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第四話

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 わたくしが12歳の時、とうとうその日がやってきたのだ。
 以前から準備していた計画を実行する、またとない機会が。
 
 その日は、お義兄様が騎士学校に入学する前日だった。


 騎士学校は、アルマース王国の貴族の子供が14歳になった年に通う学校で、その他にも、騎士になりたい平民の子供たちも通う学校だ。

 騎士学校は、剣士科と魔術師科の二科に分かれていた。
 その理由は、アルマース王国の騎士の在り方にあった。
 騎士は、剣士と魔術師の二人一組で動くのが基本理念になっていたのだ。
 だから、騎士学校は将来のパートナーを探すという目的もあり、剣士科と魔術師科の二科に分かれていたのだ。
 騎士学校は三年制で、1年と2年では基本を学び、2年の試験でパートナー決めをした。
 そして、3年からはパートナーと一緒に行動し、訓練を積んでいくのだ。


 お義兄様は、次男なので家を継げない。だけど、騎士になるために、騎士学校に入学することになっていた。
 明日、お義兄様は旅立つ。その前になんとしてでもこの計画を成功させなくてはならなかった。
 騎士学校には、ラインハルザ様も通うことになっていたのだ。
 ラインハルザ様は、侯爵家の一人息子ではあったけど、リンドブルム侯爵家は武門一族なので、騎士学校に通うことになっていの。
 
 その日の夜、お義兄様は離れる前にわたくしを抱いてしまおうと考えたみたいだった。
 この時のわたくしは、遥かに年上の伯爵に数か月後に嫁ぐことが決まっていた。だからだろうか、お義兄様がわたくしの処女を奪う気になったのは。
 
 だけど、それはわたくしにとっても好都合だった。
 
 夜に、寝所に呼ばれたわたくしは、何も知らないふりで、お義兄様の部屋に入った。

 部屋に入ったわたくしに、お義兄様はいつものように言ったわ。
 
「セラ、僕の可愛いセラ。服を脱いで僕に全てを見せて……」

 吐き気を覚えつつも、ベッドに腰掛けるお義兄様に近寄り、自分でも嘘くさいと思うようなか細い声でわたくしは言ったの。
 
「お義兄様……。わたくしの全てを差し上げます。ですから、お義兄様も、わたくしにお義兄様の全てを下さいませ……」

 わたくしが、敢えてか細い声でそう言うと、お義兄様は、何を勘違いしたのか鼻の下を伸ばしてそれに頷いていた。
 そんなお義兄様に気付かれないように、わたくしは小さく笑っていた。 
 
 お義兄様が、心からわたくしの言葉を受け入れてくれたおかげで、わたくしが長年かけて準備していた魔術が発動していたから。
 
「お義兄様……。ありがとうございます。ありがたく、お義兄様の全てを頂戴いたしますわ。ですから、お義兄様も遠慮せずにわたくしの全てを受け取ってくださいませ」

 わたくしは、展開する魔術に驚くお義兄様に向かって、心の底からの笑みを浮かべてそう言ったのだ。
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