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第十四話 金髪のイケメン

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 金髪イケメンの存在に気が付いて慌てて一生から離れた僕だけど、もう何もかも手遅れで……。
 でも何もしない訳にもいかずに、気が付けば全力で言い訳を並べていた。
 多分もう会うことのない他人だけど、このままだと僕が一生を襲っている変態だと思われてしまうのはものすごく嫌だったんだよ。
 
「こ、これは違うんです。ちょっとしたおふざけで、僕は男を襲ったりするような変態なんかじゃないんです! 友達同士のじゃれ合いと言いますか、だから違うんです!!」

 僕は何を言ってるんだか……。でも、このままこのイケメンに誤解を与えたままというのは僕的になんかモヤモヤするというか。
 とにかく、誤解を解きたい一心の僕は、自分が全裸だということも頭から吹っ飛んでいて、目の前のイケメンに全裸で言い訳をしていたんだよ。
 
 そんな僕の目の前に一生が割って入ってきた。
 冷水でも浴びたのか、体が冷えていることが分かった。
 そうだよな、こんな状況で抜くことなんて出来ないよなぁ。うん、ごめんな。
 僕が変なイタズラなんてしたばっかりに、一生に寒い思いをさせた。
 後で温かい物でも作ってやろう。
 
 そんなことを考えていると、一生が剣呑な声でイケメンに話しかけていた。
 
「公共の場でじゃれ付いていた俺たちが悪かった。だけど、そっちも気を使って立ち去ってもよかったんじゃないのか?」

「あぁ、すまない。私も驚いてしまってな。ここを立ち去ることが出来なかった」

「ふん。まぁいい。俺たちはもう二度と会うこともないしな。今見たことを忘れてくれればそれでいい」

「ああ……善処する」

 イケメンがそう言った後、その場には何とも言えない気まずい空気が漂うだけだった。
 その気まずい空気を振り払うように、イケメンは最後に冷水を頭からかぶってからなぜか前かがみ気味な姿勢で沐浴場を後にしたのだった。
 
 その場に残された僕と一生は、お互いに苦笑いの表情になっていたけど、やっちまったことしょうがないと気持ちを切り替えて身支度を整えた後に聖堂の台所に向かったのだった。
 
 
 
 聖堂の台所を借りた僕は、手元にある材料とじーちゃんに使ってもいいと言ってもらった食材を使って久々に腕を振るった。
 シチュー、ハンバーグ、グラタン、唐揚げ、フライドポテト、オムレツ、ポテトサラダ。とりあえずこんなものか。
 作った料理は、じーちゃんや、他の聖堂で働いている人たちにもお裾分けすることにした。
 
 じーちゃんは、僕の作った料理を美味しそうにいっぱい食べてくれた。
 嬉しそうなじーちゃんの顔を見ていると僕も嬉しくなって、今日聖堂に来てよかったと心から思えた。
 じーちゃんはまだ仕事があるってことで、食堂を後にしたけど、僕と一生はたくさん作った料理をゆっくりと食べながら会話を楽しんでいた。
 
 そこに、聞き覚えのある声が会話に割って入ってきたのだ。
 
「いい匂いだな」

 声が聞こえた方を見た僕は、思わず「げっ!」と声を上げてしまっていた。
 そこにいたのは、さっき恥ずかしい所を見られてしまったイケメンがいたからだ。
 一生もイケメンの存在に気が付いたみたいで、眉間に皺を寄せていた。
 そんな僕たちの反応を気にすることもなく、明るい微笑みを浮かべながら僕たちの座るテーブルまでやってきたのだ。
 
 改めて見たイケメンだけと、一生とためを張るくらいのイケメンだった。
 金色の髪に綺麗な緑色の瞳。キラキラと輝く微笑みはどんな美女でもいちころだろうと思わせた。
 背も高くて、恐らく190センチはありそうだ。
 さっき沐浴場で見たけど、服の上からでもその筋肉の凄さが伝わってきた。
 そんなイケメンは、何故か僕の隣の席に座りながら自己紹介を始めてきた。
 
「私は、レイナードと言う者だ。冒険者として活動している。気軽にレイナードと呼んでくれ」

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