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歪なデート
ニエヨメとデート
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部屋に戻ると了さんは寝たままで
寝返った拍子に首輪が引っ張られただけだったみたい。私は安堵のため息を吐くと
そっと彼の腕に戻る。不本意ながら。
すると、ゆっくり了さんが
眼を開けた。
「ひっ!あの!出て行ったりしてませんからね!?ずっとここに…」
そう言い終える前に了さんは私を抱き寄せる。
「…楓さん…」
「…?は…はい…?」
了さんはそのまま、
眠ってしまったようで返事はない。
寝ぼけてた…?
「.…よかった…」
結局、禊さんの言ってたニエヨメって
なんだったんだろ…明日聞かなきゃな…
そんなことを思いながら目を閉じた。
その夜、また変な夢を見た。
最近は変な夢を見てばかりだ…
真っ暗な闇の中で7人の子供が
私を中心にして手を繋ぎ、回っている。
歌を唄いながら。
『贄ーだ、ニエヨメ。
かーわいそうな、にーえよめ。
でも、泣いているのはだぁーれ?
可哀想なのだぁーれ?』
まるでそれは、かごめみたいで…
歌が終わると後ろの暗闇から、
女性のすすり泣く声が聞こえた。
それは徐々に近づき
ついにその声は耳元までやってきて…
…囁いた。
声はしゃがれていて脳に響く様だった。
「どうして…私だけ…?
お前も…
私と…同じになればいい…」
そう呟かれるとゾワッと全身の毛が逆立って私は目を覚ました。
「はぁ……変な夢。」
そんな気持ちの悪い夢とは裏腹に
外はいい天気みたいで、障子から漏れる光がすごく眩しい。
「おはようございます。楓さん。」
そして私の横でにっこりと笑う、
狐顔のイケメン。
それだけなら最高なんだけど、
頭がおかしい上に人殺しで
変態のイケメンだ。
「…おはよう御座います…了さん。」
会釈をすると
ジャラッと首輪から金属音がする。
昨日は失敗したけど、
なんとか逃げる術を見つけなくては…。
そう考えていると廊下から静かな足音がして
オカメの面を被った使用人が
美しい所作で襖を開けた。
「おはようございます。了様、楓様。
朝食をお持ちしました。」
彼女の横には旅館の朝食のような豪勢な食事が見えた。
朝食の鮭を頬張りながら、考える。
了さん自体の監視は以外と緩い…けど、
使用人さんのガードが固い…
というか…使用人を使って囲ってるから
緩いのか…
使用人さんといえば…ここに来た時、
「ニエヨメ」とか言ってたなぁ…夢と同じ…。
了さん、何か知らないかな…
私はチラリと了さんを見る。
了さんは綺麗な顔に似合わず、
かなりのガツガツと朝食を食べている。
「あの、了さん。」
「?なんですか、楓さん」
「ニエヨメって何かわかります?」
「……」
了さんは、目を細めて少し考えたあと
あっけらかんと言う。
「さあ?俺は知りませんね。
初めて聞きました。」
「…うーん、そうですか。」
「そんなことより、聞いてください!
1ヶ月ほどで婚姻の儀の準備ができるそうですよ!
あと一ヶ月で晴れて俺らは
夫婦ってことです!楽しみですね!」
了さんは、眼をキラキラさせながら
私の首輪の紐をグイッと、捕まえる。
「えっそう…なんですか…
えっと…タノシミデスネ…」
サァーと血の気が引いて、
顔を引きつらせながら笑顔を無理矢理つくった。
リミットは一ヶ月…か…。
「楓さん。絶対に俺が幸せに
してあげますからね。」
「え、はい…」
了さんはニッコリと笑う。
本心で言ったのか私への牽制なのかは
わからない。
けれどなんだか含みのある笑顔…
…な気がする。
と思うと彼の顔は一瞬でケロッとした軽薄な表情に戻る。なんだかキツネみたいな
人をからかうような表情。
「あっそうだ!楓さん!
昨日は邪魔が入ったので『悪いコト』
出来ませんでしたね?
します?今からでも。」
そういえば昨日の宴会で言ってた。
そんなこと。
無意識に顔が熱くなるのを感じる。
「なっ…あっ、
し、しません!!!!
了さんのスケベ!!
そういうのはお互い
よく知ってからって言ったでしょ!?」
そう言い返すと了さんは私の真横に手をつき距離を詰めてわざとらしく
拗ねたように眉を下げる。
「ちぇっ残念だなぁ…。
じゃあ今日は、お互いを
よく知り合う日にしましょうか!
デートしましょう!デート!」
「えっ!?デート!?」
こんな理不尽に結婚を敷いておいて!?
今更!?何だこいつ?!
そんな事を思いつつ、
機嫌は損ねたくないので黙っておいた。
こんなこと言ったって私に拒否権はもちろん…ないと思うし…。
いや、…でも…
これって逃げ出すチャンス…?
