43 / 113
第三部
第一章 そうだ、王都へ行こう!! 2
しおりを挟む
三人は、早速シーナの家に向かった。両親はあっさり王都行きを許してくれた。
そして、シエテは案の定盛大に渋った。
それはもう、口を開けば「ダメダメ」「駄目ったら駄目」「ダメ、絶対ダメ」と、駄目駄目駄目と猛反対した。
猛反対を受けたシーナは、頬を膨らませてそんなシエテに反対される度に言った。
「行くよ!!ちーちとはーはは、行ってもいいって言ったよ!にーにに反対されても行くったら行くの!」
こうして、産まれて初めてシーナとシエテは兄妹喧嘩をした。
初めての兄妹喧嘩でどう仲直りして良いのか分からなかった二人の喧嘩は思いの外長引いた。
シーナは次第に元気を無くしていき、シエテはシーナ禁断症状が出たのか日に日に窶れていった。
そんな二人を助けたのは、初恋を見事に散らしたクリストフだった。
仲直りがしたくても意地を張ったシーナと、王都行きは絶対反対で折れるわけにはいかず八方塞がりになっているシエテを見かねての行動だった。
クリストフが、シーナとシエテに言ったのだ。
「なぁ、こんなことで喧嘩してもったいないよ。シエテがそんなに王都行きを反対するのかは分からないけど、シーナちゃんだっていつまでも子供じゃないんだ。いつかはお前の元を離れる時が来る。それに、シーナちゃんも。シエテがいつまでも側にいると思って意地を張っているみたいだけど、シエテもいつか誰かと結婚して、シーナちゃんの直ぐ側に居られなくなる時が来るかもしれないよ?だから、喧嘩はもうお終いにして、仲直りしたら?」
真剣な様子でそう言ったクリストフの言葉を聞いたシーナとシエテはこれからのことを改めて考えた。
しかし、お互いにお互いが離れていく未来は想像できなかった。
そこで二人はほぼ同時に、お互いの顔を見やって、同時に言った。
「そうだね。にーにと喧嘩するのは寂しいし疲れるからもうしたくないよ」
「シーたんと喧嘩するのは物凄く寂しいし、死にたくなるからもうしたくないな」
若干シエテの物言いが重くもあったが、それを合図に初めての兄妹喧嘩は幕を閉じた。
しかし、シエテが王都行きを許したわけではなかった。
そこで、シーナは改めて王都行きに反対する理由を尋ねた。
「にーに?どうしてそんなに反対するの?お姉ちゃんは、何度も王都に行っているみたいだし、大丈夫だと思うよ?」
シーナの質問に、シエテは苦虫を噛み潰したような表情になりながらもボソボソと言った。
「王都は忌まわしい場所だから……」
そこまで聞いたシーナは、全てを察した。シエテが前世のことで王都行きを心配してくれていたことに。
しかし、シーナはあっけらかんとした様子で言った。
「にーには、心配性だね。私は私だから大丈夫だよ」
その言葉を聞いたシエテは、最初は驚いた表情をしてから、次に困った表情をして言った。
「そうだな。もう、俺達は、俺達なんだよな。分かった。だが、俺もついていくのが条件だ」
「にーに、ありがとう」
「ごめん。ちょっと神経質すぎた」
クリストフは、よく分からないが双子の中で決着がついたのを見てうんうんと一人頷いていた。
こうして、王都行きはシエテが同行するということを条件に許しが出たのだった。
王都には、レイゼイ家が所有する馬車で向かうことになった。
レイゼイ家の馬車は、技術特区の技術の粋が詰まった特殊な馬車で、一見普通の馬車に見えたが、不思議なことに中は、見た目よりも広い作りになっていた。
乗り心地も良い馬車に揺られて、四人は王都に向かった。
初めての馬車の旅にシーナは、楽しそうにしていた。
それを見てシエテは、一瞬前世の記憶が蘇ったが、今は今だと頭を振ってそれを追い出した。
レイゼイ家の馬車は、不思議なことに他の馬車よりもスピードが出たため、数日で王都に到着した。
王都に到着して直ぐに、技術特区へと向かった。
技術特区。
それは、百年以上前に異世界から召喚された人達が多く住み、さらには異世界の知恵で様々な魔道具が作られ、魔道具技師たちが多く住む区画でもあった。
フェルエルタとクリストフの免許の更新は、旅の疲れを癒やしてから行うということで、王都に到着した二日後に行われることになった。
四人は、技術特区に設けられた宿泊施設に滞在することになった。
シーナとシエテは、二人が免許の更新を終えるまでは技術特区を見て回ることにした。
そこは、不思議な道具がたくさん置かれていて、見て回るだけでも楽しいものだった。
王都の観光は、二人の用事が終わってから四人で回ろうということになっていた。
二人の用事が終わった日の翌日、王都観光をするため四人は商業区画に出かけていった。
そして、シエテは案の定盛大に渋った。
それはもう、口を開けば「ダメダメ」「駄目ったら駄目」「ダメ、絶対ダメ」と、駄目駄目駄目と猛反対した。
猛反対を受けたシーナは、頬を膨らませてそんなシエテに反対される度に言った。
「行くよ!!ちーちとはーはは、行ってもいいって言ったよ!にーにに反対されても行くったら行くの!」
こうして、産まれて初めてシーナとシエテは兄妹喧嘩をした。
初めての兄妹喧嘩でどう仲直りして良いのか分からなかった二人の喧嘩は思いの外長引いた。
シーナは次第に元気を無くしていき、シエテはシーナ禁断症状が出たのか日に日に窶れていった。
そんな二人を助けたのは、初恋を見事に散らしたクリストフだった。
仲直りがしたくても意地を張ったシーナと、王都行きは絶対反対で折れるわけにはいかず八方塞がりになっているシエテを見かねての行動だった。
クリストフが、シーナとシエテに言ったのだ。
