錬金術師の恋

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
上 下
31 / 71
第一部

第31話 ジョエルさんは立派な宰相さん?

しおりを挟む
 お城からの帰り道で、今日のお昼ご飯についてのリクエストがあるか聞いてみたが、二人とも招かれている身で贅沢は言えないとか何とか?なので、以前二人が食べたいと言っていた、チーズインハンバーグとオムライスのセットにしようと二人に伝えた。

「「あなたは、女神なのか」」

 二人とも、その返答は返事に困るのでやめて下さい。
 そうやっている内に、お店に到着した。駆君にはお店に行って、タイガ君のお手伝いをしてもらって、二人にはご飯が出来上がるまでリビングで待ってもらうことにした。

 手早く人数分の料理を作り終えたタイミングで、お昼休憩のためにお店を閉めた二人があらわれたので、ジョエルさん達を呼んでもらい昼食にした。
 お昼ご飯を食べながらロジエルさんに空飛ぶ箒のレシピの説明をした。

「なるほど、なるほど。よろしければ、謎の白い花を見せてもらってもいいですか?」
「はい、出来れば何という花なのか名前が分かるといいんですが……」
「もし、私が知る中にないのであれば、小春君が名前をつけてもいいかもしれませんね」
「出来れば、ロジエルさんが知っている花だといいなぁ……」

 お昼を食べ終わった私と、ロジエルさんはジョエルさんを放っておいて庭に出た。ジョエルさんは、食いしん坊と言うか、甘いものに目が無いようで、デザートに出したフルーツゼリーにご執心だったのよね。

 謎の白い花は、植える場所は変えていないものの、ワインの材料になることが分かってから数を増やすことに成功していた。庭に出て私はロジエルさんを謎の白い花の咲いている場所に案内した。

「こっ、これは……」
「知っている花でしたか?」
「はい。これは、聖花と呼ばれる花ですね。昔、始まりの聖女が生み出したとされる花です。実在していたとは……。小春君、この花は本当にもともと、ここに植えてあったのですか?」
「元々、生えていた場所は向こうでしたが、確かに、この庭に生えていましたよ」
「そうですか……」
「どうしたんですか?」
「いえ、数十年も前に正教会で花を枯らせてしまってからは、咲いているという記録を見たことがなかったので、少し不思議に思いまして」
「う~ん。それは不思議ですね。でも、ここに生えていたことに変わりはないですし、きっと、記録にもれでもあったんじゃないですか?」
「不思議ですが、そう言うことにしておきましょう。深く考えてもこればかりは、何の記録もないのでは確認のしようがありませんからね」

 疑問はあったものの、考えてもしかたがないと結論を付けて、そのまま工房見学のため場所を移動することになった。
 工房に移動してからは、今まで作った物の話や、錬金窯さんの話をしていたらあっという間に日が傾いていた。
 私達が錬金術話で盛り上がっていた時、ジョエルさんはと言うとお店に置いているお菓子を買って、ひたすら食べていたそうよ。
 もしかして、ケーキの……いえ、王子様に最高のケーキをプレゼントしたいのは本当だと思うよ。ただ、私情が……、いいえ、私ジョエルさんは立派な宰相さんだって信じるよ。ただ、自分がケーキを食べたくて試食したいとか…………そうかも、いえ。あまり深く考えては駄目ね、きっと。

 ロジエルさんの訪問目的は果たされたとは思うけど、これからも意見交換をしたいから、ちょくちょくお店に顔を出すよと言って、「お菓子が~」と言うジョエルさんを引きづりながらお城へ帰って行った。
 なんだか、お店に偉い人が集まる予感しかしないけど、きっと、ジョエルさん達以外には来ないよね?

