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第二十話 子犬のぬいぐるみ

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 ピザを食べた後は、クライブさんに手伝ってもらって片づけをした後に、僕に割り振られた部屋でのんびりと過ごしていた。
 といっても、ようやく手に入れた自由時間を無駄になんてできないので、アイテムボックス内に入れていた端切れやら魔物の毛皮を取り出していた。
 取り出した中で一番状態のいいコボルトの毛皮をいつの間にかスキルに加わっていた浄化を使って綺麗にした。
 浄化した後の毛皮は、凄く触り心地が良くて獣臭さもなくなっていた。
 それに満足した後、毛皮をチクチクと縫っていく。
 頭の中には完成図が出来ているので、サクサクと作業は進んでいった。
 それに、久しぶりの針作業はとても楽しかったのだ。
 だからだと思う。あっという間に、手のひらサイズの子犬のぬいぐるみが出来ていた。
 目の部分には、ホーンラビットの角を削って作ったものを使っている。
 こげ茶に琥珀の目の可愛い子犬を見て、僕は思わず抱きしめて頬擦りしてしまっていた。
 
「はぁ~。我ながら可愛い……。ふへへ~」

 ベッドの上で子犬を抱きしめて転がりまわる男子高校生の姿は不気味だろう。
 だけど、この部屋には僕しかいないし問題ないない!
 気のすむんでぬいぐるみを抱きしめて転げまわった僕は、ふと思ったのだ。
 
「よし、この子に名前を付けよう」

 うん。僕、異世界生活にすごく疲れていたんだと思う。
 元の世界に居たときだって、作ったぬいぐるみに名前なんて付けなかったよ。
 でも、この世界で作ったこの子には、なんだか名前を付けたくなったんだもん。
 う~ん。何がいいかなぁ?
 うん。決めた。
 僕は、こげ茶の子犬の作り物の瞳を見つめて言ったのだ。
 
「君は、レイトだよ。よろしくね」

 そう言って、レイトにキスをしていた。
 冷静になると恥ずかしい行為だと思うんだけど、この時の僕は自然にそれをしていたんだ。
 だけど……。
 
 レイトに名付けをしてすぐにおかしなことに気が付いたんだ。
 手の中にある柔らかさになんとなくだけど温もりが感じられたんだよね。
 変だとは思ったんだけど、その時の僕は気のせいだと思うことにしたんだよ。
 だって、部屋の外から一生の声が聞こえてきたから。
 
「陽騎、風呂にしようぜ」

 お風呂と聞いた僕は、レイトの頭を撫でて、「お風呂に行ってくるね」って言ってから部屋を出ていたんだ。
 
 そして、大浴場のような風呂場で僕は思う存分にお湯を楽しんでいた。
 だけど、お風呂場には一生だけではなく、レイナードさんとクライブさんもいて、三人の鍛え上げられた体に圧倒されてしまってんだよね。
 特に、レイナードさんの裸は凄かったんだよん。
 沐浴場でちらっと見た裸は、高身長と無駄のない筋肉で男らしいものだった。
 そして、あそこもデカかった。
 それはちょっとした好奇心だったんだ。
 ちらちら見ていたつもりだったけど、レイナードさんにはバレバレだったみたいで。
 
「ハルキ? どうかしたのか?」

「いっ、いえ。何でもないです!!」

 僕の視線の先がどこを見ていたのか気が付いたレイナードさんは、ニヤっとした後にとんでもないことを言ったんだ。
 
「くすくす。ハルキは、私のここが気になるみたいだな?」

 そう言って、僕にアレが良く見えるように体を向けてきたのだ。
 それにぎょっとした僕だったけど、そんな僕よりも先に一生とクライブさんが反応していた。
 
「何、俺の陽騎に変なもん見せてんだよ。この変態が」

「レイナード様、私のハルキ君におかしなものを見せないでください」

「は? 何を言っている立派なものの間違いだろう?」

 そう言ったレイナードさんは、一生のアレとクライブさんのアレに視線を向けていた。
 僕からしたら三人とも大きなものをお持ちでって感じだけど、三人の中でレイナードさんのアレが一番だった。
 レイナードさんは、勝ち誇ったような顔をしていたけど、一生がとんでもないことを言い出したことで変なことになっていったのだった。
 
「はん! それくらい大したことないね。臨戦態勢の俺の方がもっとすごい」

「くすくす。それは私も同じですよ。ですか、テクニックも大切なことですよ。相手をトロトロに蕩けさせて、もっと私を求めさせるようなテクニックです」

「膨張率もテクも私が一番だ。それに、力強さだって時には必要だ。それを言うと、持久力もある私が一番だと思うがな」

 そう言って、三人で睨み合っていたんだよね。
 うんうん。分かるぞ、男なら、あそこの具合とか張り合いたくなるもんだよね。
 でも、僕は基礎ステの高い三人との言い合いに加わることは避けて、体を洗っていた。
 嬉しいことに、ここには石鹸があったんだよね。さらには、シャンプーとコンディショナーも。
 高価なものだと分かっていても、レイナードさんから好きに使っていいと言われてしまったから、僕は遠慮せずに使わせていただきますけどね。
 この分は、働いて返しますからと心の中で言いつつ、薔薇のような香りのする石鹸で体を洗う。
 汚れが取れて、肌がツルツルになっていく気がした。
 全身綺麗に洗った僕は、未だにアソコのことで言い争う三人を横目に湯船に浸かるべくその横を通り過ぎようとした。
 だけど、何かに足を滑らせた僕は盛大に転んでしまっていた。
 頭は打たないで済んだけど、お尻を思いっきり床にぶつけてしまっていた。
 
「あいてて……。思いっきりお尻打った……」


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