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第一部 第七章
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次の指の手掛かりが掴めずにいたギルベルトは、ハンターギルドで情報収集をすることにしたのだ。
ある街のハンターギルドに立ち寄った時、ギルベルトに声をかける男がいた。
「よお。久しぶりだな、ギルベルト」
そう言って、話しかけてきたのは、ガスパー・キャリーと言うガタイのいい、スキンヘッドで碧眼の男だった。
ガスパーに声を掛けられたギルベルトは、楽しそうな笑みを浮かべるのだ。
「ガスパー、久しぶりだな」
そう言って、お互いに肩を組んで再会を喜ぶのだ。
それを横で見ていたレイラは、なんとなく面白くなかった。
ギルベルトの笑顔の殆どを独占していたのに、それをガスパーに取られてしまったような気がしたのだ。
なんとなく寂しくなってしまった、レイラは横に立っているギルベルトにぎゅっと抱き着いていた。
レイラから抱き着かれることが嬉しかったギルベルトは、甘い笑みを浮かべてレイラを抱きしめる。
「ごめん。ガスパーは、俺がいた孤児院で一緒だった、昔馴染みだ。ハンターになってから、再会したんだよ」
そう、ギルベルトに説明されたレイラは、カッと顔が熱くなるのが分かった。
「ごめん……。なんか、ギルが私以外と仲良くしてるの……、寂しくて」
耳まで真っ赤にしてそう言うレイラが可愛くて、ギルベルトは、頬をすり合わせるように抱きしめていた。
「俺も、姉さんだけだよ。こんな、ハゲよりも姉さんの方が大事だ」
「ギル……」
「姉さん……」
そう言って、見つめ合う二人に咳払いをしたガスパーが、呆れたように言うのだ。
「うん。なんか、ごめん。だけど、いちゃつくのは他の場所で頼むよ……。それと、俺のこの頭はハゲじゃない!! 剃ってんの!! おしゃれスキンヘッドなの!! ハゲじゃないの!!」
ガミガミとギルベルトに文句を言うガスパーを面倒そうに見た後、確かに可愛いレイラの顔を他の奴に見せるのも嫌だと考えたギルベルトは、素直に場所を変えることにしたのだ。
そんなギルベルトにガスパーは、付いてきたのだ。
眉をピクリと動かしたギルベルトは、素気無く言うのだ。
「付いてくるな」
「まあまあ、お前に見せたいものがあるんだよ。なあ、最近変な噂話を追いかけているハンターって、お前だろう?」
レイラを抱き上げて、速足で歩くギルベルトの後方から、そう言って付いてくるガスパーのその言葉に、ギルベルトは振り向いていた。
「やっぱりな。眼帯のイケメンって、話だから、お前じゃないかと思ってたんだよ。ふふ。これ……」
なにやら、ドヤ顔をするガスパーは、そう言って、懐から何かを取り出して見せたのだ。
それを目にしたギルベルトは、あっという間に距離を詰めてガスパーにきつい視線で問いただすのだ。
「お前、どこでそれを手に入れた?」
「まあまあ、詳しい話は、そこの飯屋で飯でも食いながらな?」
そう言われたギルベルトは、黙って頷いた後、レイラに小さく言うのだ。
「奴は、信用できるから大丈夫だとは思うが……」
「うん。ギルの友達なら大丈夫。信じるよ」
「友達……。まぁ、悪友だけどな?」
「ふふ。友達に変わりないよ」
そう言って微笑むレイラは、ギルベルトの頭をよいよしと撫でるのだ。撫でられるギルベルトは、目を細めて、嬉しそうにそれを受け入れる。
そんな、二人を呆れたように見ていたガスパーは、呟くのだ。
「おうおう……。ギルベルトの奴、そうとうあの嬢ちゃんのこと好きなんだな。見てるこっちが恥ずかしくなる」
そして、三人で入った食堂の一番奥の席に座ってすぐに、ギルベルトはきつい視線をガスパーに向けて言うのだ。
「改めて聞く。お前のそれ、どこで手に入れた?」
