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第十九話 血
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アズサは、自身を扱いて射精しているウルシュカームの背中を見つめて、なんだか胸が苦しくなっていた。
今までは苦しくて痛くて気が付かなかったが、ウルシュカームの全身はいたるところに傷を負って、血を流していたのだ。
よろめきながらも、ウルシュカームの背後に近寄りそっとその背中を抱きしめていた。
抱きしめたのが初めてという訳ではなかったのに、何故かこの時、胸が熱くなっていくのを感じた。
不思議に感じながらも、深くは考えず、自分のためにここまでしてくれる友人の存在に嬉しくなったのだとそう結論付けていた。
ウルシュカームは、突然アズサに背後から抱きしめられて、射精したばかりの股間がまた性懲りもなく昂りそうになって、慌てて暴れん坊過ぎる息子を嗜めた。
(おい、俺の股間!!ここでおっ勃てたらアズサにいやらしい男だと思われるかもしれないんだぞ!耐えろ!背中に感じるアズサの勃ち上がった乳首を感じても今は耐えるんだ!!頑張れ俺、頑張れ俺の息子よ!!)
そんな葛藤を他所に、アズサはウルシュカームの怪我をどうしようかと考えていた。
魔術は万能なようでそうではなかった。
世の中に回復魔術はあるものの、使えるのはほんの一握りの魔術師だけだった。
なので、高スペックな魔術師であるウルシュカームですら、回復魔術は使用できなかったのだ。
改めて見るウルシュカームの全身は悲惨な状態になっていた。
全身に裂傷が走り、血が流れていた。皮膚も焼けただれて、綺麗な銀髪も所々が焼け焦げていた。
更には、左の肩が脱臼しだらりと腕を垂れさがらせていた。
そんな傷だらけウルシュカームを見たアズサは、胸が苦しくて堪らなかった。
アズサには、ウルシュカームの負った傷が自分を助けるために出来たものだと分かったから。
それを思うと、心が苦しくて息が出来なかった。
無意識に唇を噛んでいたアズサは、きつく唇を噛みすぎて血が出てしまっていた。
それに気が付いたウルシュカームは、アズサの唇に優しく触れて言ったのだ。
「アズ、そんなに唇を噛んだら駄目だよ……。血が出てる……」
「でも、お前の傷……。あっ」
そこで、自分の血の力を思い出したアズサは、母と自分を助けてくれた女性の顔が頭を過ったが、頭を振ってそれを振り払っていた。
(ごめんなさい。でも、俺はシュカが大事なんだ……。シュカを治せる力があるのに、こんなに傷ついたシュカを放ってはおけない)
血の力を試したことは一度もなかった。
だけど、血を使えばウルシュカームの怪我が治るという確信があったアズサは、血の滴る唇をそっと、ウルシュカームの唇に触れ合させていた。
そして、舌で血を掬って驚くウルシュカームの口内に捻じ込んでいた。
唾液と血が混じるのも気にせずに、アズサはウルシュカームに血を流し込むことだけを考えていた。
気が付けば、ウルシュカームの舌によって、逆に口内を蹂躙されていた。
唇を柔らかく食まれ、柔らかく弾力のある肉厚のウルシュカームの舌に歯列や上顎、舌の上や下を舐めまわされていた。
苦しくて息をしようとしても、舌をきゅっと吸われて、次第に気持ちよさに頭が回らなくなっていった。
(気持ちいい……。でも、なんでこんなことに?)
口内を蹂躙するウルシュカームの舌にいつしかアズサは、応えるように自分で舌を擦り合させていた。
唇の端からは止めどなく、どちらのモノかも分からない唾液が混じり溢れていた。
互いの唾液を舌で絡めて、嚥下し、それでも飲み込み切れなかったものが溢れていったのだ。
「あっ、あふ……、うぅん。はぁ、はぁぅ。あぁん」
アズサから零れる艶を帯びた吐息の合間に、くちゅ、くちゅっといやらしい水音が周囲に鳴り響いていた。
気が付けば、ウルシュカームの膝を跨ぐように向かい合ってお互いの唇を激しく貪りあっていた。
ウルシュカームは、右手でアズサの細い腰をぐっと抱き寄せて、アズサは両手でウルシュカームの頭を抱き寄せるように、抱きしめ合っていた。
どの位そうしていたのだろうか、当初の目的すら忘れてウルシュカームの熱くて激しい唇と舌を味わっていたアズサは、いつしか腰が揺れて自身の性器が勃ち上がっていくのが分かって首を傾げていた。
(なんで、俺のちんちんこんなことに?触ってないのに……。でも、気持ちいい。ちんちんも唇も舌も、体中が気持ちいいよぉ……。これって何なんだろう?でも分からない。気持ちいことしか考えられない……)
今までは苦しくて痛くて気が付かなかったが、ウルシュカームの全身はいたるところに傷を負って、血を流していたのだ。
よろめきながらも、ウルシュカームの背後に近寄りそっとその背中を抱きしめていた。
抱きしめたのが初めてという訳ではなかったのに、何故かこの時、胸が熱くなっていくのを感じた。
不思議に感じながらも、深くは考えず、自分のためにここまでしてくれる友人の存在に嬉しくなったのだとそう結論付けていた。
ウルシュカームは、突然アズサに背後から抱きしめられて、射精したばかりの股間がまた性懲りもなく昂りそうになって、慌てて暴れん坊過ぎる息子を嗜めた。
(おい、俺の股間!!ここでおっ勃てたらアズサにいやらしい男だと思われるかもしれないんだぞ!耐えろ!背中に感じるアズサの勃ち上がった乳首を感じても今は耐えるんだ!!頑張れ俺、頑張れ俺の息子よ!!)
