9 / 22
第九話
しおりを挟む
わたくしがそう言うと、ラインハルザ様は飛び上がるようにしてわたくしの膝の上から降りてしまっていた。
はぁ。もう少しラインハルザ様を抱っこしていたかったのに……。
残念に思っていると、慌てたようにラインハルザ様は言ったわ。
「悪い!!聞かなかったことにしてくれ!!」
そう言って、駆け込むようにして自室に行ってしまったのだ。
わたくしはと言うと、「何か言い方がまずかったかしら?」と首を傾げるだけだった。
次の日から数日間、ラインハルザ様の様子がおかしかった。
わたくしを避けるようになったのだ。
わたくしは、昨日の迂闊な行動を後悔したけど遅かったみたいで、距離を取られても仕方ないと項垂れながら過ごしていた。
だから油断していた。
その日、ラインハルザ様は家の用事で外出していた。学園の外で一泊して戻るという話だったので、わたくしは久しぶりに鎧を脱いで部屋で過ごしていた。
いつもは、ラインハルザ様を気にしてさっと短時間で済ませていたお風呂の時間を長めにとることにした。
久しぶりにバラの香油を湯に垂らして、ゆっくりと湯に浸かった。
髪や肌もバラの香油を塗り込み手入れをする。
切る暇もなくて、ずるずると伸びてしまった髪を手入れしながら、成長のない体を眺める。
子供の時から身長が全く伸びていない小さな体と、それに見合うくびれの少ない細い腰。
小さなお尻と、絶壁かと思える胸を見て、わたくしはため息を吐かずにはいられなかった。
もう14歳になるというのに、このお子様体形……。
なんだか虚しくなったわたくしは、いつしかクラスメイト達が見ていたエッチな絵物語に描かれていた胸の大きな女性を思い出していた。
クラスメイト達が、女子生徒に隠れてみんなでその艶本を見ていた時、あのラインハルザ様もその中にいたのだ。
わたくしは、ラインハルザ様の好みの女性が知りたく、その場にいたクラスメイト達に聞いたのだ。
「女の胸の大きさについてどう思う?」
わたくしがそう言うと、様々な意見が飛び交ったのだ。
「俺は断然巨乳派!!タユンタユンのおっぱいにぱふぱふされたい人生だった!!」
「美乳派。大きさじゃない。形と感度」
「俺は、ささやか派だなぁ。ちっぱいを俺が育てる!!」
なんていうことだろう……。絶壁に人権はないのか……?
わたくしみたいな、膨らみのない人間は需要ゼロなの?
「絶壁は?」
わたくしがついそう口にすると、その場にいた男どもは一斉に言ったのだ。
「無いな」
「ないに決まってる」
「それって、男でよくねぇ?」
くっ、お前ら!!好きで絶壁を築いたわけじゃない!!
わたくしだって、大それたことは望んでいませんわ!ちょっとした程度の膨らみを求めているだけなのよ!!誰かわたくしにおっぱいを分けてください!!
悲しみに打ちひしがれるわたくしだったけど、ラインハルザ様の反応が気になって、彼を見ていると、ラインハルザ様は、小さな声で言ったのだ。
「別に、胸なんてどうでもいいよ。好きな人なら、あってもなくてもいい」
「ふーん。まっ平の絶壁とタユンタユンのパフパフなら?」
貴様!!ラインハルザ様になんて質問するのよ!!ぶち殺しますわよ!!
だけど、ラインハルザ様の答えが気になったわたくしは彼の答えを大人しく聞いていた。
「二択なら……。たゆ……。なんでもない!!」
ラインハルザ様!!わたくし今しっかりと聞きましたわ!
そうですか、そうですか!!
コンチクショウですわ!!
そんなことを思い出していたわたくしは、自然と胸のマッサージをしていた。
別に、大きくなればとかなんて思っていませんわ!!