そう言われたガスパーが、懐から取り出したものは、レイラとギルベルトが追っている封印布だったのだ。
ある街のハンターギルドに立ち寄った時、ギルベルトに声をかける男がいた。
「よお。久しぶりだな、ギルベルト」
そう言って、話しかけてきたのは、ガスパー・キャリーと言うガタイのいい、スキンヘッドで碧眼の男だった。
ガスパーに声を掛けられたギルベルトは、楽しそうな笑みを浮かべるのだ。
「ガスパー、久しぶりだな」
そう言って、お互いに肩を組んで再会を喜ぶのだ。
それを横で見ていたレイラは、なんとなく面白くなかった。
ギルベルトの笑顔の殆どを独占していたのに、それをガスパーに取られてしまったような気がしたのだ。
なんとなく寂しくなってしまった、レイラは横に立っているギルベルトにぎゅっと抱き着いていた。
レイラから抱き着かれることが嬉しかったギルベルトは、甘い笑みを浮かべてレイラを抱きしめる。
「ごめん。ガスパーは、俺がいた孤児院で一緒だった、昔馴染みだ。ハンターになってから、再会したんだよ」
そう、ギルベルトに説明されたレイラは、カッと顔が熱くなるのが分かった。
「ごめん……。なんか、ギルが私以外と仲良くしてるの……、寂しくて」
耳まで真っ赤にしてそう言うレイラが可愛くて、ギルベルトは、頬をすり合わせるように抱きしめていた。
「俺も、姉さんだけだよ。こんな、ハゲよりも姉さんの方が大事だ」
「ギル……」
「姉さん……」
そう言って、見つめ合う二人に咳払いをしたガスパーが、呆れたように言うのだ。
「うん。なんか、ごめん。だけど、いちゃつくのは他の場所で頼むよ……。それと、俺のこの頭はハゲじゃない!! 剃ってんの!! おしゃれスキンヘッドなの!! ハゲじゃないの!!」
ガミガミとギルベルトに文句を言うガスパーを面倒そうに見た後、確かに可愛いレイラの顔を他の奴に見せるのも嫌だと考えたギルベルトは、素直に場所を変えることにしたのだ。
そんなギルベルトにガスパーは、付いてきたのだ。
眉をピクリと動かしたギルベルトは、素気無く言うのだ。
「付いてくるな」
「まあまあ、お前に見せたいものがあるんだよ。なあ、最近変な噂話を追いかけているハンターって、お前だろう?」
レイラを抱き上げて、速足で歩くギルベルトの後方から、そう言って付いてくるガスパーのその言葉に、ギルベルトは振り向いていた。
「やっぱりな。眼帯のイケメンって、話だから、お前じゃないかと思ってたんだよ。ふふ。これ……」
なにやら、ドヤ顔をするガスパーは、そう言って、懐から何かを取り出して見せたのだ。
それを目にしたギルベルトは、あっという間に距離を詰めてガスパーにきつい視線で問いただすのだ。
「お前、どこでそれを手に入れた?」
「まあまあ、詳しい話は、そこの飯屋で飯でも食いながらな?」
そう言われたギルベルトは、黙って頷いた後、レイラに小さく言うのだ。
「奴は、信用できるから大丈夫だとは思うが……」
「うん。ギルの友達なら大丈夫。信じるよ」
「友達……。まぁ、悪友だけどな?」
「ふふ。友達に変わりないよ」
そう言って微笑むレイラは、ギルベルトの頭をよいよしと撫でるのだ。撫でられるギルベルトは、目を細めて、嬉しそうにそれを受け入れる。
そんな、二人を呆れたように見ていたガスパーは、呟くのだ。
「おうおう……。ギルベルトの奴、そうとうあの嬢ちゃんのこと好きなんだな。見てるこっちが恥ずかしくなる」
そして、三人で入った食堂の一番奥の席に座ってすぐに、ギルベルトはきつい視線をガスパーに向けて言うのだ。
「改めて聞く。お前のそれ、どこで手に入れた?」
そう言われたガスパーが、懐から取り出したものは、レイラとギルベルトが追っている封印布だったのだ。
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