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第十九話 三人は仲良し?
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その後、仲のよさそうな三人のやり取りをなんとなく見守っていた僕だったけど、手持無沙汰だったからって訳ではないけど、台所にある教えてもらったばかりの調理道具の数々を試したかったこともあって、持っていた食材で夕飯の支度をしていたんだよね。
こっちの世界にもチーズはあるみたいなんだけど、あまり人気のない食材らしくて、生産量がすごく少なくて売っているのをあまり見なんだよね。
前にお店の人に聞いたら、卸している牧場の老夫婦の趣味でたまに牛乳とかと一緒に置いているんだって。
でも、買う人がいないからいつも売れ残っていて困っているけど、昔からの付き合いのある牧場の老夫婦からのものだと思うと、無下にもできずにいつも売れ残ったものを買い取っていたんだとお店のおじさんが言っていたっけ。
そんなことを思いながらピザ用の生地を捏ねてから、トマトソースを簡単に作った。
台所にあったベーコンとピーマンを少し貰ってトッピングしていく。
それからチーズの塊を削ってピザの上にたっぷりとかけてからオーブンに入れたら、あとは焼きあがるのを待つだけ。
待っている間に、適当にサラダも作った。
うん、いい匂いがしてきた。
料理に夢中で気が付かなかったけど、いつの間にか三人が台所から居なくなっていたことにピザが焼けたところで気が付いたんだよね。
でも、匂いに誘われたのか、オーブンからピザを取り出したところで、三人が仲良く顔を出したんだよ。
その三人は、何をしていたのか髪は乱れていて服も汚れていた。まるで魔物と戦ったような汚れ具合。でも、ここに魔物なんている訳もないし。部屋の掃除でもしていたのかな?
そうだよね、こんなに広い屋敷をクライブさん一人で管理しているんだもんね。
今日はもう遅いから無理だけど、明日掃除を手伝おう。
僕がそんなことを考えていると、三人仲良く同時に言ったんだ。
「陽騎は、俺と同室がいいよな?」
「ハルキは、私と一緒の部屋で寝起きしたいよね」
「ハルキ君は、私と一緒の部屋で過ごしたいですよね?」
同時に誰と一緒の部屋がいいのかと聞かれた僕は、考える間もなく言っていたよ。
「えっ? ひとり部屋がいいんだけど?」
だって、こんなに広い屋敷なんだから、誰かと同室ではなく一人部屋がいいに決まっているよ。
でも、家主のレイナードさんがダメだっていうなら諦めるけどさ。
そんなことを考えていたら、何故か三人とも崩れ落ちるようにして膝を付いていた。
僕は、そんな三人に笑みを浮かべながら言っていた。
「くすくす。そんなにお腹が減っていたなら言ってくれればいいのに。今、ピザが焼けたからご飯にしよう」
そう言って、三人ににこって笑いかけたら、三人ともなんていうか嬉しそうなようで困ったようなそんな複雑怪奇な表情になってから立ち上がっていた。
三人の謎の行動も気になったけど、今は焼き立てのピザの方が優先だよね。
僕は三人に手伝ってもらって、焼き立てのピザを食堂に運んでいた。
食堂に着いた時、クライブさんは同席を断って後で頂くと言われてしまったけど、そんなの納得できない僕は、たぶんふくれっ面になっていたと思う。
レイナードさんに仕える身分のクライブさんにとっては、主と同じ席でご飯を食べるのはありえないというのは分かるよ。
でも、そんなことで一人だけ別に食事をとるのは僕が嫌だったんだ。
僕の我儘だってことは、十分分かっているよ。
だけど、それでも僕はみんなで食卓を囲みたかったんだ。
そんな僕の気持ちを分かってくれたのか、レイナードさんが同席を拒んだクライブさんに言ってくれたんだ。
「クライブ、食卓を共にすることを許可する。お前も席に着け」
「ですが……」
「はぁ……。私が許すと言っているんだ」
「かしこまりました。それでは、同席させてもらいますね」
そう言って、僕の隣の席に座ってくれたんだ。
だけど、ここでも三人が揉め出してしまって……。
ピザが冷めちゃうってことしか頭になかった僕は、三人を無理やり席に座らせていた。
「もう、折角のピザが冷めちゃうじゃん!! そんなにそこの席がいいなら、そこは譲るから、三人で仲良く座って! それじゃ、いただきまーす」
そう言って、レイナードさんに僕の座っていた席を譲った僕は、向かい側の席についてから焼き立てのピザを頬張っていた。
う~ん。ピザうまぁ。
今回は一種類だけだったけど、そのうち、照り焼きチキンとかシーフードとか、いろいろな具材で作ろう。
