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第四十二話 〃
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ウェインが今のところは危険な場所にいないことが分かった華火は安堵の息を吐く。
しかし、華火の知るウェインは、ゾディアス鉱山での用が済めば、すぐにでも危険な場所へと向かうことだろう。
それでも、華火はウェインに会って、自分の気持ちを伝えたかった。
父親の時に味わった後悔をしたくないだけの、自分勝手な願いだと分かっていた。
ウェインが、沢山の人のために必死に頑張っているところに、自分の気持ちを優先させて、華火がやってきたらきっと迷惑をかけることになると分かっていても、どうしても会って気持ちを伝えたかった。そして、顔を見て、声を聴いて、ウェインの体温を感じたかった。
―――マリア……、ごめんなさい。すごく大変な時だって分かっているの。でも、どうしてもウェインさんに会いたくて……。わたし、行くね。
並々ならぬ決意を感じ取ったマリアは、困ったような表情をしながらも華火を止めることはなかったのだ。
―――はい。ですが、ハナビお嬢様をお一人にはさせません。私も同行します。
―――マリア……。
―――大丈夫です。私、自分で言うのもアレですけど、この世界で一番強いですから。
自信満々にそういうマリアが頼もしくて、優しくて、華火は瞳を涙で潤ませていた。
ぽたりと、堪えきれずに零れてしまった涙をマリアは優しく拭いながら言うのだ。
―――何があっても私は、あなたの味方です。大丈夫です。だから、何も恐れずに前だけを向いていてください。
―――うん。うん。ありがとう。
マリアからの後押しで、ウェインの元に行くことを決意した華火は、すぐにでも向かおうとしたがマリアからの一言でそれをとどまる。
―――それでは、現在の閣下の状況を確認してきますので少々お待ちください。
そう言われた華火は、大人しくマリアのことを待っている間に、ウェインに会ったら何を言うのかを練習していた。
しばらくの間そうやっていると、マリアが再び戻ってきて華火に新しい情報を教えてくれたのだ。
―――閣下は現在、移動中のようです。
―――そう……。目的地は、結界が消滅した場所だね。
―――はい。今から馬を飛ばしても数日……。
マリアの考えが分かった華火は緩く首を振る。
―――大丈夫。すぐだよ。でも、その前にウェインさんの場所を探って……。うん。明日には出かけられそうだね。
―――えっ?
―――大丈夫。任せて。
そう言った華火は、部屋に一人きりになると、千里眼でウェインの姿を探し出していた。
やつれてボロボロなウェインを見つけて、涙が出そうになったが、それを堪えて彼の様子を探る。
そうしていると、目的地に着いたのか現地でいろいろと指示をしたと思ったら、荷馬車の中から取り出した石を持って、黒い靄の方に向かっていくのが見えたのだ。
華火は、ウェインの身が心配で、すぐにでも飛んでいきたくて仕方なかった。
そうこうしているうちに、ウェインは黒い靄に左手を突っ込んでいたのだ。
これには、見ていた華火は小さく悲鳴をあげていた。
そんな、小さな悲鳴に気が付いたマリアが、すぐに部屋に駆け付けていたのだ。
華火は、我慢できずにお願いしていた。
―――マリア、ごめんなさい。今すぐ、ウェインさんの元に行きたいの……。
―――はい。でも……。
―――大丈夫だよ。一瞬で着くから。でも、テレポートは使ったことないから……。失敗したらどうしよう……。
―――てれ?
―――えっと、瞬間移動って言えば分かるかな?
