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第八十話 薄い本
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女王は、宰相に目配せをした後にゴールデン・ウルフの面々に言った。
「それでは、このままお茶の時間としようか。それで、向こうでの生活はどうだったのだ?楽しかったか?」
女王からの指示を受けた宰相は、すぐにメイドにお茶の準備をさせるために指示を出してから、書き上がった魔導書を持って部屋を出ていった。それと入れ違うように、専属メイドがお茶とお菓子の乗ったワゴンを押して入室してきた。
専属メイドは、あっという間にお茶会の準備を整えてから、女王の後ろに影のように控えた。
女王に勧められるまま、お茶とお菓子を楽しむレオールと秋護は、我関せずと言った体でウィリアムとユリウスが当たり障りのないことを話すのを聞いていた。
「俺たちは、図書館の空いている日はほぼ籠もっていたので、対して陛下が楽しいと思うようなことはありませんでした」
「陛下、申し訳ないのですがウィリアムの言う通り、これと言った事件も……なく。平穏に過ごしていました」
ユリウスは、少し言い淀んだが、詳しく話す気はなさそうだと感じた女王は、標的を変更することに決めた。
ティーカップの縁を指でなぞりながら、人の悪そうな笑みを受けべてから同士認定をした秋護が絶対に楽しそうなネタを持っていと確信し話題を振ったのだ。
「そうか、それではどう……じゃなかった。シューゴは、何か思い当たるような出来事はなかったか?」
秋護はと言うと、女王の一見人の悪そうな表情の裏にある、腐のオーラを感じたのだ。
話を振られた秋護は、ネタはあるにはあるがどうしようかと悩んだ結果、同士となった女王にネタを提供することに決めたのだった。
「そうですね~。どう……じゃなかった。女王様に喜んでもらえるかはわかりませんが(絶対喜ぶネタですよこれ)。例えば、春虎ちゃんが女装して、レオールさんと晩餐会に行ったとか、それがきっかけで船長さんと春虎ちゃんが大喧嘩したとかですかね?」
「「「「「!!!!!」」」」」
面白がるような表情をした、秋護はトレードマークのメガネをクイッと上げて暴露した。それに、全員が反応した。
「「詳しく!!」」
そして、女王と後ろに控えていた専属メイドが食いついたのだ。
秋護は、それを見てメイドもかよ!!と心のなかで突っ込んだが、腐った仲間は大歓迎なので自分の私見を挟みつつ説明を始めた。
「そうですね~。女装については、向こうでお世話になったお店のお嬢さんを助けるために、レオールさんが手を打ったことが始まりです。お嬢さんを助けるために晩餐会に参加することにしたレオールさんは、嫌がる春虎ちゃんに、お嬢さんを盾に女装を強要。春虎ちゃんは、お友達になったお嬢さんを助けるために……。因みに、春虎ちゃんの女装はすっごく可愛かったです。船長さんも、見惚れるほどの可憐さでしたよ!!それで、春虎ちゃんが可愛すぎたために、船長さんが暴走して、大喧嘩ですよ~」
秋護の話は間違いではないが、正しくもないと言ったところだったが、色々と刺激された女王と専属メイドは興奮気味に前のめりなって話を聞いていた。
秋護もだんだん楽しくなってきたようで、ノリノリで話をしていた。
「そうかそうか!!これは良いことを聞いた!!色々捗りそうだ!!」
「はい!!陛下!!!新刊も楽しみにしています!!」
二人の隠すことを忘れた会話に、秋護が食いついた。
「えっ?まさか薄い本がここに存在しているのか!?」
秋護の驚いた言葉に、女王と専属メイドが疑問の声を上げた後に、あのことにとうとう気がついてしまったのだ。
「シューゴ、薄い本とは?薄い……!!!!まさかあなたが神か!!!」
「薄い本?薄い……?薄い本……!!!!あれですか!!あなたが神ですか!!!」
何かに気がついた二人は、視線で何かを確かめあった後に、専属メイドが素早く応接室を出ていった。そして、すぐに何かを抱えて戻ってきた。
それを見た春虎は、表情を固くした。
トラウマとなった、禁断の箱ならぬ、キャリーケースを見て青くなったのだ。
(どうして今あれがここに!?)
しかし、春虎の疑問を他所に秋護がキャリーケースに反応したのだ。
「あっ!!俺のキャリーケース!!どうして?」
その言葉を聞いた春虎は、秋護を驚きの表情で見つめて思った。
(秋護さんの私物?えっ?秋護さんは腐っていたの?えっ?えーーーーー!!!)
