上 下
6 / 10

第六話 英雄召喚

しおりを挟む
 翌日、シエルの行った英雄召喚は、奇跡とも言えるような光景を集まった人々に見せつけたのだ。

 王宮前の広場には、黄金に輝く巨大な魔法陣が展開されていた。それを見ていた人々は、これから起こる奇跡に期待し瞳を輝かせてその光景を見守ったのだ。

 民衆には、王宮からの発表で、国を豊かにするために英雄たちを召喚すると事前に説明がされていたのだ。

 そして、神々しいまでに輝く巨大な魔法陣の上に大勢の人間が現れたのだ。
 その数は、666人。

 ジルトールたちには、英雄たちをこちらに召喚する前に、事前に状況や使命を説明をしているので、改めて説明する必要はないとシエルは説明していたのだ。



 そして、現れた数多くの英雄たちは、その場にいるだけで常人ではないと肌で感じさせるような、圧倒的な力を周囲に放っていた。

 シエルの召喚した英雄たちは、異世界で死んで間もない、まだ行き先が決まってない魂たちだった。
 そんな魂たちに、あるものを平等に分け与えたシエルは、英雄としてこの世界に召喚したのだ。



 シエルは、力を使い果たし地面に膝をついた。
 そして、ジルトールに弱弱しく言ったのだ。


「すみません。力を使い果たしました。少し休ませていただきます」


 そう言うとシエルは、真っ白な繭に包まれてしまったのだ。

 そして、次の瞬間。



 王宮前の広場には、人々の悲鳴が鳴り響いていた。

 何かと思い、ジルトールが広場に視線をけると、呼び出した英雄たちが、その場に居合わせた民たちを手にかけ始めたのだ。


「あはは!! 本当にこれがゲームかよ! マジでリアル!!」

「すげー!! 切った感触が本物っぽい!!」

「これが最新のVRゲーム? 凄すぎなんだけど!!」

「ワオ!最近のゲームは凄すぎだろうが!! ぎゃはは!!」


 暴れる英雄たちは、訳が分からないことを喋っては次々にその手を血に染めていったのだ。

 ジルトールは、繭を叩いてシエルに説明を求めたが、シエルから答えが返ってくることはなかった。


 それから、三日三晩。一方的で残虐非道な殺しが続いたのだ。
 王族や貴族たちは、王宮の門を堅く閉ざして、英雄たちの侵入を拒んだのだ。

 英雄たちは、攻略が面倒そうな王宮を早々に諦めて、手近で楽に殺せる民衆を狙ったのだ。
 そして四日目には、殺すのに飽きたといわんばかりに英雄たちは、女たちを犯し始めたのだ。
 悲鳴を上げて泣いて許しを請う女たちを恋人や夫、子供たちの前で笑いながら犯した。
 
 
「すげーな! ゲームなのに、ここまでリアルなのかよ!!」

「たまんねぇなぁ~。旦那の前でその嫁を犯すなんてサイコーだぜ!!」

「この没入感、どこの会社のゲームだ? 凄すぎなんだけど!!」


 そんなことを言いながら、楽し気に残虐な行為を楽しんだのだ。
 しかし、それだけでは飽き足らず、まだ小さい子供や見目のいい男たちも楽し気に犯し尽くしたのだ。



 そして、王都はあっという間に英雄たちによって蹂躙され尽くされたのだ。

 実のところシエルは、異世界から死者の魂を召喚するときに、死の自覚のない魂たちにこう囁いたのだ。


「ねぇ、ゲームをしない? とてもリアルで楽しいゲームを」

 美しい笑みを浮かべて、悪魔の如き囁きをして、死者を誘惑したのだ。


「一方的に、弱者を蹂躙する殺戮ゲームよ? 期間は5日間」


 それを聞いて、話に食いついたものだけを召喚したのだ。
 シエルの話に興味を持った英雄たちは、そろって同じことを言ったのだ。


「へぇ、何か新しいVRMMOのクローズドベータテストか何かか? 面白うそうだな。いいぞ、そのゲームに参加してやるよ」

 こうして、召喚された英雄たちは、思い思いに殺戮を楽しんだのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ショタっ子大好きな私が公爵令嬢に生まれ変わったので、ショタっ子の楽園のような孤児院を設立します。…え、淑女の中の淑女?だれが?

下菊みこと
恋愛
リナリア・ピードファイル・ゴッデス公爵令嬢は自分のお小遣い全てを自分の経営する孤児院に使うお人好し。淑女の中の淑女。 …と、思われているが、実はただ自分の性癖のためにショタっ子を囲っているだけの変態。ついでに言えば転生者。 そんな彼女が自分の作り上げた楽園を謳歌するお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女の余命は、あと三年

家紋武範
恋愛
 俺様は死神のジンクス。冥界の指示で聖女メアリーの名数を伝えに行った。  彼女に残された寿命は三年だと伝えると、とたんに喜びだした。  まったく変なやつだ──。

私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。

Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。 そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。 二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。 自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。 それは王家から婚約の打診があったときから 始まった。 体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。 2人は私の異変に気付くこともない。 こんなこと誰にも言えない。 彼の支配から逃れなくてはならないのに 侯爵家のキングは私を放さない。 * 作り話です

【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ
恋愛
恋愛小説大賞に参加中、投票いただけると嬉しいです。 遂に、杉崎への気持ちを完全に自覚した葉月。 理性に抗えずに杉崎と再び身体を重ねた葉月は、出張先から帰るまさにその日に、遠距離恋愛中である恋人の拓海が自身の自宅まで来ている事を知り、動揺する…。 拓海は空港まで迎えにくるというが… 男女間の性描写があるため、苦手な方は読むのをお控えください。 こちらは、既に公開・完結済みの「ほかに相手がいるのに」の続編となります。 よろしければそちらを先にご覧ください。

貴方にとって、私は2番目だった。ただ、それだけの話。

天災
恋愛
 ただ、それだけの話。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

処理中です...