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第二十一話 〃
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翌日にはすっかり華火の熱は下がっていたが、ウェインは側を離れることをとても渋っていた。
しかし、朝食を終えたくらいの時間に、またしても訪れたランジヤに引きずられるようにして王城に向かったのだ。
王城に着くと、ランジヤは何やら難しい顔をしているウェインにどう話しかけるべきか悩んだ結果、ストレートに聞くことにしたのだ。
「あのぉ~。先輩? 何かお悩みですか? まぁ、ハナビ嬢のことだって言うのは分かりますけど……」
ランジヤの問いかけに、ウェインは頭を抱えて机に額を勢いよくぶつけた。
ゴスッ!!
痛そうな音にランジヤが表情を引きつらせていると、ウェインは、そんなランジヤが戸惑うようなことを口にしだしたのだ。
「ああ、俺はどうしたらいいんだ。ハナビ嬢が可愛すぎて幻聴が聞こえる!! あの涙で潤んだ瞳に見つめられると、好きだと彼女から言われているような気がして仕方がないんだ!! というか、そう聞こえるんだ!! 俺は、どうしたらいいんだ!!!」
そう言って、机を破壊しそうな勢いで握ったこぶしを叩きつけるウェイン。
それを見ていたランジヤは、「えーーーー……」っと、戸惑いの声をあげて無意識に後退っていた。
ウェインは、そんなランジヤにお構いなしに苦悩を口にし続ける。
「触れるたびに、「好き」「大好き」「もっとぎゅーってしてほしいです」って、声が聞こえる気がするんだ!! ああ、可愛い、可愛いが限界を超えて一周回って、尊い!!!!」
尊敬するウェインのそんな残念極まりない姿を見たランジヤだったが、ある意味、ウェインよりも恋愛についていろいろな経験していたからこそ、出た助言だった。
「そういうもんですよ。恋愛って。可愛い顔で見られたら、もしかして私のこと好きなのかもと、そう思うのは仕方ないことですよ?」
「いや、本当に声が聞こえるんだ」
「はいはい。そういう時期もありますって~。わたしにも経験ありますよ~。あれは、私とマr―――」
「聞け! 本当に彼女の声が聞こえるんだ!! いや、聞かなくていい。彼女の可愛い声は俺だけが……」
自分の甘酸っぱい経験談を遮られたランジヤだったが、ウェインの様子から、本当にただ事ではないと感じ、表情を改めるのだ。
そして、盛大にため息を吐いた後に、いたって真面目な顔で自分の考えを口にしていた。
「はぁーーー。本当は私、自分の恋愛ごとに手いっぱいで、たとえ先輩でも手助けしている余裕なんてないんですけど……、まぁ、何れこのことは周り回って私の恋愛の助けになるはず……。そう思って、言いますけど……。どこからどう見ても、先輩とハナビ嬢は両想いです!! 自信を持ってください。今日、伺った時、ハナビ嬢が先輩を見る瞳は完全に先輩に恋してる目でした!」
そう言われたウェインは、ガバリと身を起こしていた。
そして、ランジヤを見つめて、頼りなさそうに言うのだ。
「お前にもそう見えたか? 俺の勘違いではないと? 本当に、ハナビ嬢は、俺に好意を抱いてくれているのだろうか?」
「はい! 私にはそう見えましたし、誰が見てもそう見えます!! だから、先輩は自信を持ってください!!」
そう言ったランジヤは、力強く親指を立てて見せた。
それに励まされたウェインは、安堵の息を吐く。
「そう……か。俺がハナビ嬢を好きすぎて、おかしくなってしまった訳ではないんだな……。なら、ハナビ嬢が作ってくれた、この菓子を食べた時に感じる声も……」
ウェインの呟きに、ランジヤは、多少……いや、かなりウェインが恋愛に振り回されていると感じたが、最後の方の呟きで表情を変えることとなった。
「えっ? お菓子を食べると幻聴? それって……」
そう言うや早いか、ランジヤはウェインの手にあった焼き菓子を掴んで自分の口に入れてしまったのだ。
あっという間のランジヤの行動にウェインが、表情を鬼のようにしたが、ランジヤは、それどころではなかったのだ。
甘く、ほろほろと口の中で崩れる菓子を食べた瞬間、目を丸くさせたのだ。
甘いお菓子から、「好き」「ウェインさんが大好きです」「早く帰ってきてほしいな」といった、口に含んだ菓子よりも甘い声が聞こえてきたのだ。
ランジヤは、無言で部屋を飛び出し、すぐに何かを抱えて戻ってきたのだ。
その手にあったのは、観測機だった。
観測機、それは物質に込められた情報を読み取る道具だ。
ランジヤは、持ち出した観測機に華火からもらったという菓子を入れて解析しだしたのだ。
呆気に取られていたウェインだったが、ランジヤの行動の意図に気が付き、解析結果に目を通しだした。
そして、その結果に胸を押さえるのだ。
解析の結果はこうだ。
小麦を主体につくられた焼き菓子。成分、愛情……あいじょう? 恋……こい……コイ? スキ、スキ、ダイスキ…………――――――。
解析を終えた観測機は、ボフンと黒い煙を出して壊れてしまっていた。
それはそうだろう、本来は、その物質の成分を計るもので、感情を読み取る機能など備わっていないのだから。
成分に表示された【愛情】【恋】【好き】【大好き】という、華火の思いを知ったウェインは、それどころではなかった。
原理は分からないが、華火の心を知れた喜びと、彼女の秘密を暴いてしまった罪悪感で胸が張り裂けそうだった。
そんな、ウェインに追い打ちを掛けるように、ランジヤは、言うのだ。
「先輩。今日行った、瘴気測定の結果がちょうど出ました……。結果は……、予想通り、瘴気レベルゼロです……。どうします? 隠ぺいしますか?」
しかし、朝食を終えたくらいの時間に、またしても訪れたランジヤに引きずられるようにして王城に向かったのだ。
王城に着くと、ランジヤは何やら難しい顔をしているウェインにどう話しかけるべきか悩んだ結果、ストレートに聞くことにしたのだ。
「あのぉ~。先輩? 何かお悩みですか? まぁ、ハナビ嬢のことだって言うのは分かりますけど……」
ランジヤの問いかけに、ウェインは頭を抱えて机に額を勢いよくぶつけた。
ゴスッ!!
