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第十六話 ボス戦
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グオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!
ボスは二人を威嚇するように部屋を震わすほどの雄たけびを上げた後に、アズサたちに向かって猛スビートで突っ込んできたのだ。
それに気が付いたアズサとウルシュカームは、ひらりと躱してそれぞれの戦闘配置についていた。
ウルシュカームは、後方に移動しボスに防御力低下、攻撃力低下、素早さ低下のデバフ掛けてから、アズサの邪魔にならない様に支援魔法を放っていた。
闇の魔術でボスの視界を狭めてから、足元の地面を一瞬振動させて隙を作ったのだ。
それに合わせて、ボスの背後に素早く移動していたアズサは、鞘走りからの素早い一刀でボスの足を斬りつけていた。
太刀を返しつつ、脇腹も斬り裂いて一旦距離をとる。
ボスが痛みで一瞬怯んだのを見たアズサは、足に力を込めて一気に踏み込みボスの腕を一刀のもと斬り落としたのだ。
ブモモモモォォオオオオオーーーーーーー!!!!
ボスは、目を血走らせて口からは大量の涎を溢れさせて、強烈な雄たけびを上げていた。
それを見たアズサは、口元をニヤリとさせて呟く。
「へへ、怒ったところで、ガラ空きなんだよ!!」
そう言って、スピードを限界まで上げて、必殺の八連撃をお見舞いしていた。
本来は、体力と腕力がないアズサには繰り出せない技ではあったが、ウルシュカームの支援バフのお陰で、気兼ねなく技を放つことが出来ていたのだ。
一閃で足の腱を斬りボスの動きを止め、返す一閃で脹脛を斬り裂く。
バランスを崩したところで、膝の裏を斬り、返す一閃で脇腹を斬り裂く。
膝を付いたところで、腹に四連撃を叩きこんで、必殺の八連撃をお見舞いした。
しかし、ボスだけあって中々硬いキメラは、腕を振り上げて、八連撃を放ったことで隙が出来たアズサの脳天に大人の胴体ほどもあろうかという腕を振り下ろしたのだ。
アズサは、紙一重でそれを身を逸らすことで躱した。
振り下ろした腕が空を切ったことが分かったボスは、振り下ろした腕を強引に横に薙ぎ払っていた。
アズサはとっさに、太刀の側面で何とかボスの腕を止めたが、圧倒的な質量の差に吹き飛ばされていた。
「ぐっ!かはっ!!」
吹き飛ばされたアズサは、後方の壁に思いっきり叩きつけられていた。
「アズ!!」
とっさに、防御結界をアズサの周囲に展開させていたウルシュカームだったが、アズサの苦し気な声を聴いて、戦闘中にも関わらず駆け寄りたい気持ちになったが、アズサに目で制されたことでぐっとこらえて、ボスに警戒しつつも、アズサに回復魔術を放っていた。
「いってー。悪い。ちょっと油断した。シュカ、防御結界サンキューな」
「アズ……。うん。どってことないよ。それよりも、ボスの体力は残り僅かっぽいね」
「だな。一気に畳みかけるぜ!!シュカ、頼んだ!!」
「了解!」
阿吽の呼吸で、アズサに体力向上効果と筋力向上効果のバフを掛けたウルシュカームは、ボスの気を引くようにして雷撃と風撃の魔術を放った。