うん。楽しみだ。
そんなことを考えていた僕だったけど、三人が「仕方ないなぁ」って感じの表情になっていたことには全く気が付いていなかったんだよね。
こっちの世界にもチーズはあるみたいなんだけど、あまり人気のない食材らしくて、生産量がすごく少なくて売っているのをあまり見なんだよね。
前にお店の人に聞いたら、卸している牧場の老夫婦の趣味でたまに牛乳とかと一緒に置いているんだって。
でも、買う人がいないからいつも売れ残っていて困っているけど、昔からの付き合いのある牧場の老夫婦からのものだと思うと、無下にもできずにいつも売れ残ったものを買い取っていたんだとお店のおじさんが言っていたっけ。
そんなことを思いながらピザ用の生地を捏ねてから、トマトソースを簡単に作った。
台所にあったベーコンとピーマンを少し貰ってトッピングしていく。
それからチーズの塊を削ってピザの上にたっぷりとかけてからオーブンに入れたら、あとは焼きあがるのを待つだけ。
待っている間に、適当にサラダも作った。
うん、いい匂いがしてきた。
料理に夢中で気が付かなかったけど、いつの間にか三人が台所から居なくなっていたことにピザが焼けたところで気が付いたんだよね。
でも、匂いに誘われたのか、オーブンからピザを取り出したところで、三人が仲良く顔を出したんだよ。
その三人は、何をしていたのか髪は乱れていて服も汚れていた。まるで魔物と戦ったような汚れ具合。でも、ここに魔物なんている訳もないし。部屋の掃除でもしていたのかな?
そうだよね、こんなに広い屋敷をクライブさん一人で管理しているんだもんね。
今日はもう遅いから無理だけど、明日掃除を手伝おう。
僕がそんなことを考えていると、三人仲良く同時に言ったんだ。
「陽騎は、俺と同室がいいよな?」
「ハルキは、私と一緒の部屋で寝起きしたいよね」
「ハルキ君は、私と一緒の部屋で過ごしたいですよね?」
同時に誰と一緒の部屋がいいのかと聞かれた僕は、考える間もなく言っていたよ。
「えっ? ひとり部屋がいいんだけど?」
だって、こんなに広い屋敷なんだから、誰かと同室ではなく一人部屋がいいに決まっているよ。
でも、家主のレイナードさんがダメだっていうなら諦めるけどさ。
そんなことを考えていたら、何故か三人とも崩れ落ちるようにして膝を付いていた。
僕は、そんな三人に笑みを浮かべながら言っていた。
「くすくす。そんなにお腹が減っていたなら言ってくれればいいのに。今、ピザが焼けたからご飯にしよう」
そう言って、三人ににこって笑いかけたら、三人ともなんていうか嬉しそうなようで困ったようなそんな複雑怪奇な表情になってから立ち上がっていた。
三人の謎の行動も気になったけど、今は焼き立てのピザの方が優先だよね。
僕は三人に手伝ってもらって、焼き立てのピザを食堂に運んでいた。
食堂に着いた時、クライブさんは同席を断って後で頂くと言われてしまったけど、そんなの納得できない僕は、たぶんふくれっ面になっていたと思う。
レイナードさんに仕える身分のクライブさんにとっては、主と同じ席でご飯を食べるのはありえないというのは分かるよ。
でも、そんなことで一人だけ別に食事をとるのは僕が嫌だったんだ。
僕の我儘だってことは、十分分かっているよ。
だけど、それでも僕はみんなで食卓を囲みたかったんだ。
そんな僕の気持ちを分かってくれたのか、レイナードさんが同席を拒んだクライブさんに言ってくれたんだ。
「クライブ、食卓を共にすることを許可する。お前も席に着け」
「ですが……」
「はぁ……。私が許すと言っているんだ」
「かしこまりました。それでは、同席させてもらいますね」
そう言って、僕の隣の席に座ってくれたんだ。
だけど、ここでも三人が揉め出してしまって……。
ピザが冷めちゃうってことしか頭になかった僕は、三人を無理やり席に座らせていた。
「もう、折角のピザが冷めちゃうじゃん!! そんなにそこの席がいいなら、そこは譲るから、三人で仲良く座って! それじゃ、いただきまーす」
そう言って、レイナードさんに僕の座っていた席を譲った僕は、向かい側の席についてから焼き立てのピザを頬張っていた。
う~ん。ピザうまぁ。
今回は一種類だけだったけど、そのうち、照り焼きチキンとかシーフードとか、いろいろな具材で作ろう。
うん。楽しみだ。
そんなことを考えていた僕だったけど、三人が「仕方ないなぁ」って感じの表情になっていたことには全く気が付いていなかったんだよね。
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