痛そうな音にランジヤが表情を引きつらせていると、ウェインは、そんなランジヤが戸惑うようなことを口にしだしたのだ。
「ああ、俺はどうしたらいいんだ。ハナビ嬢が可愛すぎて幻聴が聞こえる!! あの涙で潤んだ瞳に見つめられると、好きだと彼女から言われているような気がして仕方がないんだ!! というか、そう聞こえるんだ!! 俺は、どうしたらいいんだ!!!」
そう言って、机を破壊しそうな勢いで握ったこぶしを叩きつけるウェイン。
それを見ていたランジヤは、「えーーーー……」っと、戸惑いの声をあげて無意識に後退っていた。
ウェインは、そんなランジヤにお構いなしに苦悩を口にし続ける。
「触れるたびに、「好き」「大好き」「もっとぎゅーってしてほしいです」って、声が聞こえる気がするんだ!! ああ、可愛い、可愛いが限界を超えて一周回って、尊い!!!!」
尊敬するウェインのそんな残念極まりない姿を見たランジヤだったが、ある意味、ウェインよりも恋愛についていろいろな経験していたからこそ、出た助言だった。
「そういうもんですよ。恋愛って。可愛い顔で見られたら、もしかして私のこと好きなのかもと、そう思うのは仕方ないことですよ?」
「いや、本当に声が聞こえるんだ」
「はいはい。そういう時期もありますって~。わたしにも経験ありますよ~。あれは、私とマr―――」
「聞け! 本当に彼女の声が聞こえるんだ!! いや、聞かなくていい。彼女の可愛い声は俺だけが……」
自分の甘酸っぱい経験談を遮られたランジヤだったが、ウェインの様子から、本当にただ事ではないと感じ、表情を改めるのだ。
そして、盛大にため息を吐いた後に、いたって真面目な顔で自分の考えを口にしていた。
「はぁーーー。本当は私、自分の恋愛ごとに手いっぱいで、たとえ先輩でも手助けしている余裕なんてないんですけど……、まぁ、何れこのことは周り回って私の恋愛の助けになるはず……。そう思って、言いますけど……。どこからどう見ても、先輩とハナビ嬢は両想いです!! 自信を持ってください。今日、伺った時、ハナビ嬢が先輩を見る瞳は完全に先輩に恋してる目でした!」
そう言われたウェインは、ガバリと身を起こしていた。
そして、ランジヤを見つめて、頼りなさそうに言うのだ。
「お前にもそう見えたか? 俺の勘違いではないと? 本当に、ハナビ嬢は、俺に好意を抱いてくれているのだろうか?」
「はい! 私にはそう見えましたし、誰が見てもそう見えます!! だから、先輩は自信を持ってください!!」
そう言ったランジヤは、力強く親指を立てて見せた。
それに励まされたウェインは、安堵の息を吐く。
「そう……か。俺がハナビ嬢を好きすぎて、おかしくなってしまった訳ではないんだな……。なら、ハナビ嬢が作ってくれた、この菓子を食べた時に感じる声も……」
ウェインの呟きに、ランジヤは、多少……いや、かなりウェインが恋愛に振り回されていると感じたが、最後の方の呟きで表情を変えることとなった。
「えっ? お菓子を食べると幻聴? それって……」
そう言うや早いか、ランジヤはウェインの手にあった焼き菓子を掴んで自分の口に入れてしまったのだ。
あっという間のランジヤの行動にウェインが、表情を鬼のようにしたが、ランジヤは、それどころではなかったのだ。
甘く、ほろほろと口の中で崩れる菓子を食べた瞬間、目を丸くさせたのだ。
甘いお菓子から、「好き」「ウェインさんが大好きです」「早く帰ってきてほしいな」といった、口に含んだ菓子よりも甘い声が聞こえてきたのだ。
ランジヤは、無言で部屋を飛び出し、すぐに何かを抱えて戻ってきたのだ。
その手にあったのは、観測機だった。
観測機、それは物質に込められた情報を読み取る道具だ。
ランジヤは、持ち出した観測機に華火からもらったという菓子を入れて解析しだしたのだ。
呆気に取られていたウェインだったが、ランジヤの行動の意図に気が付き、解析結果に目を通しだした。
そして、その結果に胸を押さえるのだ。
解析の結果はこうだ。
小麦を主体につくられた焼き菓子。成分、愛情……あいじょう? 恋……こい……コイ? スキ、スキ、ダイスキ…………――――――。
解析を終えた観測機は、ボフンと黒い煙を出して壊れてしまっていた。
それはそうだろう、本来は、その物質の成分を計るもので、感情を読み取る機能など備わっていないのだから。
成分に表示された【愛情】【恋】【好き】【大好き】という、華火の思いを知ったウェインは、それどころではなかった。
原理は分からないが、華火の心を知れた喜びと、彼女の秘密を暴いてしまった罪悪感で胸が張り裂けそうだった。
そんな、ウェインに追い打ちを掛けるように、ランジヤは、言うのだ。
「先輩。今日行った、瘴気測定の結果がちょうど出ました……。結果は……、予想通り、瘴気レベルゼロです……。どうします? 隠ぺいしますか?」
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