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第二十話 ※ラインハルザ視点

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 一つ目のゴミを片付けた俺は、もう一つのゴミを始末するため、とある伯爵の屋敷を訪ねていた。
 
 色狂いで有名な伯爵は、俺が頼むと震えながらも従った。
 そして、一人の男を俺に差し出したのだ。
 
 俺は、男を引きずるようにして伯爵家を後にしていた。
 そして、俺が向かった先は人里離れた山奥にある小さな小屋だった。
 小屋に着いた後、俺は数年ぶりの再会を果たした友人に微笑みかけていた。
 
「ヴィクター、久しぶりだな」

 俺がそう声をかけても、ヴィクターはただ震えるだけだった。
 そんなヴィクターにイラったとした俺は、ヴィクターの髪を掴んで無理やり顔を合わせてから、低い声で言ったのだ。
 
「お前に確認したいことがある。いつから術は解けていた?」

 俺がそう言うと、ヴィクターは視線を合わせないようにしながらも切れ切れではあったが、答えていた。
 
「旦那様……、に、嫁いで……、結婚式、したあと……、初夜、寝室で……」

 まさかそんなに早い段階で術が解けていたのかと驚いていた俺に、ヴィクターはどうでもいいことを説明しだしたのだ。
 
「旦那様……、セラヴィタリアじゃない、しっても、俺を……、俺を……、激しく抱いた……、どんなに泣いてもゆるして―――」

「黙れ。俺が聞いたことにのみ簡潔に答えろ」

 俺がそう言うと、ヴィクターは小さく悲鳴を上げて黙り込んだ。
 あの時、認識が阻害されずにセラヴィー本来の姿を見たことの理由が分かって、俺はすっきりしたところで、本題に入ることにした。
 
 俺は、小屋の地下にヴィクターを引きずるようにして降りていった。
 そして、地下の一室に入ってから、ヴィクターを裸に剥いて、その手足を鎖で拘束した。
 ヴィクターの手足を拘束した鎖の先は部屋の壁に固定されているため、やつは手足を限界まで伸ばすような格好で壁際に吊るされていた。
 
 やつは何を勘違いしたのだ、俺に欲情したような目を向けて息を荒げだしたのだ。
 俺は、そんなヴィクターに、伯爵に投与したものと同じ、薬を注射していた。
 舌を噛まれて死んだのでは面白くないので、猿轡をしてから一度部屋を出た。
 そして、別の部屋から持ってきた、巨大なペンチと錆びた杭を手に持って、ヴィクターのいる部屋に戻っていた。
 
 俺は、手に持った巨大なペンチをヴィクターに見せつけるようにして、やつに問いかけていた。
 
「なぁ、ヴィクター。このペンチ、何に使うと思う?」

 俺がそう言うと、やつは俺のやろうとしたことを正確に理解したようで、猿轡の奥からぐももった悲鳴を上げた。
 
「伯爵も許せないが、お前はもっと許せない。俺の大事なセラヴィーの秘所を見たんだ。だが、指一本触れなかった点は考慮して、優しく処理してやるよ」

 俺がそう言うと、やつは恐怖に震えながら勢いよく失禁していた。
 
 一瞬、眉を顰めてから、無表情でやつの股間のモノを巨大なペンチで潰した。

 ヴィクターは、あまりの痛みに喉の奥から悲鳴を上げたが、猿轡のお陰で、醜い悲鳴を聞かずにすんだ。
 
 次に、錆びた杭の先に布を巻きつけて、たっぷりの油を滲みこませた。そして、ランプの火を杭の先の布に近づけたのだ。
 すると杭は、勢いよく燃え始めた。
 俺は、そんな燃え盛る杭を勢いよくヴィクターの尻の穴にぶち込んだ。
 
 やつが白目を剥いた後に俺は、しまったと少しだけ後悔していた。
 
「しまった……。普通の男なら、死ぬほどの屈辱だが、ヴィクターにとって、ケツの穴はご褒美になってしまったな……。まぁいいさ。お前には少しだけ感謝している。お前のお陰で、セラヴィーに出会えたし、学園で共に過ごすこともできた。ヴィクター、ありがとう。そして、さよならだ」

 俺は、ヴィクターのいる部屋に火を放ってから地下へ通じる鉄製の入り口を堅く閉ざしていた。そして何もなかったように小屋を後にした。
 
 ゴミも始末したことだし、これで心置きなく愛するセラヴィーとイチャつけるな。
 そんなことを考えながら、軽い足取りで愛する人の待つ屋敷に戻ったのだった。
 
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