 そんなことを考えていると、タイガ君が工房にやってきた。

「ねぇ、小春さん。いまさら何だけど、今回の件って何をお祝いするためなの?」
「あれ?言っていなかったっけ?第二王子の成人のお祝いらしいわよ」
「成人―――の祝いですか。と言うことは、アレからそんなに時間が……」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」

 タイガ君、どうしたんだろう?なんだか、お祝いの内容を言ったあとから様子が変な気がするけど……。
 あまり、聞いて欲しくない顔をしていたから深くは聞けなかったけど、このこともいつか話してくれるかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

傷だらけの令嬢 〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜

m
恋愛
母親が亡くなり、父親の遣いを名乗る者が訪ねてきて貴族の邸宅に引き取られることになったソフィア。 戸惑いながらも、会ったことのない家族との生活に期待を膨らませていた。 そんなソフィアの心を、父と義姉の容赦ない罵声が打ち砕く。 「おまえはここで死ぬまで働くのだ!」 「邪魔よっ。あなたの顔を見ると虫唾が走るわ」 不遇な境遇の中から逃げ出そうともがき、 初めて人の優しさに触れるソフィア。   幸せを夢見るソフィアが幸せを掴むまで。 暴力シーンや襲われそうになるシーンあります。苦手な方はお気をつけ下さい。R指定は念の為です。 時々文章改稿や、追加しています。 ご容赦ください 第二部完結しました

大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう
ファンタジー
書籍1~8巻好評発売中!  コミカライズ連載中! コミックス1~3巻発売決定! ビッグバロッグ王国・大貴族エストレイヤ家次男の少年アシュト。 魔法適正『植物』という微妙でハズレな魔法属性で将軍一家に相応しくないとされ、両親から見放されてしまう。 そして、優秀な将軍の兄、将来を期待された魔法師の妹と比較され、将来を誓い合った幼馴染は兄の婚約者になってしまい……アシュトはもう家にいることができず、十八歳で未開の大地オーベルシュタインの領主になる。 一人、森で暮らそうとするアシュトの元に、希少な種族たちが次々と集まり、やがて大きな村となり……ハズレ属性と思われた『植物』魔法は、未開の地での生活には欠かせない魔法だった! これは、植物魔法師アシュトが、未開の地オーベルシュタインで仲間たちと共に過ごすスローライフ物語。

転生嫌われ令嬢の幸せカロリー飯

赤羽夕夜
恋愛
15の時に生前OLだった記憶がよみがえった嫌われ令嬢ミリアーナは、OLだったときの食生活、趣味嗜好が影響され、日々の人間関係のストレスを食や趣味で発散するようになる。 濃い味付けやこってりとしたものが好きなミリアーナは、令嬢にあるまじきこと、いけないことだと認識しながらも、人が寝静まる深夜に人目を盗むようになにかと夜食を作り始める。 そんななかミリアーナの父ヴェスター、父の専属執事であり幼い頃自分の世話役だったジョンに夜食を作っているところを見られてしまうことが始まりで、ミリアーナの変わった趣味、食生活が世間に露見して――? ※恋愛要素は中盤以降になります。

悪役令嬢、モフモフ温泉をおばあちゃんの知恵で立て直したら王妃にジョブチェン?! 〜やっぱり『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件~

華梨ふらわー
恋愛
第二王子との婚約を破棄されてしまった主人公・グレイス。しかし婚約破棄された瞬間、自分が乙女ゲーム『どきどきプリンセスッ!2』の世界に悪役令嬢として転生したことに気付く。婚約破棄に怒り狂った父親に絶縁され、貧乏診療所の医師との結婚させられることに。 貧民街の生活が改善し、診療所も建て直せそうか……と思いきや、獣人らからも助けを求められることに。大聖女のチート技で温泉の源泉を発見!今度はおばあちゃんの知恵を使って温泉宿を経営することに。『医者の嫁』ハッピーセレブライフ計画の進捗状況はやはり停滞中です。 『悪役令嬢、追放先の貧乏診療所をおばあちゃんの知恵で立て直したら大聖女にジョブチェン?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜』の続編となります。 『小説家になろう』で2万ptを達成しましたので、番外編を不定期で更新していきたいと思います。 また新作『盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を織る』も合わせてお楽しみいただけると幸いです。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい

海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。 その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。 赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。 だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。 私のHPは限界です!! なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。 しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ! でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!! そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような? ♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟ 皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います! この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m

美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました

葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。 前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ! だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます! 「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」 ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?  私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー! ※約六万字で完結するので、長編というより中編です。 ※他サイトにも投稿しています。

処理中です...