そう、この国に不治の病を撒き散らした元凶は秋護だったのだ。
あまりの驚きに、春虎は一つのことを見落としてしまったいた。それは、その禁断のキャリーケースが自分たちがこちらに来る前からこの国にあったことを。
しかし、この謎ももうすぐ訪れる災厄が解き明かしてくれるとは思ってもいない春虎だった。
「それでは、このままお茶の時間としようか。それで、向こうでの生活はどうだったのだ?楽しかったか?」
女王からの指示を受けた宰相は、すぐにメイドにお茶の準備をさせるために指示を出してから、書き上がった魔導書を持って部屋を出ていった。それと入れ違うように、専属メイドがお茶とお菓子の乗ったワゴンを押して入室してきた。
専属メイドは、あっという間にお茶会の準備を整えてから、女王の後ろに影のように控えた。
女王に勧められるまま、お茶とお菓子を楽しむレオールと秋護は、我関せずと言った体でウィリアムとユリウスが当たり障りのないことを話すのを聞いていた。
「俺たちは、図書館の空いている日はほぼ籠もっていたので、対して陛下が楽しいと思うようなことはありませんでした」
「陛下、申し訳ないのですがウィリアムの言う通り、これと言った事件も……なく。平穏に過ごしていました」
ユリウスは、少し言い淀んだが、詳しく話す気はなさそうだと感じた女王は、標的を変更することに決めた。
ティーカップの縁を指でなぞりながら、人の悪そうな笑みを受けべてから同士認定をした秋護が絶対に楽しそうなネタを持っていと確信し話題を振ったのだ。
「そうか、それではどう……じゃなかった。シューゴは、何か思い当たるような出来事はなかったか?」
秋護はと言うと、女王の一見人の悪そうな表情の裏にある、腐のオーラを感じたのだ。
話を振られた秋護は、ネタはあるにはあるがどうしようかと悩んだ結果、同士となった女王にネタを提供することに決めたのだった。
「そうですね~。どう……じゃなかった。女王様に喜んでもらえるかはわかりませんが(絶対喜ぶネタですよこれ)。例えば、春虎ちゃんが女装して、レオールさんと晩餐会に行ったとか、それがきっかけで船長さんと春虎ちゃんが大喧嘩したとかですかね?」
「「「「「!!!!!」」」」」
面白がるような表情をした、秋護はトレードマークのメガネをクイッと上げて暴露した。それに、全員が反応した。
「「詳しく!!」」
そして、女王と後ろに控えていた専属メイドが食いついたのだ。
秋護は、それを見てメイドもかよ!!と心のなかで突っ込んだが、腐った仲間は大歓迎なので自分の私見を挟みつつ説明を始めた。
「そうですね~。女装については、向こうでお世話になったお店のお嬢さんを助けるために、レオールさんが手を打ったことが始まりです。お嬢さんを助けるために晩餐会に参加することにしたレオールさんは、嫌がる春虎ちゃんに、お嬢さんを盾に女装を強要。春虎ちゃんは、お友達になったお嬢さんを助けるために……。因みに、春虎ちゃんの女装はすっごく可愛かったです。船長さんも、見惚れるほどの可憐さでしたよ!!それで、春虎ちゃんが可愛すぎたために、船長さんが暴走して、大喧嘩ですよ~」
秋護の話は間違いではないが、正しくもないと言ったところだったが、色々と刺激された女王と専属メイドは興奮気味に前のめりなって話を聞いていた。
秋護もだんだん楽しくなってきたようで、ノリノリで話をしていた。
「そうかそうか!!これは良いことを聞いた!!色々捗りそうだ!!」
「はい!!陛下!!!新刊も楽しみにしています!!」
二人の隠すことを忘れた会話に、秋護が食いついた。
「えっ?まさか薄い本がここに存在しているのか!?」
秋護の驚いた言葉に、女王と専属メイドが疑問の声を上げた後に、あのことにとうとう気がついてしまったのだ。
「シューゴ、薄い本とは?薄い……!!!!まさかあなたが神か!!!」
「薄い本?薄い……?薄い本……!!!!あれですか!!あなたが神ですか!!!」
何かに気がついた二人は、視線で何かを確かめあった後に、専属メイドが素早く応接室を出ていった。そして、すぐに何かを抱えて戻ってきた。
それを見た春虎は、表情を固くした。
トラウマとなった、禁断の箱ならぬ、キャリーケースを見て青くなったのだ。
(どうして今あれがここに!?)
しかし、春虎の疑問を他所に秋護がキャリーケースに反応したのだ。
「あっ!!俺のキャリーケース!!どうして?」
その言葉を聞いた春虎は、秋護を驚きの表情で見つめて思った。
(秋護さんの私物?えっ?秋護さんは腐っていたの?えっ?えーーーーー!!!)
そう、この国に不治の病を撒き散らした元凶は秋護だったのだ。
あまりの驚きに、春虎は一つのことを見落としてしまったいた。それは、その禁断のキャリーケースが自分たちがこちらに来る前からこの国にあったことを。
しかし、この謎ももうすぐ訪れる災厄が解き明かしてくれるとは思ってもいない春虎だった。
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