熱心に胸を揉んでいると結構な時間が経っていたことに気が付いたわたくしは、全く変化のない胸を見なかったことにしてお風呂場を後にしていた。
そして、透けるように薄いネグリジェ姿で一人きりのリビングルームでぼうっとしていた。
そうしている内に、気が付けば眠ってしまっていたわ。
はぁ。もう少しラインハルザ様を抱っこしていたかったのに……。
残念に思っていると、慌てたようにラインハルザ様は言ったわ。
「悪い!!聞かなかったことにしてくれ!!」
そう言って、駆け込むようにして自室に行ってしまったのだ。
わたくしはと言うと、「何か言い方がまずかったかしら?」と首を傾げるだけだった。
次の日から数日間、ラインハルザ様の様子がおかしかった。
わたくしを避けるようになったのだ。
わたくしは、昨日の迂闊な行動を後悔したけど遅かったみたいで、距離を取られても仕方ないと項垂れながら過ごしていた。
だから油断していた。
その日、ラインハルザ様は家の用事で外出していた。学園の外で一泊して戻るという話だったので、わたくしは久しぶりに鎧を脱いで部屋で過ごしていた。
いつもは、ラインハルザ様を気にしてさっと短時間で済ませていたお風呂の時間を長めにとることにした。
久しぶりにバラの香油を湯に垂らして、ゆっくりと湯に浸かった。
髪や肌もバラの香油を塗り込み手入れをする。
切る暇もなくて、ずるずると伸びてしまった髪を手入れしながら、成長のない体を眺める。
子供の時から身長が全く伸びていない小さな体と、それに見合うくびれの少ない細い腰。
小さなお尻と、絶壁かと思える胸を見て、わたくしはため息を吐かずにはいられなかった。
もう14歳になるというのに、このお子様体形……。
なんだか虚しくなったわたくしは、いつしかクラスメイト達が見ていたエッチな絵物語に描かれていた胸の大きな女性を思い出していた。
クラスメイト達が、女子生徒に隠れてみんなでその艶本を見ていた時、あのラインハルザ様もその中にいたのだ。
わたくしは、ラインハルザ様の好みの女性が知りたく、その場にいたクラスメイト達に聞いたのだ。
「女の胸の大きさについてどう思う?」
わたくしがそう言うと、様々な意見が飛び交ったのだ。
「俺は断然巨乳派!!タユンタユンのおっぱいにぱふぱふされたい人生だった!!」
「美乳派。大きさじゃない。形と感度」
「俺は、ささやか派だなぁ。ちっぱいを俺が育てる!!」
なんていうことだろう……。絶壁に人権はないのか……?
わたくしみたいな、膨らみのない人間は需要ゼロなの?
「絶壁は?」
わたくしがついそう口にすると、その場にいた男どもは一斉に言ったのだ。
「無いな」
「ないに決まってる」
「それって、男でよくねぇ?」
くっ、お前ら!!好きで絶壁を築いたわけじゃない!!
わたくしだって、大それたことは望んでいませんわ!ちょっとした程度の膨らみを求めているだけなのよ!!誰かわたくしにおっぱいを分けてください!!
悲しみに打ちひしがれるわたくしだったけど、ラインハルザ様の反応が気になって、彼を見ていると、ラインハルザ様は、小さな声で言ったのだ。
「別に、胸なんてどうでもいいよ。好きな人なら、あってもなくてもいい」
「ふーん。まっ平の絶壁とタユンタユンのパフパフなら?」
貴様!!ラインハルザ様になんて質問するのよ!!ぶち殺しますわよ!!
だけど、ラインハルザ様の答えが気になったわたくしは彼の答えを大人しく聞いていた。
「二択なら……。たゆ……。なんでもない!!」
ラインハルザ様!!わたくし今しっかりと聞きましたわ!
そうですか、そうですか!!
コンチクショウですわ!!
そんなことを思い出していたわたくしは、自然と胸のマッサージをしていた。
別に、大きくなればとかなんて思っていませんわ!!
熱心に胸を揉んでいると結構な時間が経っていたことに気が付いたわたくしは、全く変化のない胸を見なかったことにしてお風呂場を後にしていた。
そして、透けるように薄いネグリジェ姿で一人きりのリビングルームでぼうっとしていた。
そうしている内に、気が付けば眠ってしまっていたわ。
0
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されまして(笑)
竹本 芳生
恋愛
1・2・3巻店頭に無くても書店取り寄せ可能です!
(∩´∀`∩)
コミカライズ1巻も買って下さると嬉しいです!
(∩´∀`∩)
イラストレーターさん、漫画家さん、担当さん、ありがとうございます!
ご令嬢が婚約破棄される話。
そして破棄されてからの話。
ふんわり設定で見切り発車!書き始めて数行でキャラが勝手に動き出して止まらない。作者と言う名の字書きが書く、どこに向かってるんだ?とキャラに問えば愛の物語と言われ恋愛カテゴリーに居続ける。そんなお話。
飯テロとカワイコちゃん達だらけでたまに恋愛モードが降ってくる。
そんなワチャワチャしたお話し。な筈!
【改訂版】目指せ遥かなるスローライフ!~放り出された異世界でモフモフと生き抜く異世界暮らし~
水瀬 とろん
ファンタジー
「今のわたしでは・・ここにある・・それだけ」白い部屋で目覚めた俺は、獣人達のいる魔法世界に一人放り出された。女神様にもらえたものはサバイバルグッズと1本の剣だけ。
これだけで俺はこの世界を生き抜かないといけないのか?
