人物に近づいた。
「けっ!何が妖精の森だよ!!中に入れないんじゃ、目の前のお宝を取れないじゃないか!!忌々しい!!他のやつの手にお宝が行くくらいなら、全部燃やしてやる!!」
その声を聞いたシエテは、一気に頭に血が昇っていた。
手に持っていた剣で、森に火をつけたと思われる男を後ろから袈裟斬りにした。
そして、剣を返す手で首を撥ねていた。
物言わぬ死体となった男に目もくれず、シエテは小屋の方に全力で駆け出した。
しかし、全てが遅かった。
小屋にも火が燃え移ったようで、小屋のあった場所には小屋の残骸しか無かったのだ。
「ああああああああ!!!!!シーナ!!シーナシーナシーナ!!!ああああああああ!!!!!!」
服や髪に火が燃え移るのも気にすることもなく、小屋の残骸を手で掻き分ける。
炭となった小屋の残骸を掻き避けてもシーナは見つからなかった。
ただし、シーナの髪と思われる髪の束だけが残骸の下から見つかった。
シエテは、自分が小屋に鍵をかけなければシーナは逃げられたのだと思い、愚かな自分を呪った。
シーナがいない世界で生きる意味など無いと悟ったシエテは、燃え盛る炎の海に自ら進んで入っていった。
その後、精霊の森は燃え続けた。
不思議なことに、雨が降っても木が全て炭になって崩れても火は消えることはなかったのだ。
その後人々は、精霊の呪いで森が燃え続けるのだと実しやかに語りだしたのだ。
しかし、実際には精霊の呪いなどではなかった。
それは、シエテの後悔が業火の炎となり永遠に燃え続けた結果の現象だったのだ。
【IF】シエテルート BADEND 完
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