1 / 10
お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!
しおりを挟む
「お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!」
わたし、ソフィエラ・アーエルーナはとうとう言ってしまった。
だって、公爵令嬢のくせに地味メガネのわたしと、青銀の美しい御髪に王家特有の金色の瞳の貴公子では全然まったくもって釣り合わなすぎるのだもの。
1年前に、突然王太子の婚約者として選ばれたわたしは、ただただ困惑していた。
王太子は、現在20歳。
そう、結婚していても可笑しくないご年齢なのにも関わらずそれまで婚約者の「こ」の字もなかったのだ。
あんなに、見目麗しく王太子というステータスもあるのに不思議でならないわ。
でも、一年前のことでした。
わたしが14歳の時に、何故かわたしがその婚約者に選ばれたのだ。
寝耳に水とはこのことだわ。
わたし的には、「冗談じゃないわよ!!」と言ったところなんだけど。
わたしはそれを立場上、拒否することが出来なかった。
悲しいことにわたしは、四大公爵家のアーエルーナ公爵家の人間だったから。
だけど、わたしは物申したい!!
だってわたし、アーエルーナ公爵家の次女として生まれたけど、すっごく地味で王太子妃なんて無理無理!!
それに、わたしには人に言えない秘密の趣味があったから人目にさらされるような立場なんて絶対になりたくなかった。
そのために日夜目立たないように、敢えてもっさりとした髪型に伊達メガネ、野暮ったいドレスを身にまとい息を潜めて生きてきたのだ。
わたしの隠れた趣味を知っているお姉様は、いつも困った顔をしながらもわたしを助けてくれたのよね。
だけど、そんな立場になった日には、わたしの楽しい趣味のデュフフ。おっといけないいけない。
目立つような立場なんてごめんよ!!
あっ、でも王太子の婚約者になったら、第二王子とそのご友人のツーショットを間近で見られると思うとちょっと惹かれてしまうわ。
っ!駄目よ、目先の欲望に溺れてしまえば地獄行き決定なんだから!!
そんな訳で、わたしは絶対に、王太子のカウレス・エレメントゥム・アメジシスト様の婚約者なんで絶対になりたくないの!!
だけど、気弱なわたしはそんな事言えるわけもなく……。
こうして、一年ほど耐えていた訳です。
しかし、しかしです。
とうとう耐えられなくなりました。
ええ、ええ!!だって、カウレス様ったら、キラキラの青銀の長い髪が美しくて、あの金色の瞳で見られたら、いくらこのわたしとは言えうっとりしてしまうんです!!
耐えられません!!あんなに美しい王太子殿下にこんなわたしが婚約者として隣りにいることに!!
わたしは、遠くから麗しい男性たちを見るのが好きなのであって、麗しい男性のそばにいることを望んではいないのです!!
だからわたしは、とうとう言ってしまったのです。
「わたし、すごく地味で、殿下の婚約者だなんて無理です!お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!破棄してくれたら、わたしの出来る範囲でなんでもしますから!」
そう、この言葉がわたしの運命を決定付ける引き金になるだなんて思いもしなかったわ。
だって、カウレス様ったらあっさりとわたしの言葉に頷いてくれたものだから、わたしは嬉しくって嬉しくって、話を最後まで聞いていなかったの。
そう、この時カウレス様はこういったのよ。
「分かったよ。とても残念だけど君との婚約を破棄するよ。だけどね、君は言ったよね?何でもするって?言質は取ったからね?だから、俺のお願いを叶えてくれたら婚約破棄を考えてあげてもいいよ?」
そう、こんな恐ろしいことをあの麗しいお顔で言っていただなんて……。
でも、わたしは、カウレス様の口から出た婚約を破棄するって第一声に舞い上がっていたんだもの。
「カウレス様!!ありがとうございます!!」
「それじゃ、私のお願いを聞いてくれるかな?」
「はい!!なんなりと!!」
「それじゃ、俺の奴隷になってくれるよね?」
「は?」
「だから、俺の奴隷だよ」
こうして、私は婚約者から一転、カウレス様の奴隷になったのです。
わたし、ソフィエラ・アーエルーナはとうとう言ってしまった。
だって、公爵令嬢のくせに地味メガネのわたしと、青銀の美しい御髪に王家特有の金色の瞳の貴公子では全然まったくもって釣り合わなすぎるのだもの。
1年前に、突然王太子の婚約者として選ばれたわたしは、ただただ困惑していた。
王太子は、現在20歳。
そう、結婚していても可笑しくないご年齢なのにも関わらずそれまで婚約者の「こ」の字もなかったのだ。
あんなに、見目麗しく王太子というステータスもあるのに不思議でならないわ。
でも、一年前のことでした。
わたしが14歳の時に、何故かわたしがその婚約者に選ばれたのだ。
寝耳に水とはこのことだわ。
わたし的には、「冗談じゃないわよ!!」と言ったところなんだけど。
わたしはそれを立場上、拒否することが出来なかった。
悲しいことにわたしは、四大公爵家のアーエルーナ公爵家の人間だったから。
だけど、わたしは物申したい!!