あそこにいるのはオオカミ獣人の女の子か。モフモフを愛して止まない俺が、この世界で生き抜くためジタバタしながらも目指すは、スローライフ。
無双などできない普通の俺が、科学知識を武器にこの世界の不思議に挑んでいく、俺の異世界暮らし。
――――――――――――――――――――――――――――
完結した小説を改訂し、できた話から順次更新しています。基本毎日更新します。
◇基本的にのんびりと、仲間と共にする異世界の日常を綴った物語です。
※セルフレイティング(残酷・暴力・性描写有り)作品
(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。
青空一夏
恋愛
フランソワーズは母親から理不尽な扱いを受けていた。それは美しいのに醜いと言われ続けられたこと。学園にも通わせてもらえなかったこと。妹ベッツィーを常に優先され、差別されたことだ。
父親はそれを黙認し、兄は人懐っこいベッツィーを可愛がる。フランソワーズは完全に、自分には価値がないと思い込んだ。
妹に婚約者ができた。それは公爵家の嫡男マクシミリアンで、ダイヤモンド鉱山を所有する大金持ちだった。彼は美しい少年だったが、病の為に目はくぼみガリガリに痩せ見る影もない。
そんなマクシミリアンを疎んじたベッツィーはフランソワーズに提案した。
「ねぇ、お姉様! お姉様にはちょうど婚約者がいないわね? マクシミリアン様を譲ってあげるわよ。ね、妹からのプレゼントよ。受け取ってちょうだい」
これはすっかり自信をなくした、実はとても綺麗なヒロインが幸せを掴む物語。異世界。現代的表現ありの現代的商品や機器などでてくる場合あり。貴族世界。全く史実に沿った物語ではありません。
6/23 5:56時点でhot1位になりました。お読みくださった方々のお陰です。ありがとうございます。✨
天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする
カエデネコ
恋愛
※カクヨムの方にも載せてあります。サブストーリーなども書いていますので、よかったら、お越しくださいm(_ _)m
リアンは有名私塾に通い、天才と名高い少女であった。しかしある日突然、陛下の花嫁探しに白羽の矢が立ち、有無を言わさず後宮へ入れられてしまう。
王妃候補なんてなりたくない。やる気ゼロの彼女は後宮の部屋へ引きこもり、怠惰に暮らすためにその能力を使うことにした。
私の愛する人は、私ではない人を愛しています
ハナミズキ
恋愛
代々王宮医師を輩出しているオルディアン伯爵家の双子の妹として生まれたヴィオラ。
物心ついた頃から病弱の双子の兄を溺愛する母に冷遇されていた。王族の専属侍医である父は王宮に常駐し、領地の邸には不在がちなため、誰も夫人によるヴィオラへの仕打ちを諫められる者はいなかった。
母に拒絶され続け、冷たい日々の中でヴィオラを支えたのは幼き頃の初恋の相手であり、婚約者であるフォルスター侯爵家嫡男ルカディオとの約束だった。
『俺が騎士になったらすぐにヴィオを迎えに行くから待っていて。ヴィオの事は俺が一生守るから』
だが、その約束は守られる事はなかった。
15歳の時、愛するルカディオと再会したヴィオラは残酷な現実を知り、心が壊れていく。
そんなヴィオラに、1人の青年が近づき、やがて国を巻き込む運命が廻り出す。
『約束する。お前の心も身体も、俺が守るから。だからもう頑張らなくていい』
それは誰の声だったか。
でもヴィオラの壊れた心にその声は届かない。
もうヴィオラは約束なんてしない。
信じたって最後には裏切られるのだ。
だってこれは既に決まっているシナリオだから。
そう。『悪役令嬢』の私は、破滅する為だけに生まれてきた、ただの当て馬なのだから。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
利己的な聖人候補~とりあえず異世界でワガママさせてもらいます
やまなぎ
ファンタジー
9/11 コミカライズ再スタート!
神様は私を殉教者と認め〝聖人〟にならないかと誘ってきた。
だけど、私はどうしても生きたかった。小幡初子(おばた・はつこ)22歳。
渋々OKした神様の嫌がらせか、なかなかヒドイ目に遭いながらも転生。
でも、そこにいた〝ワタシ〟は6歳児。しかも孤児。そして、そこは魔法のある不思議な世界。
ここで、どうやって生活するの!?
とりあえず村の人は優しいし、祖父の雑貨店が遺されたので何とか居場所は確保できたし、
どうやら、私をリクルートした神様から2つの不思議な力と魔法力も貰ったようだ。
これがあれば生き抜けるかもしれない。
ならば〝やりたい放題でワガママに生きる〟を目標に、新生活始めます!!
ーーーーーー
ちょっとアブナイ従者や人使いの荒い後見人など、多くの出会いを重ねながら、つい人の世話を焼いてしまう〝オバちゃん度〟高めの美少女の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる