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第三十四話 種

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 あれから日々、えっちの練習を繰り返しているアズサとウルシュカームだったが、いまだに本番には至っていなかった。
 
 そんなある日、アズサが大切にしているロケットペンダントの鎖が切れてしまったのだ。
 そのため、休養日に二人で街に降りて、鎖の修理ができる店を探すことにしたのだ。
 
 アズサとウルシュカームは、手をつないで街を散策し、いくつかの店に立ち寄ったが、どの店も鎖の構造が特殊すぎるという理由で修理をすることは叶わなかった。
 アズサは、それなら仕方ないとあっさりと別の物を購入してしまっていた。
 そんなアズサに、ウルシュカームは首を傾げていた。
 
「アズサ?いいの?もっと探せば修理できる店が見つかるかもしれないよ?」

「いいんだ。大切なのは、ペンダントじゃなくて、その中身だから」

 そう言って、鎖の壊れてしまったロケットペンダントをウルシュカームに掲げて見せたのだ。
 そして、寮に着いたアズサは、ロケットペンダントの中身を明かしたのだ。
 
「シュカならいいかな?これの中には、俺の種が入ってるんだ。俺の国では、種の在りかは他の人に教えちゃだめなんだ。事故を防ぐために……」

「事故?」

「ああ。本来は愛し合った二人が子供を授かるために飲むけど、たまに相手に無理やり飲ませる人がいるそうなんだ。それで、凄く低い確率だけど、子供が出来ることもあるんだよ……。だから、種の在りかは本当に心を許した人にしか教えてはダメなんだ……」


 そう言ったアズサは、自身の出自を思い出して表情を暗くさせていた。
 昔の自分では理解できなかったが、今なら分かったのだ。
 母が無理やり皇によって種を呑まされたということが。
 
 アズサは小さく頭を振って、暗くなってしまった思考を振り払った。
 そして、驚いた顔のウルシュカームに微笑んだのだ。
 
「くすくす。驚いたか?これが俺の種だよ」

「種……」

「もしかすると、俺たちの想いが神様に届けば、子供を授かれるかもしれないんだ……」

「そっか……。それなら、その種は大切にしないとね」

 そう言って、愛おしそうな瞳でアズサと種を見つめるウルシュカームにアズサは小さく首を傾げていた。
 
「まぁ、種は大切にするけど……」

 そんな、不思議そうな表情をするアズサに、ウルシュカームは小さく口付けてから甘い声で囁いたのだ。
 
「だって、その種があれば、将来俺とアズで子供が作れるんだよね?俺、アズサに似た可愛い子がいいなぁ」

 その言葉に目を丸くさせたアズサは、不満顔で言ったのだ。
 
「えぇー。俺はお前に似た子が欲しい。そしたら、めちゃくちゃ可愛がる!!」

「やだ、俺はアズサ似がいい!あっ、でも、そうするとアズサに似た可愛い我が子がいつかどこの馬の骨ともわからない誰かと結ばれるのはいやかも……。でもでも、アズサに似た可愛い我が子に、「将来、パパと結婚する」って言ってもらいたいかも……。それで、アズサが焼きもち焼いて……。ふへへぇ、幸せ~」

 少しだけウルシュカームに呆れながらも、自分との将来に嬉しそうな顔をする、そんなウルシュカームに愛しさを感じていた。
 
 だから、アズサは完全に油断していた。
 リビングルームのソファーに押し倒されて、ウルシュカームにキスをされたところで慌てたがもう遅かった。
 
「ねぇ、アズサ?エッチの練習しよう?いいでしょ?」

「えっ?ダメ、朝方まで練習しただろ?今日はもう無理!!」

 アズサがそう言うと、ウルシュカームは悲しそうに瞳を揺らして、捨てられた子犬のような顔をしたのだ。
 そんな、子犬モードのウルシュカームに敵うわけもなく、アズサは力なく頷いていた。
 