それに気を取られたボスは、簡単にアズサにその無防備な背中を見せていた。
アズサは、バフの効果を借りて一気にボスの核を刀身で貫いたのだ。
「はっ!やあ!!」
核を貫かれたボスは、一瞬体を硬直させた後に地面に頭から突っ込んで動かなくなったのだ。
ボスから太刀を引き抜いたアズサは、額の汗を拭いながらウルシュカームに笑顔を見せていた。
「シュカ、やったな。二人でボスを仕留めた」
「うん。アズの剣術はいつ見てもすごいね!アズ格好いい!!ますます好きになっちゃった」
「いいや、俺だけじゃこうはいかない。お前のバフが無かったら、負けてた。俺にはやっぱりお前がいないと」
アズサがそう言うと、瞳を輝かせたウルシュカームが嬉しそうに駆け寄ってアズサに抱き着いたのだ。
「えへへ。俺もアズだけだよ」
そう言って、じゃれつくウルシュカームの頭をよしよしと撫でていたアズサだったが、違和感に首を傾げていた。
そう、ボスを倒したにも関わらず、ボス部屋の扉が閉まったままなのだ。
普通はボスを倒せば、部屋の扉が開くのだが、何故か扉は硬く閉ざされたままだったのだ。
「シュカ……。変だよな?」
「うん。ボスを倒したのに……。どうして?何か、他にも扉が開くための条件でもあるのか?」
そう言って、ウルシュカームがボスの死体を調べようと近づいた時だった。
ボスの体の下から、黒い影が伸びて近づいたウルシュカームを捕らえたのだ。
「くっ!な!」
魔術を放って拘束を破ろうとするも、何故か魔術が上手く発動できず、ウルシュカームは苦し気な声を上げたのだ。
それを見たアズサは、すぐに駆け寄ろうとしたが出来なかった。
アズサの足元の地面を突き破って突然現れた緑色の蔦に捕らえられてしまっていたのだ。
「なっ!なんだこれ?うわっ!!」
抵抗しようとしたアズサだったが、両手を後ろ手に捻りあげられて手に持っていた太刀を取り落としてしまっていたのだ。
アズサは、抵抗も虚しく、空中に宙づりにされてしまっていたのだ。
気が付くと、緑の蔦が着物の隙間から入り込み体中を這いまわり撫でまわしていた。
「なっ!やめ、あっあっ……。やめ……」
そんなアズサ見たウルシュカームは、影に捕らわれたままで抜け出せずに藻掻きながら、悲痛な叫びをあげていた。
「アズ!!アズサ!!やめろ!アズサに触るな!放せ!!アズサ、アズサ!!」
ボスは二人を威嚇するように部屋を震わすほどの雄たけびを上げた後に、アズサたちに向かって猛スビートで突っ込んできたのだ。
それに気が付いたアズサとウルシュカームは、ひらりと躱してそれぞれの戦闘配置についていた。
ウルシュカームは、後方に移動しボスに防御力低下、攻撃力低下、素早さ低下のデバフ掛けてから、アズサの邪魔にならない様に支援魔法を放っていた。
闇の魔術でボスの視界を狭めてから、足元の地面を一瞬振動させて隙を作ったのだ。
それに合わせて、ボスの背後に素早く移動していたアズサは、鞘走りからの素早い一刀でボスの足を斬りつけていた。
太刀を返しつつ、脇腹も斬り裂いて一旦距離をとる。
ボスが痛みで一瞬怯んだのを見たアズサは、足に力を込めて一気に踏み込みボスの腕を一刀のもと斬り落としたのだ。
ブモモモモォォオオオオオーーーーーーー!!!!
