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第二十話 sideラヴィリオ
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無礼な少女が俺に押されて尻もちをついたのを見てマズイと思った。
いくら無礼者だったとしても、男の俺が少女に手を出してしまったのだ。
慌てて少女に謝って、助け起こそうとした俺は、目の前にいる少女の人間離れした可憐さに目を奪われていた。
銀糸のような髪は長く、美しかった。その髪の間から覗く、菫色の大きな瞳、整った顔立ちに目を奪われたのだ。
だが、見惚れていることを少女に悟られるのが恥ずかしかった俺は、慌ててそっぽを向いていた。
俺がそっぽを向いた瞬間、少女は小さな体を震わせたのだ。
怪我をさせてしまったかもしれないと、俺は慌てて少女に向きなおっていた。
「悪い! ごめんな……。俺は男なのに、女のお前に暴力を振るってしまった……」
膝を付いて、少女の近くに寄った俺は、近くで見ても可憐な少女の乱れてしまった髪を整えて、無意識に彼女の頬を撫でてしまっていた。
とても触り心地のいい肌の感触にもっと触れたいと思ってしまう俺がいた。
そして、俺の口も相当軽くなっていたようで、普段の俺からは考えられないほど甘ったるいセリフが口を衝いて出ていた。
「お前のその目、綺麗だな。母上から頂いた、菫の砂糖漬けみたいで美味しそうだな」
我ながらキザなセリフだと思ったが、当時の俺はそう言わずにはいられなかったんだ。
菫色の瞳が困惑したように俺を見つめていた。
胸がどうしようもなく高鳴っていた。
彼女に触れたいという衝動のまま彼女の小さな手を取って、口付けていた。
心底驚いたといった表情の少女が可愛くて、愛おしくて、そして、左目を覆うボロボロの包帯が痛々しかった。
だから、彼女の痛みが少しでも無くなることを心から祈ってその言葉を口にしたのだ。
「その左目、怪我が早く治るといいな」
俺は、心底彼女の怪我の回復を祈ってそう言ったのだが、少女は苦しそうに眉を寄せて急に意地悪なことを言うのだ。
「ふん。そんな事より、泣き虫の天使さんは、ママのところに帰らなくてもいいのですか?」
彼女のその言葉に胸がズキリと切り裂かれるような痛みを感じた。
その頃の俺は、本当にバカだった。
泣いているところを見られたことを思い出した途端、恥ずかしさで感情が爆発していた。
そして、感情のまま言葉を吐き出していたのだ。
「はは……。俺は……父上の跡を継ぐのは兄上だと思っている。なのに、誰もかれもが俺こそがそうだとうるさく言うんだ。母上もそうだ……。いくら俺が優秀だとしても……」
今思うと、とても思い上がったことを口にしたと心底思う。
「そう。なら、ならなければいい。貴方がそれほど優秀だというのなら、そう仕向ければいいだけの話よ」
そんな俺に、少女はそう言ったのだ。
当時の俺は本当にバカだったと思う。
俺の泣き言を聞いた少女の真意など気が付きもせず、バカみたいに思い上がった。
思い返せば、少女には見抜かれていたのだ。
バカみたいに思い上がった俺の間抜けさを。
いくら無礼者だったとしても、男の俺が少女に手を出してしまったのだ。
慌てて少女に謝って、助け起こそうとした俺は、目の前にいる少女の人間離れした可憐さに目を奪われていた。
銀糸のような髪は長く、美しかった。その髪の間から覗く、菫色の大きな瞳、整った顔立ちに目を奪われたのだ。
だが、見惚れていることを少女に悟られるのが恥ずかしかった俺は、慌ててそっぽを向いていた。
俺がそっぽを向いた瞬間、少女は小さな体を震わせたのだ。
怪我をさせてしまったかもしれないと、俺は慌てて少女に向きなおっていた。
「悪い! ごめんな……。俺は男なのに、女のお前に暴力を振るってしまった……」
膝を付いて、少女の近くに寄った俺は、近くで見ても可憐な少女の乱れてしまった髪を整えて、無意識に彼女の頬を撫でてしまっていた。
とても触り心地のいい肌の感触にもっと触れたいと思ってしまう俺がいた。
そして、俺の口も相当軽くなっていたようで、普段の俺からは考えられないほど甘ったるいセリフが口を衝いて出ていた。
「お前のその目、綺麗だな。母上から頂いた、菫の砂糖漬けみたいで美味しそうだな」
我ながらキザなセリフだと思ったが、当時の俺はそう言わずにはいられなかったんだ。
菫色の瞳が困惑したように俺を見つめていた。
胸がどうしようもなく高鳴っていた。
彼女に触れたいという衝動のまま彼女の小さな手を取って、口付けていた。
心底驚いたといった表情の少女が可愛くて、愛おしくて、そして、左目を覆うボロボロの包帯が痛々しかった。
だから、彼女の痛みが少しでも無くなることを心から祈ってその言葉を口にしたのだ。
「その左目、怪我が早く治るといいな」
俺は、心底彼女の怪我の回復を祈ってそう言ったのだが、少女は苦しそうに眉を寄せて急に意地悪なことを言うのだ。
「ふん。そんな事より、泣き虫の天使さんは、ママのところに帰らなくてもいいのですか?」
彼女のその言葉に胸がズキリと切り裂かれるような痛みを感じた。
その頃の俺は、本当にバカだった。
泣いているところを見られたことを思い出した途端、恥ずかしさで感情が爆発していた。
そして、感情のまま言葉を吐き出していたのだ。
「はは……。俺は……父上の跡を継ぐのは兄上だと思っている。なのに、誰もかれもが俺こそがそうだとうるさく言うんだ。母上もそうだ……。いくら俺が優秀だとしても……」
今思うと、とても思い上がったことを口にしたと心底思う。
「そう。なら、ならなければいい。貴方がそれほど優秀だというのなら、そう仕向ければいいだけの話よ」
そんな俺に、少女はそう言ったのだ。
当時の俺は本当にバカだったと思う。
俺の泣き言を聞いた少女の真意など気が付きもせず、バカみたいに思い上がった。
思い返せば、少女には見抜かれていたのだ。
バカみたいに思い上がった俺の間抜けさを。
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