だってわたし、アーエルーナ公爵家の次女として生まれたけど、すっごく地味で王太子妃なんて無理無理!!
それに、わたしには人に言えない秘密の趣味があったから人目にさらされるような立場なんて絶対になりたくなかった。
そのために日夜目立たないように、敢えてもっさりとした髪型に伊達メガネ、野暮ったいドレスを身にまとい息を潜めて生きてきたのだ。
わたしの隠れた趣味を知っているお姉様は、いつも困った顔をしながらもわたしを助けてくれたのよね。
だけど、そんな立場になった日には、わたしの楽しい趣味のデュフフ。おっといけないいけない。
目立つような立場なんてごめんよ!!
あっ、でも王太子の婚約者になったら、第二王子とそのご友人のツーショットを間近で見られると思うとちょっと惹かれてしまうわ。
っ!駄目よ、目先の欲望に溺れてしまえば地獄行き決定なんだから!!
そんな訳で、わたしは絶対に、王太子のカウレス・エレメントゥム・アメジシスト様の婚約者なんで絶対になりたくないの!!
だけど、気弱なわたしはそんな事言えるわけもなく……。
こうして、一年ほど耐えていた訳です。
しかし、しかしです。
とうとう耐えられなくなりました。
ええ、ええ!!だって、カウレス様ったら、キラキラの青銀の長い髪が美しくて、あの金色の瞳で見られたら、いくらこのわたしとは言えうっとりしてしまうんです!!
耐えられません!!あんなに美しい王太子殿下にこんなわたしが婚約者として隣りにいることに!!
わたしは、遠くから麗しい男性たちを見るのが好きなのであって、麗しい男性のそばにいることを望んではいないのです!!
だからわたしは、とうとう言ってしまったのです。
「わたし、すごく地味で、殿下の婚約者だなんて無理です!お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!破棄してくれたら、わたしの出来る範囲でなんでもしますから!」
そう、この言葉がわたしの運命を決定付ける引き金になるだなんて思いもしなかったわ。
だって、カウレス様ったらあっさりとわたしの言葉に頷いてくれたものだから、わたしは嬉しくって嬉しくって、話を最後まで聞いていなかったの。
そう、この時カウレス様はこういったのよ。
「分かったよ。とても残念だけど君との婚約を破棄するよ。だけどね、君は言ったよね?何でもするって?言質は取ったからね?だから、俺のお願いを叶えてくれたら婚約破棄を考えてあげてもいいよ?」
そう、こんな恐ろしいことをあの麗しいお顔で言っていただなんて……。
でも、わたしは、カウレス様の口から出た婚約を破棄するって第一声に舞い上がっていたんだもの。
「カウレス様!!ありがとうございます!!」
「それじゃ、私のお願いを聞いてくれるかな?」
「はい!!なんなりと!!」
「それじゃ、俺の奴隷になってくれるよね?」
「は?」
「だから、俺の奴隷だよ」
こうして、私は婚約者から一転、カウレス様の奴隷になったのです。
6
お気に入りに追加
1,810
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
【完結】元悪役令嬢の劣化コピーは白銀の竜とひっそり静かに暮らしたい
豆田 ✿ 麦
恋愛
才色兼備の公爵令嬢は、幼き頃から王太子の婚約者。
才に溺れず、分け隔てなく、慈愛に満ちて臣民問わず慕われて。
奇抜に思える発想は公爵領のみならず、王国の経済を潤し民の生活を豊かにさせて。
―――今では押しも押されもせぬ王妃殿下。そんな王妃殿下を伯母にもつ私は、王妃殿下の模倣品(劣化コピー)。偉大な王妃殿下に倣えと、王太子の婚約者として日々切磋琢磨させられています。
ほら、本日もこのように……
「シャルロット・マクドゥエル公爵令嬢!身分を笠にきた所業の数々、もはや王太子たる私、エドワード・サザンランドの婚約者としてふさわしいものではない。今この時をもってこの婚約を破棄とする!」
……課題が与えられました。
■■■
本編全8話完結済み。番外編公開中。
乙女ゲームも悪役令嬢要素もちょっとだけ。花をそえる程度です。
小説家になろうにも掲載しています。
ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~
緑谷めい
恋愛
私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。
4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!
一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。
あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?
王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。
そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?
* ハッピーエンドです。
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
愛と浮気と報復と
よーこ
恋愛
婚約中の幼馴染が浮気した。
絶対に許さない。酷い目に合わせてやる。
どんな理由があったとしても関係ない。
だって、わたしは傷ついたのだから。
※R15は必要ないだろうけど念のため。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる