錬金術師の恋

バナナマヨネーズ

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第一部

第3話 職業適性検査

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 職業適性検査は、専用の用紙に血を一滴垂らすことで、その人の適正にあった職業が用紙に浮かび上がるというものだ。
 
 この世界の文字が読めるのかと、微妙な気持ちでいたときに、ローブの人が召喚される際にこの世界で生きて行く上で必要なものがいろいろ付与されると説明してくれたことを思い出した。
 それなら少しは安心できるかな?
 必要なものとは、つまり言葉や文字のことだろう。
 如何にも言葉が通じなさそうな世界でも、意思疎通は問題なくできていることで私はそう納得したのだ。

 適性検査をするために、私達が召喚された場所から近くにあるという屋敷へ案内された。
 その途中で先ほどの、第一王子の説明にあった力あるものについても、教えてくれた。

 職業適性検査で、聖女、結界術師、勇者、賢者と浮かび上がったものに力を借りたいということらしい。
 聖女や、結界術師はなんとなくわかる。
 勇者や賢者はどんな役割があるのだろう?
 そんなことを考えていると、検査を終えたクラスメイト達が自分の職業についてさまざまな表情をしている。
 ほとんど、嬉しそうな顔だ。他は、困惑?

 そんなことを思っていると、私の番が来た。

 指先に針を指して、血を専用の用紙に一滴垂らす。
 そうすると、その血が用紙にじわじわと拡がった後に文字が浮かび上がってきた。
 ローブの人が言ったように私にも書かれている文字が読めた。

【錬金術師※※※】

 ん?錬金術師の後に文字化け?汚れ?何かのシミが浮かび上がったと思ったらすぐに消えてしまった。
 何だったんだろう?

 クラス全員の検査が終わると、聖女、結界術師、勇者、賢者が浮かんだ5人とそれ以外で別々の部屋に通された。

 案内された部屋でクラスメイトの顔を眺めると東堂駆の姿もあった。
 全員が用意された椅子に座ったところで私たちを案内したローブの人がこれからについて話をしたいと言ってきた。

「あなた達には、これからのことを選択していただきたい」

 そう言って、ローブの人が話し始めた。

「この屋敷に留まり生活をする場合、我々が一生の面倒を見ます。ただし、我々が今後困難な状況のなった時、助けていただくことが条件です。城に上がっていただく場合も同様です。ただし、屋敷に留まる場合と違って、検査結果に基づいた職についていただき、働きに応じて給金が出ます。最後は、どこにも属さずに市井で暮らすこと。この場合、向こう3年の生活費を支給します。ただ、他の二つと違い自由に生活していただけますが一生安泰に暮らせるという保証がありません。どの選択をされても、この世界で暮らすに問題ない知識を得ていただいてからとなるのでご安心ください」

 そう言って、ローブの人がにこりと笑った。
 私にはそう見えたのだ、ローブの人はかぶっているフードの所為で口元しか見えていないのだから、本当に、にこりとしたかは分からない。
 でも、私にはにこりと笑ったように見えたのだ。

 なんとなくどの選択をしても大丈夫な気がしてきた。
 なら、私の選択は一つしかないよね。
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