―――さすが、ハナビお嬢様! 大丈夫です。失敗しても、私が何とかしますから。
マリアから伝わるよくわからない自信に励まされた華火は、すぐに行動していた。
マリアの両手を握り、千里眼で見たウェインの場所に飛ぶことを意識する。
―――マリア、飛ぶね。
―――はい。
短いやり取りの後に、華火とマリアは一瞬でその場から消えていた。
そして、次に感じたのは全身に感じる肌寒さと、落下していく感覚だった。
「きゃーーーーーーーーー!! おっ、落ちてるーーーー」
しかし、華火の知るウェインは、ゾディアス鉱山での用が済めば、すぐにでも危険な場所へと向かうことだろう。
それでも、華火はウェインに会って、自分の気持ちを伝えたかった。
父親の時に味わった後悔をしたくないだけの、自分勝手な願いだと分かっていた。
ウェインが、沢山の人のために必死に頑張っているところに、自分の気持ちを優先させて、華火がやってきたらきっと迷惑をかけることになると分かっていても、どうしても会って気持ちを伝えたかった。そして、顔を見て、声を聴いて、ウェインの体温を感じたかった。
―――マリア……、ごめんなさい。すごく大変な時だって分かっているの。でも、どうしてもウェインさんに会いたくて……。わたし、行くね。
並々ならぬ決意を感じ取ったマリアは、困ったような表情をしながらも華火を止めることはなかったのだ。
―――はい。ですが、ハナビお嬢様をお一人にはさせません。私も同行します。
―――マリア……。
―――大丈夫です。私、自分で言うのもアレですけど、この世界で一番強いですから。
自信満々にそういうマリアが頼もしくて、優しくて、華火は瞳を涙で潤ませていた。
ぽたりと、堪えきれずに零れてしまった涙をマリアは優しく拭いながら言うのだ。
―――何があっても私は、あなたの味方です。大丈夫です。だから、何も恐れずに前だけを向いていてください。
―――うん。うん。ありがとう。
マリアからの後押しで、ウェインの元に行くことを決意した華火は、すぐにでも向かおうとしたがマリアからの一言でそれをとどまる。
―――それでは、現在の閣下の状況を確認してきますので少々お待ちください。
そう言われた華火は、大人しくマリアのことを待っている間に、ウェインに会ったら何を言うのかを練習していた。
しばらくの間そうやっていると、マリアが再び戻ってきて華火に新しい情報を教えてくれたのだ。
―――閣下は現在、移動中のようです。
―――そう……。目的地は、結界が消滅した場所だね。
―――はい。今から馬を飛ばしても数日……。
マリアの考えが分かった華火は緩く首を振る。
―――大丈夫。すぐだよ。でも、その前にウェインさんの場所を探って……。うん。明日には出かけられそうだね。
―――えっ?
―――大丈夫。任せて。
そう言った華火は、部屋に一人きりになると、千里眼でウェインの姿を探し出していた。
やつれてボロボロなウェインを見つけて、涙が出そうになったが、それを堪えて彼の様子を探る。
そうしていると、目的地に着いたのか現地でいろいろと指示をしたと思ったら、荷馬車の中から取り出した石を持って、黒い靄の方に向かっていくのが見えたのだ。
華火は、ウェインの身が心配で、すぐにでも飛んでいきたくて仕方なかった。
そうこうしているうちに、ウェインは黒い靄に左手を突っ込んでいたのだ。
これには、見ていた華火は小さく悲鳴をあげていた。
そんな、小さな悲鳴に気が付いたマリアが、すぐに部屋に駆け付けていたのだ。
華火は、我慢できずにお願いしていた。
―――マリア、ごめんなさい。今すぐ、ウェインさんの元に行きたいの……。
―――はい。でも……。
―――大丈夫だよ。一瞬で着くから。でも、テレポートは使ったことないから……。失敗したらどうしよう……。
―――てれ?
―――えっと、瞬間移動って言えば分かるかな?
―――さすが、ハナビお嬢様! 大丈夫です。失敗しても、私が何とかしますから。
マリアから伝わるよくわからない自信に励まされた華火は、すぐに行動していた。
マリアの両手を握り、千里眼で見たウェインの場所に飛ぶことを意識する。
―――マリア、飛ぶね。
―――はい。
短いやり取りの後に、華火とマリアは一瞬でその場から消えていた。
そして、次に感じたのは全身に感じる肌寒さと、落下していく感覚だった。
「きゃーーーーーーーーー!! おっ、落ちてるーーーー」
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