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第一部
第三章 血に染まった令嬢は、悪魔の子と蔑まれる 4
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イシュミールの悲鳴は口に含んだドレスにすべて吸い取られることはなく、悲痛な叫びがカーシュの耳に届いた。
敬愛するイシュミールの命を救うためとは言え、その身を自らの手で傷つけたことにカーシュは頭がおかしくなりそうだった。
しかし、手を止めることは許されない。
その後急いで、剣を再び清めてから炎で炙り十分に鉄の剣に熱が通ったところで、剣の腹で切断した左腕を焼いて止血をする。
イシュミールは、自身の上げた叫び声は、ある程度は自ら口に含んだドレスの布が吸い取ってくれたが、カーシュには酷い悲鳴を聞かせてしまったと朦朧とする意識の中で思っていた。
そして、辛い役目を果たしてくれたカーシュにあまり無様な姿を晒さずに済んだかと考えていると、約束通りに自分の手当をする姿が見えて、安堵の息をついた。
カーシュは、イシュミールの処置が終わった後に、自分の腹も同じように止血をする。
止血はしたが、傷は内蔵まで達していたことから、後どれくらい姫を守れるのかと考えた。
そして、自分の手当をしながら、不甲斐ない自分に激怒していた。
(くそ!!俺は!!守ると誓った姫に……。大の男でも発狂するほどの痛みだったろうに……。なぜ姫がこんな目に合わなくてはならないんだ!!!俺は、姫を守れなかった!!!くそ、くそ、くそ!!!!)
イシュミールは壊死による死は真逃れたが、早くきちんとした治療をしなければ危ない状態に変わりはなかった。
「姫、最低限の治療はしましたが、早急にきちんとした治療を受ける必要があります。しかし、俺は血を失いすぎてます。もしものときは、お一人でも逃げ延びてください。姫が逃げる時間稼ぎくらいはしてみせますから」
「カーシュ!!一緒に生き延びるんです!!それ以外は許しません」
「俺も、出来ればそうしたいですが、難しそうです」
カーシュがそう言って、洞窟の入り口に視線を向けた。
そこには、カーシュが想像していた人物が立っていた。そして、イシュミールには、予想外の人物がだ。
「イシュタル!!無事だったのね!!良かった。怪我は―――」
そこまで言ったところで、イシュミールは、イシュタルが一人ではないことに気がついたのだ。
「イシュタル?ねぇ、その人達は?」
イシュミールがそこまで言ったところで、イシュタルは表情を歪めて言った。
「まぁ、姉様。無事だったんですね。あーよかった。そうなるとシナリオ通り、姉様には、わたくしとして生きてもらいますわね。貴方はわたくしの言うことを聞かないからいらないわ」
そう言って、背後にいた男たちに冷たい声音で言った。
「あの男を殺して。わたくしの大切な姉様に馴れ馴れしくしていて、本当に嫌いだったのよね。わたくしの力も何故か効かなかったし」
イシュタルに命じられた男たちは、虚ろな瞳でカーシュを見たあとに、まるで操られているかのような足取りで、血を失い土気色になっているカーシュに近づき容赦なく手に持っていた剣を何度も振り下ろした。
カーシュは、なんとか剣を持って抗っていたが次第に剣を持つ手に力が入らなくなり、剣を取り落してしまった。
剣を失ったカーシュは何度も何度も切りつけられて体中から血を流していた。
イシュミールは、何度も駆け寄ろうとしたが、イシュタルに命じられた男に押さえつけられて、ただ叫ぶことしか出来なかった。
