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第四十五話 再会

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 レストランに現れたレオールは、テーブルの横に立ったまま軽く挨拶をしてから「それじゃ、また」という言葉を残して颯爽とその場を後にした。

 残された四人は、全員が呆気にとられた表情で、ただレオールが去っていくのを見送るだけだった。
 最初に我に返ったユリウスは、顎に手をあてて少し悩んだ後に1つの考えを口にした。

「もしかすると、迎えの者が言っていた明日来る世話役というのがレオールのことだったのかもしれないな」

 ユリウスの考えに春虎とウィリアムは同じ考えだと頷いた。
 しかし、秋護はレオールの役職的にそれはないのではないかと疑問を口にした。

「可笑しい思う。レオールさん、提督代理。世話役しない思う」

 秋護の考えを聞いたユリウスはそれを否定をした。

「俺も最初はそう思った。しかし、ヤツの話しぶりからそれはないと感じた。それに、ヤツは自分のことを提督代理と言っていた。と、言うことは本来は別の任務にあたっていたことが考えられる」
「まぁ、悩んでも仕方ない。明日になればすべてわかる。今日はさっさと休んで明日に備えよう」

 ウィリアムのあまりにも能天気な言葉に、全員が呆れ顔になりつつもある意味正論だと判断し食事を終えた後は、それぞれの部屋で早々に休むことになった。


 ◆◇◆◇



 天蓋付きの広いベッドの中で秋護は何度も寝返りを打っていた。
 それというのも、春虎は一緒のベッドで眠ることに異を唱えなかったが、秋護は年下といえど年頃の少女、しかもとびっきりの美少女と1つのベッドで眠ることがなかなかできなかった。

 隣で健やかは寝息を立てる春虎のことが気になって何度も寝返りをうつ。
 そうしていると、外がだんだんと明るくなってきたのがわかった。
 外がだんだん明るくなっても一向に眠ることができない秋護は、何度寝返りを打ったことだろうか。
 そんなとき、隣で眠る春虎が寝返りを打って小さく息を吐いたと思うと、身を起こした。

 
 起きるにはまだ早い時間だったが、目を覚ました春虎は、秋護がまだ眠っていると考えそっとベッドを出ていった。
 秋護はというと、眠ったふりを続けて身を固くしていた。
 春虎のことが気になった秋護は、寝たふりをしながら様子をうかがった。
 そうしていると、何かがさごそしていた春虎はそっと部屋を出ていった。
 春虎のことを気にしていた秋護だったが、気がつくとうとうとし、いつの間にか眠っていたのだった。

 一方その頃、そっと部屋を出た春虎はというと部屋に備え付けられているバスルームに向かっていた。
 ラジタリウスのバスルームは湯船がなく、タイル張りの床に小さな水場が設置されている。そこに、蒸気を発するための燃料が置かれ、その燃料を加熱させて部屋を熱くするのだ。
 そして、その燃料に時折水場の水をかけて蒸気を出させて熱で汗を出す。
 そう、サウナの様なものだった。
 ラジタリウス王国は風呂が普及しておらず、一般的な家庭では桶に溜めたお湯で体を簡単に体を流す程度か、手ぬぐいで体を拭いて清めるくらいだ。
 高貴な身分のものは、今春虎が使っているよな蒸し風呂を使って体を清めている。

 昨日、寝る前にこのバスルームを見て春虎と秋護は湯船に浸かれないことにがっかりしながらも、ないものは仕方ないと蒸し風呂で汗を流したが、それまで毎日湯船、もしくはシャワーで汗を流していた生活が続いていたため、蒸し風呂では物足りなかった春虎は、それが気になり早く目が覚めてしまったのだ。

 そして、物足りない気持ちで目覚めた春虎は、あることを考えて風呂の用意をしてバスルームに向かったのだった。

 バスルームに来た春虎は、なにかに使えると思い取っておいたあるものを亜空魔術で取り出した。
 それは、以前た討伐した魔生物の巨大な頭蓋骨だった。
 その頭蓋骨を逆さまに置いて、尖った部分を切って水の魔術と土の魔術で頭蓋骨を研磨する。
 研磨した頭蓋骨は滑らかな手触りになった。
 水の魔術で頭蓋骨とバスルームを流してキレイにしたら、今度は頭蓋骨に水の魔術と火の魔術でお湯を張る。

 魔術で出したお湯は直ぐに溜まった。
 春虎は、服を脱ぎ体と髪を洗っている間に湯船代わりの頭蓋骨にお湯が溜まっていた。

 体と髪を洗い終わった春虎は、早速頭蓋骨の湯船に浸かった。

「ふぁぁああ。気持ちいいぃ~」

 肩まで浸かった春虎は、温かいお湯の感触に声を出して気持ちよさを味わった。

 ゴールデン・ウルフでは、毎日シャワーは使っていたが、湯船に浸かるのは久しぶりだった。
 久しぶりのお湯を鼻歌交じりに楽しんでいると、後ろで扉が開く音がした。
 その音に気が付き、振り返るも扉はしっかりと閉じていた。
 誰かいた気がした春虎は、首をかしげた。
 しかし、誰か入ってきたのであれば、後ろ姿とはいえ裸を見られてしまったことになるので、気のせいだと思うことに決めて深く考えるのをやめた。
 もし、本当に誰か入ってきたのであればその人物は何らかのリアクションを取っていたはずだ。それがなかったということは、誰も来ていないということだと結論づけてのことだ。

 思いの外長風呂になってしまった事に気が付き、湯船から上がりタオルで水気を拭いてから火の魔術と風の魔術を使って髪を乾かして服を着る。
 その後、バスルームを片付けてからリビングに戻った。

 長湯はしたが、それでもまだ早い時間だったことに変わりはなかったため、リビングには誰も居らずウィリアムたちが起きてくるのをお茶を飲みながら待つことにしたのだった。
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