寝返った拍子に首輪が引っ張られただけだったみたい。私は安堵のため息を吐くと
そっと彼の腕に戻る。不本意ながら。
すると、ゆっくり了さんが
眼を開けた。
「ひっ!あの!出て行ったりしてませんからね!?ずっとここに…」
そう言い終える前に了さんは私を抱き寄せる。
「…楓さん…」
「…?は…はい…?」
了さんはそのまま、
眠ってしまったようで返事はない。
寝ぼけてた…?
「.…よかった…」
結局、禊さんの言ってたニエヨメって
なんだったんだろ…明日聞かなきゃな…
そんなことを思いながら目を閉じた。
その夜、また変な夢を見た。
最近は変な夢を見てばかりだ…
真っ暗な闇の中で7人の子供が
私を中心にして手を繋ぎ、回っている。
歌を唄いながら。
『贄ーだ、ニエヨメ。
かーわいそうな、にーえよめ。
でも、泣いているのはだぁーれ?
可哀想なのだぁーれ?』
まるでそれは、かごめみたいで…
歌が終わると後ろの暗闇から、
女性のすすり泣く声が聞こえた。
それは徐々に近づき
ついにその声は耳元までやってきて…
…囁いた。
声はしゃがれていて脳に響く様だった。
「どうして…私だけ…?
お前も…
私と…同じになればいい…」
そう呟かれるとゾワッと全身の毛が逆立って私は目を覚ました。
「はぁ……変な夢。」
そんな気持ちの悪い夢とは裏腹に
外はいい天気みたいで、障子から漏れる光がすごく眩しい。
「おはようございます。楓さん。」
そして私の横でにっこりと笑う、
狐顔のイケメン。
それだけなら最高なんだけど、
頭がおかしい上に人殺しで
変態のイケメンだ。
「…おはよう御座います…了さん。」
会釈をすると
ジャラッと首輪から金属音がする。
昨日は失敗したけど、
なんとか逃げる術を見つけなくては…。
そう考えていると廊下から静かな足音がして
オカメの面を被った使用人が
美しい所作で襖を開けた。
「おはようございます。了様、楓様。
朝食をお持ちしました。」
彼女の横には旅館の朝食のような豪勢な食事が見えた。
朝食の鮭を頬張りながら、考える。
了さん自体の監視は以外と緩い…けど、
使用人さんのガードが固い…
というか…使用人を使って囲ってるから
緩いのか…
使用人さんといえば…ここに来た時、
「ニエヨメ」とか言ってたなぁ…夢と同じ…。
了さん、何か知らないかな…
私はチラリと了さんを見る。
了さんは綺麗な顔に似合わず、
かなりのガツガツと朝食を食べている。
「あの、了さん。」
「?なんですか、楓さん」
「ニエヨメって何かわかります?」
「……」
了さんは、目を細めて少し考えたあと
あっけらかんと言う。
「さあ?俺は知りませんね。
初めて聞きました。」
「…うーん、そうですか。」
「そんなことより、聞いてください!
1ヶ月ほどで婚姻の儀の準備ができるそうですよ!
あと一ヶ月で晴れて俺らは
夫婦ってことです!楽しみですね!」
了さんは、眼をキラキラさせながら
私の首輪の紐をグイッと、捕まえる。
「えっそう…なんですか…
えっと…タノシミデスネ…」
サァーと血の気が引いて、
顔を引きつらせながら笑顔を無理矢理つくった。
リミットは一ヶ月…か…。
「楓さん。絶対に俺が幸せに
してあげますからね。」
「え、はい…」
了さんはニッコリと笑う。
本心で言ったのか私への牽制なのかは
わからない。
けれどなんだか含みのある笑顔…
…な気がする。
と思うと彼の顔は一瞬でケロッとした軽薄な表情に戻る。なんだかキツネみたいな
人をからかうような表情。
「あっそうだ!楓さん!
昨日は邪魔が入ったので『悪いコト』
出来ませんでしたね?
します?今からでも。」
そういえば昨日の宴会で言ってた。
そんなこと。
無意識に顔が熱くなるのを感じる。
「なっ…あっ、
し、しません!!!!
了さんのスケベ!!
そういうのはお互い
よく知ってからって言ったでしょ!?」
そう言い返すと了さんは私の真横に手をつき距離を詰めてわざとらしく
拗ねたように眉を下げる。
「ちぇっ残念だなぁ…。
じゃあ今日は、お互いを
よく知り合う日にしましょうか!
デートしましょう!デート!」
「えっ!?デート!?」
こんな理不尽に結婚を敷いておいて!?
今更!?何だこいつ?!
そんな事を思いつつ、
機嫌は損ねたくないので黙っておいた。
こんなこと言ったって私に拒否権はもちろん…ないと思うし…。
いや、…でも…
これって逃げ出すチャンス…?
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