「いやああああああ!!もうやめて!!カーシュが!カーシュが死んでしまう!!お願いだからもうやめて、カーシュ、カーシュ!!!」
イシュミールの悲痛な声を聞いたカーシュは、申し訳無さそうな表情で、切れ切れに言った。
「ひめ……、もう、しわけ、あり……ません。お、おまもり、する、ことが。でき……な、く、て―――」
そして、カーシュは全く動かなくなった。
しかし、それでも命じられた男は斬りつけることをやめなかった。
イシュミールは、ただそれを、泣き叫びながら見ることしか出来なかった。
そんなイシュミールを痛ましげに見ていたイシュタルは、あることに気がついて激昂した。
「!!姉様、その腕……」
そこまで言ったところで、全てを理解したイシュタルは、既に事切れているカーシュに近づき何度も何度もその体を蹴り飛ばした。
「この、畜生風情が!!姉様の腕を切ったのね!!許さない!!呪ってやる!!」
そして、カーシュの側に落ちているイシュミールの左腕に気がついたイシュタルはそれを拾い上げて大切そうに抱きしめた。
そのうっとりとした表情とは裏腹に、今度はイシュミールを押さえつけている男に恐ろしいことを命令した。
「はぁ、これで姉様はわたくしだけのものね。でも、お喋りをされてしまうと困りますね。そうだわ、姉様の喉を潰してくださいな。姉様の可愛らしいお声が聞けなくなることは、残念ですが仕方ありません。それが終わったら、あなた達は用済みなので、お互いに切りあってくださいね」
そう言われた男たちは命令に忠実に従った。
そして、イシュミールの喉を潰した後に男たちはお互いに切りあって事切れた。
イシュミールは、痛みとあまりの状況に意識を遠のかせた。
意識を失ったイシュミールをイシュタルが愛おしそうに見つめた。そして、潰された喉に優しい手付きで触れてから、既に事切れているイシュミールの喉を潰した男に視線を向け激昂したように吐き捨てた。
「お前のようなゴミが姉様の喉を潰したなんて!!許せない……、お前など永遠に地獄を彷徨えばいいのよ」
そういって、自分で命じておきながら、イシュミールの喉を潰した男を何度も何度も蹴りつけたのだ。
そして、気の済むまで蹴りつけてから自らの手の中にあるイシュミールの左腕を見つめて、うっとりとした表情で言った。
「うふふ。これで、姉様といつも一緒にいられるのね」
敬愛するイシュミールの命を救うためとは言え、その身を自らの手で傷つけたことにカーシュは頭がおかしくなりそうだった。
しかし、手を止めることは許されない。
その後急いで、剣を再び清めてから炎で炙り十分に鉄の剣に熱が通ったところで、剣の腹で切断した左腕を焼いて止血をする。
イシュミールは、自身の上げた叫び声は、ある程度は自ら口に含んだドレスの布が吸い取ってくれたが、カーシュには酷い悲鳴を聞かせてしまったと朦朧とする意識の中で思っていた。
そして、辛い役目を果たしてくれたカーシュにあまり無様な姿を晒さずに済んだかと考えていると、約束通りに自分の手当をする姿が見えて、安堵の息をついた。
カーシュは、イシュミールの処置が終わった後に、自分の腹も同じように止血をする。
止血はしたが、傷は内蔵まで達していたことから、後どれくらい姫を守れるのかと考えた。
そして、自分の手当をしながら、不甲斐ない自分に激怒していた。
(くそ!!俺は!!守ると誓った姫に……。大の男でも発狂するほどの痛みだったろうに……。なぜ姫がこんな目に合わなくてはならないんだ!!!俺は、姫を守れなかった!!!くそ、くそ、くそ!!!!)