そんな葛藤を他所に、アズサはウルシュカームの怪我をどうしようかと考えていた。
魔術は万能なようでそうではなかった。
世の中に回復魔術はあるものの、使えるのはほんの一握りの魔術師だけだった。
なので、高スペックな魔術師であるウルシュカームですら、回復魔術は使用できなかったのだ。
改めて見るウルシュカームの全身は悲惨な状態になっていた。
全身に裂傷が走り、血が流れていた。皮膚も焼けただれて、綺麗な銀髪も所々が焼け焦げていた。
更には、左の肩が脱臼しだらりと腕を垂れさがらせていた。
そんな傷だらけウルシュカームを見たアズサは、胸が苦しくて堪らなかった。
アズサには、ウルシュカームの負った傷が自分を助けるために出来たものだと分かったから。
それを思うと、心が苦しくて息が出来なかった。
無意識に唇を噛んでいたアズサは、きつく唇を噛みすぎて血が出てしまっていた。
それに気が付いたウルシュカームは、アズサの唇に優しく触れて言ったのだ。
「アズ、そんなに唇を噛んだら駄目だよ……。血が出てる……」
「でも、お前の傷……。あっ」
そこで、自分の血の力を思い出したアズサは、母と自分を助けてくれた女性の顔が頭を過ったが、頭を振ってそれを振り払っていた。
(ごめんなさい。でも、俺はシュカが大事なんだ……。シュカを治せる力があるのに、こんなに傷ついたシュカを放ってはおけない)
血の力を試したことは一度もなかった。
だけど、血を使えばウルシュカームの怪我が治るという確信があったアズサは、血の滴る唇をそっと、ウルシュカームの唇に触れ合させていた。
そして、舌で血を掬って驚くウルシュカームの口内に捻じ込んでいた。
唾液と血が混じるのも気にせずに、アズサはウルシュカームに血を流し込むことだけを考えていた。
気が付けば、ウルシュカームの舌によって、逆に口内を蹂躙されていた。
唇を柔らかく食まれ、柔らかく弾力のある肉厚のウルシュカームの舌に歯列や上顎、舌の上や下を舐めまわされていた。
苦しくて息をしようとしても、舌をきゅっと吸われて、次第に気持ちよさに頭が回らなくなっていった。
(気持ちいい……。でも、なんでこんなことに?)
口内を蹂躙するウルシュカームの舌にいつしかアズサは、応えるように自分で舌を擦り合させていた。
唇の端からは止めどなく、どちらのモノかも分からない唾液が混じり溢れていた。
互いの唾液を舌で絡めて、嚥下し、それでも飲み込み切れなかったものが溢れていったのだ。
「あっ、あふ……、うぅん。はぁ、はぁぅ。あぁん」
アズサから零れる艶を帯びた吐息の合間に、くちゅ、くちゅっといやらしい水音が周囲に鳴り響いていた。
気が付けば、ウルシュカームの膝を跨ぐように向かい合ってお互いの唇を激しく貪りあっていた。
ウルシュカームは、右手でアズサの細い腰をぐっと抱き寄せて、アズサは両手でウルシュカームの頭を抱き寄せるように、抱きしめ合っていた。
どの位そうしていたのだろうか、当初の目的すら忘れてウルシュカームの熱くて激しい唇と舌を味わっていたアズサは、いつしか腰が揺れて自身の性器が勃ち上がっていくのが分かって首を傾げていた。
(なんで、俺のちんちんこんなことに?触ってないのに……。でも、気持ちいい。ちんちんも唇も舌も、体中が気持ちいいよぉ……。これって何なんだろう?でも分からない。気持ちいことしか考えられない……)
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