「はぁ。そんな泣きそうな顔しないで?えっちの練習、ちょっとだけならしてもいいから、な?シュカ、笑って?」

 アズサが甘やかすようにそう言うと、ウルシュカームは瞳を輝かせて、笑顔で頷いたのだった。
 
「うん!アズサ、大好き!ちゅっ!」

 そう言ってウルシュカームは、アズサの服を脱がしながら、自分のシャツも脱ぎ棄てていた。
 練習の成果で、今では洗浄スライムを嫌がらずに受け入れてくれるようになったアズサの後孔を綺麗にした後に、舌で舐め解した。
 アズサをソファーに足を開かせた状態で座らせて、自分は床に膝をついて美味しそうにアズサの蕾を舐める。
 舌を出し入れすると、アズサは堪らず甘い声を上げた。
 
 
 くちゅ、つぷっ。くちゅくちゅ、ずぷ、じゅぷじゅぷ。
 
 
 襞を丁寧に舐めて、媚肉を舌で圧すように舐めると、アズサは一際高く鳴いた。
 
「やぁああ!!それ、だめぇ、シュカにそこ舐められるのすごく気持ちいいよぉ!!あ、あ、やぁあん!!」

「だいぶ解れてきたね?くすくす。アズサの下のお口はとっても素直だね。俺の指と舌を美味しそうに食べてる……。可愛い。ちゅっ、ちゅっ、ちゅーっ」

 そう言って、物欲しげに引くつく蕾に最初は触れるだけのキスをして、最後に強く吸ったのだ。
 そうすると、アズサは堪らず、イっていた。
 
 竿の先から蜜を溢れさせて、体中を弛緩させてウルシュカームを喜ばせることを口走ってから気をやっていた。
 
「やぁ、やだやだぁ……、イクから、イッちゃうからぁ……。あ、あ、ああぁん!!シュカ、好きぃ。シュカの指も、舌も、ちんちんも、好きぃ。シュカの全部が好きぃ……。お願い……、もっと、指いっぱい挿れてぇ……、ナカ擦って、ぐりぐりしてぇ……。あ、あぁん、やぁぁんんん!!!」


 アズサが気をやった後、自身を扱いて射精した後に、今日も最後までできなかったことを残念に思いながらも、アズサの反応から、そろそろ本番を許してくれそうだと感じたウルシュカームは、飛び切り艶やかな笑顔で、汚してしまった物の処理をしていた。
 
 
 
 
 
 学園では、二人の関係を巡り、様々な派閥が生まれていた。。
 
 最大派閥は、メリナ率いる「アズサ君とウルシュカーム様を見守る会」だ。
 活動理念は、二人のラブラブを見守り、そしてそれを邪魔する不届き物を排除すると言ったものが主な活動内容だ。その他にも、アズサとウルシュカームのらぶ本と呼ばれる、薄い本の発行もしていた。
 最初は、ウルシュカームに活動を見咎められて、死を覚悟した見守る会のメンバーたちだったが、不思議なことに、ウルシュカームに活動を許されていた。
 薄い本については発行前に、内容の確認をさせろと言うものと、アズサとのイチャラブを邪魔する不届き者の排除に協力するという条件はあったものの、今のところ見守る会とウルシュカームは上手く共存していた。
 因みに、ウルシュカームからダメ出しされた薄い本は全て没収されるという結末を辿った。
 そして、ウルシュカームに許された本の内容は、性行為の描写が少ないものがほどんどだった。
 
 余談ではあるが、後に凝った衣装での行為や、おもちゃを使った行為など、数々の性行為が、薄い本からヒントを得ていたものだったことをアズサは知る由もなかった。
 
 
 そして、もう一つの派閥が、「アズサたんに踏まれ隊」と言う派閥だった。派生で、「アズサたんに蔑まれ隊」と言うものもあったが、どちらもアズサに冷遇されるのが目的なやばい集団だった。
 
 アズサが卒業まで、何事もなく過ごせたのは、ウルシュカームと見守る会のメンバーの頑張りによるものが大きかったが、アズサがそれを知ることはなかった。
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