イシュミールは壊死による死は真逃れたが、早くきちんとした治療をしなければ危ない状態に変わりはなかった。
「姫、最低限の治療はしましたが、早急にきちんとした治療を受ける必要があります。しかし、俺は血を失いすぎてます。もしものときは、お一人でも逃げ延びてください。姫が逃げる時間稼ぎくらいはしてみせますから」
「カーシュ!!一緒に生き延びるんです!!それ以外は許しません」
「俺も、出来ればそうしたいですが、難しそうです」
カーシュがそう言って、洞窟の入り口に視線を向けた。
そこには、カーシュが想像していた人物が立っていた。そして、イシュミールには、予想外の人物がだ。
「イシュタル!!無事だったのね!!良かった。怪我は―――」
そこまで言ったところで、イシュミールは、イシュタルが一人ではないことに気がついたのだ。
「イシュタル?ねぇ、その人達は?」
イシュミールがそこまで言ったところで、イシュタルは表情を歪めて言った。
「まぁ、姉様。無事だったんですね。あーよかった。そうなるとシナリオ通り、姉様には、わたくしとして生きてもらいますわね。貴方はわたくしの言うことを聞かないからいらないわ」
そう言って、背後にいた男たちに冷たい声音で言った。
「あの男を殺して。わたくしの大切な姉様に馴れ馴れしくしていて、本当に嫌いだったのよね。わたくしの力も何故か効かなかったし」
イシュタルに命じられた男たちは、虚ろな瞳でカーシュを見たあとに、まるで操られているかのような足取りで、血を失い土気色になっているカーシュに近づき容赦なく手に持っていた剣を何度も振り下ろした。
カーシュは、なんとか剣を持って抗っていたが次第に剣を持つ手に力が入らなくなり、剣を取り落してしまった。
剣を失ったカーシュは何度も何度も切りつけられて体中から血を流していた。
イシュミールは、何度も駆け寄ろうとしたが、イシュタルに命じられた男に押さえつけられて、ただ叫ぶことしか出来なかった。
「いやああああああ!!もうやめて!!カーシュが!カーシュが死んでしまう!!お願いだからもうやめて、カーシュ、カーシュ!!!」
イシュミールの悲痛な声を聞いたカーシュは、申し訳無さそうな表情で、切れ切れに言った。
「ひめ……、もう、しわけ、あり……ません。お、おまもり、する、ことが。でき……な、く、て―――」
そして、カーシュは全く動かなくなった。
しかし、それでも命じられた男は斬りつけることをやめなかった。
イシュミールは、ただそれを、泣き叫びながら見ることしか出来なかった。
そんなイシュミールを痛ましげに見ていたイシュタルは、あることに気がついて激昂した。
「!!姉様、その腕……」
そこまで言ったところで、全てを理解したイシュタルは、既に事切れているカーシュに近づき何度も何度もその体を蹴り飛ばした。
「この、畜生風情が!!姉様の腕を切ったのね!!許さない!!呪ってやる!!」
そして、カーシュの側に落ちているイシュミールの左腕に気がついたイシュタルはそれを拾い上げて大切そうに抱きしめた。
そのうっとりとした表情とは裏腹に、今度はイシュミールを押さえつけている男に恐ろしいことを命令した。
「はぁ、これで姉様はわたくしだけのものね。でも、お喋りをされてしまうと困りますね。そうだわ、姉様の喉を潰してくださいな。姉様の可愛らしいお声が聞けなくなることは、残念ですが仕方ありません。それが終わったら、あなた達は用済みなので、お互いに切りあってくださいね」
そう言われた男たちは命令に忠実に従った。
そして、イシュミールの喉を潰した後に男たちはお互いに切りあって事切れた。
イシュミールは、痛みとあまりの状況に意識を遠のかせた。
意識を失ったイシュミールをイシュタルが愛おしそうに見つめた。そして、潰された喉に優しい手付きで触れてから、既に事切れているイシュミールの喉を潰した男に視線を向け激昂したように吐き捨てた。
「お前のようなゴミが姉様の喉を潰したなんて!!許せない……、お前など永遠に地獄を彷徨えばいいのよ」
そういって、自分で命じておきながら、イシュミールの喉を潰した男を何度も何度も蹴りつけたのだ。
そして、気の済むまで蹴りつけてから自らの手の中にあるイシュミールの左腕を見つめて、うっとりとした表情で言った。
「うふふ。これで、姉様といつも一緒にいられるのね」
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