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第二十一話

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 ラインハルザ様が、お仕事でお屋敷を留守にして2週間が経ちました。
 わたくしは、ラインハルザ様のお帰りを今か今かと待ち続けておりました。
 
 ラインハルザ様から頼まれた仕事を片付けたわたくしは、テラスで今日もお茶をしておりました。
 何故テラスかと言いますと、ここからですと屋敷に向かってくる馬車がよく見えるからです。
 そして、今日もテラスで愛しいラインハルザ様を想いながら外を見ていると、リンドブルム侯爵家の紋章の入った馬車が見えたのです。
 わたくしは、扉から出るものもどかしくて、はしたないと分かっていても、魔術を併用してテラスから飛び降りていました。

 スカートを手で押さえて地面着地するのと同時に馬車に向かって駆け出しました。
 御者の方がそんなわたくしを見てぎょっとしておりましたが、そんなことどうでもよくて、走っている馬車に飛びついて、扉を開け放ちましたの。
 
 扉を勢い良く開けると、驚いた表情のラインハルザ様がいらっしゃいました。
 もう、目を丸くして、それが可愛らしくてわたくしは、そんなラインハルザ様に飛びついておりました。
 後ろ手で、馬車の扉を閉めて、ラインハルザ様を馬車の椅子に押し倒して、逃げられないように顔の両脇に手をついて、わたくしの腕の中に閉じ込めてしまいます。
 
 ラインハルザ様が何かを言う前に、その形のいい唇を小鳥のように啄んでからわたくしは言ったの。
 
「ラインハルザ様、おかえりなさいませ!ああ、会えない間、わたくしは寂しくて寂しくて……。なので、その分を埋めるべく、いっぱいイチャイチャしてくださいませ!」

 わたくしがそう言うと、ラインハルザ様は、真っ赤になったお顔を手で覆ってしまいました。
 でも、お耳も真っ赤になっていたので、全然隠せていないのですが、そんな少し抜けているところも可愛くて可愛くて、もう、堪りませんわ!!
 
 あまりにも可愛らしいラインハルザ様に我慢が出来なくなってしまったわたくしは、顔を覆ている手をそっとどかせてから、真っ赤になった頬や、目元にキスの雨を降らせたの。
 それだけじゃ足りなくて、可愛らしいお耳をぱくりとしてから、柔らかい耳たぶを甘噛みしてしまいました。
 
 ラインハルザ様は、小さく息を呑んだ後に、小さなお声で言ったの。
 
「セラヴィー、ただいま……。だけど、ちょっとここでそれ以上は……。それに、キス以上のことは、その……」

 そう言って、もじもじしだしてしまったラインハルザ様が本当に可愛らしくて、わたくしはついつい意地悪をしてしまいました。
 
「あら?キス以上がどうされたのかしら?うふふ、おっしゃってくださらないと、分からないです」

 そう言ってから、またラインハルザ様にキスの雨を降らせると、消え入りそうな声で彼は言ったのです。
 
「だから、セラヴィーのことが大切で大好きで愛してるから……、キス以上のことは……、しょ、しょ、しょ……。初夜で!!」

 大きな体を小さく震わせて、可愛らしいことを言うラインハルザ様にわたくしはきゅん死にしそうになっておりました。

 ラインハルザ様が、初夜までわたくしを大切に扱いたいというお気持ちは十分に理解いたしましたわ。
 でも、もうちょっとだけ、もうちょっとだけお許しくださいませ。

 わたくしは、ラインハルザ様の唇に触れるだけのキスをした後に、無理やり舌を捻じ込んで歯列を割って、思うさま甘いラインハルザ様の舌を堪能いたしました。
 激しくラインハルザ様の唇を貪った後に、その余韻を味わうように、彼の唇を舐めてから顔を離しましたの。
 そして、わたくし自身の唇も見せつけるように舐めてから、ラインハルザ様を見ると、彼の喉が上下に動いたのが目に入ったわ。
 ラインハルザ様の喉仏を衝動的に舐めてから、名残惜しくはあったけど体を離したわ。
 だって、ラインハルザ様がこれ以上のことは初夜でと言ったのですから。

「ラインハルザ様……、今はこれで我慢いたしますわ。でも、初夜で、たっぷりとご奉仕いたしますわね?」
 
 わたくしがそう言うと、ラインハルザ様は、お顔を真っ赤にさせてから小さく頷いたの。
 本当は、このまま馬車で初めてを捧げてもいいくらいでしたが、ラインハルザ様がそう望むのでしたら、今は我慢いたしますわ……。
 でも、初夜まで我慢できるか自信が無いわ……。
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