「なぁ、こんなことで喧嘩してもったいないよ。シエテがそんなに王都行きを反対するのかは分からないけど、シーナちゃんだっていつまでも子供じゃないんだ。いつかはお前の元を離れる時が来る。それに、シーナちゃんも。シエテがいつまでも側にいると思って意地を張っているみたいだけど、シエテもいつか誰かと結婚して、シーナちゃんの直ぐ側に居られなくなる時が来るかもしれないよ?だから、喧嘩はもうお終いにして、仲直りしたら?」
真剣な様子でそう言ったクリストフの言葉を聞いたシーナとシエテはこれからのことを改めて考えた。
しかし、お互いにお互いが離れていく未来は想像できなかった。
そこで二人はほぼ同時に、お互いの顔を見やって、同時に言った。
「そうだね。にーにと喧嘩するのは寂しいし疲れるからもうしたくないよ」
「シーたんと喧嘩するのは物凄く寂しいし、死にたくなるからもうしたくないな」
若干シエテの物言いが重くもあったが、それを合図に初めての兄妹喧嘩は幕を閉じた。
しかし、シエテが王都行きを許したわけではなかった。
そこで、シーナは改めて王都行きに反対する理由を尋ねた。
「にーに?どうしてそんなに反対するの?お姉ちゃんは、何度も王都に行っているみたいだし、大丈夫だと思うよ?」
シーナの質問に、シエテは苦虫を噛み潰したような表情になりながらもボソボソと言った。
「王都は忌まわしい場所だから……」
そこまで聞いたシーナは、全てを察した。シエテが前世のことで王都行きを心配してくれていたことに。
しかし、シーナはあっけらかんとした様子で言った。
「にーには、心配性だね。私は私だから大丈夫だよ」
その言葉を聞いたシエテは、最初は驚いた表情をしてから、次に困った表情をして言った。
「そうだな。もう、俺達は、俺達なんだよな。分かった。だが、俺もついていくのが条件だ」
「にーに、ありがとう」
「ごめん。ちょっと神経質すぎた」
クリストフは、よく分からないが双子の中で決着がついたのを見てうんうんと一人頷いていた。
こうして、王都行きはシエテが同行するということを条件に許しが出たのだった。
王都には、レイゼイ家が所有する馬車で向かうことになった。
レイゼイ家の馬車は、技術特区の技術の粋が詰まった特殊な馬車で、一見普通の馬車に見えたが、不思議なことに中は、見た目よりも広い作りになっていた。
乗り心地も良い馬車に揺られて、四人は王都に向かった。
初めての馬車の旅にシーナは、楽しそうにしていた。
それを見てシエテは、一瞬前世の記憶が蘇ったが、今は今だと頭を振ってそれを追い出した。
レイゼイ家の馬車は、不思議なことに他の馬車よりもスピードが出たため、数日で王都に到着した。
王都に到着して直ぐに、技術特区へと向かった。
技術特区。
それは、百年以上前に異世界から召喚された人達が多く住み、さらには異世界の知恵で様々な魔道具が作られ、魔道具技師たちが多く住む区画でもあった。
フェルエルタとクリストフの免許の更新は、旅の疲れを癒やしてから行うということで、王都に到着した二日後に行われることになった。
四人は、技術特区に設けられた宿泊施設に滞在することになった。
シーナとシエテは、二人が免許の更新を終えるまでは技術特区を見て回ることにした。
そこは、不思議な道具がたくさん置かれていて、見て回るだけでも楽しいものだった。
王都の観光は、二人の用事が終わってから四人で回ろうということになっていた。
二人の用事が終わった日の翌日、王都観光をするため四人は商業区画に出かけていった。
0
お気に入りに追加
2,606
あなたにおすすめの小説
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
【完結】結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが
Rohdea
恋愛
結婚式の当日、花婿となる人は式には来ませんでした───
伯爵家の次女のセアラは、結婚式を控えて幸せな気持ちで過ごしていた。
しかし結婚式当日、夫になるはずの婚約者マイルズは式には現れず、
さらに同時にセアラの二歳年上の姉、シビルも行方知れずに。
どうやら、二人は駆け落ちをしたらしい。
そんな婚約者と姉の二人に裏切られ惨めに捨てられたセアラの前に現れたのは、
シビルの婚約者で、冷酷だの薄情だのと聞かされていた侯爵令息ジョエル。
身勝手に消えた姉の代わりとして、
セアラはジョエルと新たに婚約を結ぶことになってしまう。
そして一方、駆け落ちしたというマイルズとシビル。
二人の思惑は───……
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
「僕は病弱なので面倒な政務は全部やってね」と言う婚約者にビンタくらわした私が聖女です
リオール
恋愛
これは聖女が阿呆な婚約者(王太子)との婚約を解消して、惚れた大魔法使い(見た目若いイケメン…年齢は桁が違う)と結ばれるために奮闘する話。
でも周囲は認めてくれないし、婚約者はどこまでも阿呆だし、好きな人は塩対応だし、婚約者はやっぱり阿呆だし(二度言う)
はたして聖女は自身の望みを叶えられるのだろうか?
それとも聖女として辛い道を選ぶのか?
※筆者注※
基本、コメディな雰囲気なので、苦手な方はご注意ください。
(たまにシリアスが入ります)
勢いで書き始めて、駆け足で終わってます(汗
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる