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第四十七話 王立図書館
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「簡単に言うと、私が一度イグニス王国で仕事をしてきたことが大きいな。それと、私を蹴落としたい他の貴族の策略もあった可能性もあるかな?しかし、私はもしかするとまた君たちに会えるかと思って自分から志願した」
レオールは、一瞬春虎の方を向いて今回世話役になった理由をウィリアムたちに話した。その内容は、面倒事に巻き込まれそうな雰囲気が満載の内容だったが、ウィリアムにはそれよりも一瞬春虎の方を向いて「また会えるかと思って」と言った言葉のほうが重要だった。
反応に困るユリウス達を知ってか知らずか、ウィリアムは気に入らないと表情に出してそっぽを向いて言った。
「ふん。別に誰もあんたに会いたくなんてなかったよ」
そんな、ウィリアムの態度に肩をすくめただけで何も言わずにレオールはゴールデン・ウルフのメンバーに言った。
「私のことは、気軽にレオールと呼んでほしい。これからよろしく頼む。それじゃ、早速王立図書館に案内する」
こうして、ある意味マイペースなレオールに連れられて王立図書館に向かう一行だった。
宿からそこそこの距離を歩いた先に立派な建物が立っていた。
その建物は、二階建てのレンガ造りの若干時代を感じさせる作りの建物だった。中に入ると、大きな本棚に沢山の本が並んでいた。外の光が入らないように、窓は一切なく等間隔に並んでいるランプが光源となっていた。
イグニス王国では、古い建物であっても全ての建物が魔導式のランプに切り替わっており、王立図書館にあるような昔のオイル式のランプはすでにアンティークとなっていた。
ウィリアムとユリウスは、イグニス王国では余り見ることがないオイル式のランプに興味を示しながらも図書館の中を物珍しそうに眺めた。
レオールは、四人を連れてそのまま奥にある扉まで案内をした。その扉の前には一人の年老いた男性がいた。レオールはその男性に気軽に声をかけた。
「館長、おまたせした。彼らがイグニス王国から今回の写本をしに来た者たちです」
レオールに館長と呼ばれた男は、優しげな声で挨拶をしてから、後ろにある扉を開いて中に入るように言った。館長は、レオールにその場を任せて部屋をすぐに出ていった。
レオールは、部屋に一つだけあるテーブルに部屋の奥から一冊の本を持ってきて置いた。
「これが、君達の国から依頼された魔導書の原本だ。この部屋から持ち出すことは禁止されているものなので、本を写すのはこのテーブルで行ってもらう。基本的に王立図書館の開館時間内でやってもらうことになる。あと、わかっているとは思うが、ここでは飲食禁止だ。休憩をするときは、ここを出て近くにあるカフェで食事をしてもらう」
「わかった。それじゃ早速始めよう。ハル坊教えた通りに出来そうか?」
レオールから注意事項を聞いた後にユリウスは、事前に教えた方法で写本ができそうか春虎に聞いてきた。春虎は、一つ頷いてから女王から支給された特別な方法で製本された特性の真っ白な本と同じく特殊なインクが入った万年筆を取り出した。
そして、春虎はその万年筆に力を流すようなイメージをしながら、渡された魔導書を書き写し始めた。
部屋には、カリカリという、万年筆の音だけが響いていた。
春虎は、本を写す間ウィリアムたちには自由に街を見たりしてもらっていいと言ったが、全員が「お前が働いているのにそんな事できない」と、即座に断られてしまったのだった。
レオールはと言うと、「私には監督責任があるから、ここを離れるわけにはいかない」とのことだった。
ひたすら魔導書を書き写していると、いつの間にかお昼時となっていた。静まり返った部屋に「ぐるる~」という腹の音が室内に響いた。
秋護は、とっさに自分の腹に手をあてて情けない表情になりながら言った。
「ハラヘリ~。そろそろ飯時」
秋護の言葉で、全員が昼時だということに気がついた。集中していた春虎は、体を解すように体を伸ばして一息ついた。
王立図書館を出て、近くのカフェで少し遅めの昼食を取る。
そのカフェのメニューはそれほど数がなかったため、全員がランチセットを頼むことにした。
頼んだランチセットはすぐに来た。
ランチセットは、少し硬めの黒パンに薄味のスープにサラダ(ただの野菜)という内容だった。
秋護は、『いただきま~す』と言って、黒パンを一口頬張った状態で固まった。そして、一言悲しげに言った。
「カタイ……」
秋護の言葉を聞いたレオールは、一口大にに千切った黒パンをスープに付けて少し柔らかくしてから口に入れて少し困った表情になって言った。
「イグニス王国の食事と比べると、我が国の食事はなんというか……。すまないが、パンはスープに浸して柔らかくして食べてくれ」
「まじか……。今まで食べたところ。たまたまあれ思った。ラジタリウス、メシマズ。悲しい」
秋護が本気で悲しんでいるのがわかったレオールは、申し訳なさそうな表情をしていた。
春虎は、魔力を込めながら本を写すのが思いの外大変な作業で、まだ時間がかかりそうだと考え、秋護たちに食事で苦労させてしまうことを心の中で詫た。
どこかで、キッチンを借りられればいいのだけれどと思ったが、あてがないことには難しいと考え、口には出さなかった。
その後、王立図書館に戻りひたすら魔導書を写していると、閉館を告げる鐘が鳴り響いた。
急いで片付けをして、王立図書館を後にした。そして、四人が宿屋に戻ろうとするとレオールがそれを止めた。
