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キュン死にしちゃう……

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 それから、カウレス様はわたしに全部話してくれたの。
 カウレス様の私室で、二人きりになってからソファーに横並びに座って。
 
 カウレス様が、婚約が決まる前からわたしを好きだったこと。
 わたしと婚約するために、色々水面下で動いていたこと。
 そして、わたしととうとう婚約できて幸せだったこと。
 
 だけど、わたしから婚約破棄してと言われた絶望したこと。
 
 わたしが何でもすると言ったことを逆手に取って、奴隷といいつつも側に居る口実を作っていたこと。
 側にいれば、そのうち好きになってくれる、好きにさせてみせると思っていたこと。
 
 わたしが、スイーティオ殿下を好きなのではという思いから、結婚を強行することを決めたこと。
 だから、あんな無茶苦茶な理由でわたしのためのウエディングドレスを作ったこと。
 そして水面下で、結婚の準備を進めていたこと。
 
 婚約破棄は口約束で実際には破棄されていなかったこと。
 出来上がったドレスを見たら、直ぐに嫁にしたくなったため、我慢できずに強行したこと。
 

 カウレス様は、洗いざらいわたしに話してくれた。
 
 話を聞きながらも、あの破廉恥なウエディングドレスで抱きしめられていて、そのことが気になってカウレス様の話がうまく頭にはいらなかった。
 
 だけど、辛うじてカウレス様がわたしを好いていてくれるということは理解できた。
 でも、その言葉に納得は出来なかったわたしは、カウレス様に聞いていた。
 
「あの……、始めから好意を伝えてくださっていたら、ここまでややこしいことにはならなかったと思いますけど……」

 わたしがそう言うと、カウレス様は悲しげな表情で言ったのよ。
 
「言ったよ。婚約が決まった時に、君に思いを伝えた。だけど君はそんな俺の言葉に返事を返してくれなかったじゃないか。だから、少しでも君の目に入るように、紳士的に振る舞ったけど、その挙げ句に婚約破棄してくれと言われて俺はどれほど絶望したことか。だから、可愛さ余って憎さ百倍ではないが、意地悪をしてしまったんだ……。すまない。でも、可愛いお前が悪いんだ。俺が無理を言っても、可愛い顔を可愛く困ったような表情にしたりして……、卑怯だぞ!!」

 ふえぇ?思いを伝えた?
 いやいや、そんな記憶…………。
 ああ、もしかして、婚約が決まった時に顔を合わせたときかな?
 あの時、王家側の席にいるスイーティオ殿下に伝言を持ってきたイクストバル様たちのご様子に気を取られていたっけ?
 もしかしてその時に………? 

 そんなことを思い出していると、カウレス様の行為が激しさを増していた。
 気が付くと、ソファーに押し倒されていて上から見下されていた。
 思い出したことへの気まずさで目を泳がせていると、カウレス様はわたしに聞いてきた。
 
「俺は、ソフィエラが好きだ。愛してるんだ。ソフィエラはどうなんだ?俺といやいや結婚したのか?だとしても、俺はお前を手放すことなんて考えていない。これからもソフィエラに好きになってもらえるように努力する。だから、俺の嫁として側にいてくれ。お願いだ」

 上から、熱い視線で見下ろしてくるカウレス様は惚れ惚れすくるらい素敵で、さっきから胸の鼓動が早鐘のようだった。
 
 それに、あのカウレス様から、これほどのお言葉をいただけることにわたしはきゅんきゅんしていた。
 意地悪されていたときだって、きゅんとしていたのに、こんなに素直に熱烈に愛の言葉を囁かれたら……。
 
 もう無理だよ!!恥ずか死ぬ!!
 
 耐えられなくなったわたしは、手で顔を覆ってか細い声で言っていた。
 
「無理です。そんな事言われたら……、キュン死にしちゃう……」

 わたしが恥ずかしさから、身悶えていると胸元や首筋に柔らかく温かなものが触れていた。
 気になって、手を退けるとカウレス様がわたしの肌に口付けを落としている姿が目に入った。
 
 わたしの胸元に口付けをしながらカウレス様は、色っぽい表情で言ったの。
 
「俺は、ソフィエラのこと愛してる。誰よりもだ。ソフィエラは、俺のこと嫌いか?」

 そう言って、悲しげに金色の瞳を陰らせたそのカウレス様の表情にわたしはもう一度、恋に落ちた。
 
 誰かが言っていたっけ?恋はするものではなく落ちるものだって?
 
「す……き……です。わたしも、カウレス様をお慕いしています……」
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