ボスは、目を血走らせて口からは大量の涎を溢れさせて、強烈な雄たけびを上げていた。
それを見たアズサは、口元をニヤリとさせて呟く。
「へへ、怒ったところで、ガラ空きなんだよ!!」
そう言って、スピードを限界まで上げて、必殺の八連撃をお見舞いしていた。
本来は、体力と腕力がないアズサには繰り出せない技ではあったが、ウルシュカームの支援バフのお陰で、気兼ねなく技を放つことが出来ていたのだ。
一閃で足の腱を斬りボスの動きを止め、返す一閃で脹脛を斬り裂く。
バランスを崩したところで、膝の裏を斬り、返す一閃で脇腹を斬り裂く。
膝を付いたところで、腹に四連撃を叩きこんで、必殺の八連撃をお見舞いした。
しかし、ボスだけあって中々硬いキメラは、腕を振り上げて、八連撃を放ったことで隙が出来たアズサの脳天に大人の胴体ほどもあろうかという腕を振り下ろしたのだ。
アズサは、紙一重でそれを身を逸らすことで躱した。
振り下ろした腕が空を切ったことが分かったボスは、振り下ろした腕を強引に横に薙ぎ払っていた。
アズサはとっさに、太刀の側面で何とかボスの腕を止めたが、圧倒的な質量の差に吹き飛ばされていた。
「ぐっ!かはっ!!」
吹き飛ばされたアズサは、後方の壁に思いっきり叩きつけられていた。
「アズ!!」
とっさに、防御結界をアズサの周囲に展開させていたウルシュカームだったが、アズサの苦し気な声を聴いて、戦闘中にも関わらず駆け寄りたい気持ちになったが、アズサに目で制されたことでぐっとこらえて、ボスに警戒しつつも、アズサに回復魔術を放っていた。
「いってー。悪い。ちょっと油断した。シュカ、防御結界サンキューな」
「アズ……。うん。どってことないよ。それよりも、ボスの体力は残り僅かっぽいね」
「だな。一気に畳みかけるぜ!!シュカ、頼んだ!!」
「了解!」
阿吽の呼吸で、アズサに体力向上効果と筋力向上効果のバフを掛けたウルシュカームは、ボスの気を引くようにして雷撃と風撃の魔術を放った。
それに気を取られたボスは、簡単にアズサにその無防備な背中を見せていた。
アズサは、バフの効果を借りて一気にボスの核を刀身で貫いたのだ。
「はっ!やあ!!」
核を貫かれたボスは、一瞬体を硬直させた後に地面に頭から突っ込んで動かなくなったのだ。
ボスから太刀を引き抜いたアズサは、額の汗を拭いながらウルシュカームに笑顔を見せていた。
「シュカ、やったな。二人でボスを仕留めた」
「うん。アズの剣術はいつ見てもすごいね!アズ格好いい!!ますます好きになっちゃった」
「いいや、俺だけじゃこうはいかない。お前のバフが無かったら、負けてた。俺にはやっぱりお前がいないと」
アズサがそう言うと、瞳を輝かせたウルシュカームが嬉しそうに駆け寄ってアズサに抱き着いたのだ。
「えへへ。俺もアズだけだよ」
そう言って、じゃれつくウルシュカームの頭をよしよしと撫でていたアズサだったが、違和感に首を傾げていた。
そう、ボスを倒したにも関わらず、ボス部屋の扉が閉まったままなのだ。
普通はボスを倒せば、部屋の扉が開くのだが、何故か扉は硬く閉ざされたままだったのだ。
「シュカ……。変だよな?」
「うん。ボスを倒したのに……。どうして?何か、他にも扉が開くための条件でもあるのか?」
そう言って、ウルシュカームがボスの死体を調べようと近づいた時だった。
ボスの体の下から、黒い影が伸びて近づいたウルシュカームを捕らえたのだ。
「くっ!な!」
魔術を放って拘束を破ろうとするも、何故か魔術が上手く発動できず、ウルシュカームは苦し気な声を上げたのだ。
それを見たアズサは、すぐに駆け寄ろうとしたが出来なかった。
アズサの足元の地面を突き破って突然現れた緑色の蔦に捕らえられてしまっていたのだ。
「なっ!なんだこれ?うわっ!!」
抵抗しようとしたアズサだったが、両手を後ろ手に捻りあげられて手に持っていた太刀を取り落としてしまっていたのだ。
アズサは、抵抗も虚しく、空中に宙づりにされてしまっていたのだ。
気が付くと、緑の蔦が着物の隙間から入り込み体中を這いまわり撫でまわしていた。
「なっ!やめ、あっあっ……。やめ……」
そんなアズサ見たウルシュカームは、影に捕らわれたままで抜け出せずに藻掻きながら、悲痛な叫びをあげていた。
「アズ!!アズサ!!やめろ!アズサに触るな!放せ!!アズサ、アズサ!!」
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