「すまない。言い忘れていたが、今日からは私の家に滞在してもらう。荷物はすでに、私の家に運んであるので安心してほしい」
こうして、高級宿からレオールの家に滞在することになった四人は、レオールの案内で彼の家に向かうこととなった。
レオールは、一瞬春虎の方を向いて今回世話役になった理由をウィリアムたちに話した。その内容は、面倒事に巻き込まれそうな雰囲気が満載の内容だったが、ウィリアムにはそれよりも一瞬春虎の方を向いて「また会えるかと思って」と言った言葉のほうが重要だった。
反応に困るユリウス達を知ってか知らずか、ウィリアムは気に入らないと表情に出してそっぽを向いて言った。
「ふん。別に誰もあんたに会いたくなんてなかったよ」
そんな、ウィリアムの態度に肩をすくめただけで何も言わずにレオールはゴールデン・ウルフのメンバーに言った。
「私のことは、気軽にレオールと呼んでほしい。これからよろしく頼む。それじゃ、早速王立図書館に案内する」
こうして、ある意味マイペースなレオールに連れられて王立図書館に向かう一行だった。
宿からそこそこの距離を歩いた先に立派な建物が立っていた。
その建物は、二階建てのレンガ造りの若干時代を感じさせる作りの建物だった。中に入ると、大きな本棚に沢山の本が並んでいた。外の光が入らないように、窓は一切なく等間隔に並んでいるランプが光源となっていた。
イグニス王国では、古い建物であっても全ての建物が魔導式のランプに切り替わっており、王立図書館にあるような昔のオイル式のランプはすでにアンティークとなっていた。
ウィリアムとユリウスは、イグニス王国では余り見ることがないオイル式のランプに興味を示しながらも図書館の中を物珍しそうに眺めた。
レオールは、四人を連れてそのまま奥にある扉まで案内をした。その扉の前には一人の年老いた男性がいた。レオールはその男性に気軽に声をかけた。
「館長、おまたせした。彼らがイグニス王国から今回の写本をしに来た者たちです」
レオールに館長と呼ばれた男は、優しげな声で挨拶をしてから、後ろにある扉を開いて中に入るように言った。館長は、レオールにその場を任せて部屋をすぐに出ていった。
レオールは、部屋に一つだけあるテーブルに部屋の奥から一冊の本を持ってきて置いた。
「これが、君達の国から依頼された魔導書の原本だ。この部屋から持ち出すことは禁止されているものなので、本を写すのはこのテーブルで行ってもらう。基本的に王立図書館の開館時間内でやってもらうことになる。あと、わかっているとは思うが、ここでは飲食禁止だ。休憩をするときは、ここを出て近くにあるカフェで食事をしてもらう」
「わかった。それじゃ早速始めよう。ハル坊教えた通りに出来そうか?」
レオールから注意事項を聞いた後にユリウスは、事前に教えた方法で写本ができそうか春虎に聞いてきた。春虎は、一つ頷いてから女王から支給された特別な方法で製本された特性の真っ白な本と同じく特殊なインクが入った万年筆を取り出した。
そして、春虎はその万年筆に力を流すようなイメージをしながら、渡された魔導書を書き写し始めた。
部屋には、カリカリという、万年筆の音だけが響いていた。
春虎は、本を写す間ウィリアムたちには自由に街を見たりしてもらっていいと言ったが、全員が「お前が働いているのにそんな事できない」と、即座に断られてしまったのだった。
レオールはと言うと、「私には監督責任があるから、ここを離れるわけにはいかない」とのことだった。
ひたすら魔導書を書き写していると、いつの間にかお昼時となっていた。静まり返った部屋に「ぐるる~」という腹の音が室内に響いた。
秋護は、とっさに自分の腹に手をあてて情けない表情になりながら言った。
「ハラヘリ~。そろそろ飯時」
秋護の言葉で、全員が昼時だということに気がついた。集中していた春虎は、体を解すように体を伸ばして一息ついた。
王立図書館を出て、近くのカフェで少し遅めの昼食を取る。
そのカフェのメニューはそれほど数がなかったため、全員がランチセットを頼むことにした。
頼んだランチセットはすぐに来た。
ランチセットは、少し硬めの黒パンに薄味のスープにサラダ(ただの野菜)という内容だった。
秋護は、『いただきま~す』と言って、黒パンを一口頬張った状態で固まった。そして、一言悲しげに言った。
「カタイ……」
秋護の言葉を聞いたレオールは、一口大にに千切った黒パンをスープに付けて少し柔らかくしてから口に入れて少し困った表情になって言った。
「イグニス王国の食事と比べると、我が国の食事はなんというか……。すまないが、パンはスープに浸して柔らかくして食べてくれ」
「まじか……。今まで食べたところ。たまたまあれ思った。ラジタリウス、メシマズ。悲しい」
秋護が本気で悲しんでいるのがわかったレオールは、申し訳なさそうな表情をしていた。
春虎は、魔力を込めながら本を写すのが思いの外大変な作業で、まだ時間がかかりそうだと考え、秋護たちに食事で苦労させてしまうことを心の中で詫た。
どこかで、キッチンを借りられればいいのだけれどと思ったが、あてがないことには難しいと考え、口には出さなかった。
その後、王立図書館に戻りひたすら魔導書を写していると、閉館を告げる鐘が鳴り響いた。
急いで片付けをして、王立図書館を後にした。そして、四人が宿屋に戻ろうとするとレオールがそれを止めた。
「すまない。言い忘れていたが、今日からは私の家に滞在してもらう。荷物はすでに、私の家に運んであるので安心してほしい」
こうして、高級宿からレオールの家に滞在することになった四人は、レオールの案内で彼の家に向かうこととなった。
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