異世界創造NOSYUYO トビラ

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番外編 EX EDITION

◆トビラ番外編 EX EDITION『コーヒー魔人、ケチをつける』

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◆トビラ番外編 EX EDITION『コーヒー魔人、ケチをつける』
※何時でも読める セリフ多めの与太話系※

ちょーッ!聞けよおまえ!ちょっと俺の話を聞けよ!おまえだお前!

とりあえず俺、そこらへんにいた薬師の有翼人捕まえてだな……
コーヒーにだけは煩い俺のグチを聞いてもらおう!

ちなみに俺は代理だ、作者代理だ!なぁに、脳内同居なんだからモーマンタイ(問題無い)だッ!てか、段々これ、通じないんじゃねぇかなッ!?

*** *** ***

「なんだよ、何だって言うんだ?」
 俺にとっ捕まった有翼人の薬剤師が、とりあえず落ち着けと肩を叩く。
「コーヒーだよ!この前お前から貰ったコーヒー!」
「……僕が何時コーヒーをお前にあげたっけ?」

 と言いつつもナッツさん、段々と思いだしたようです。少し空を仰いでいたけど手を叩いて俺を振り返った。

「あぁ、この前某ファミレスで売ってたフェアトレードコーヒー?」
「そこまで言ってしまったらもう、バレバレだと思うんだがッ!?」
「いいじゃないか、それに文句言いたいんだろう?」
「うむッ」
「あれが、どうかしたのか?」
「さっそく飲んでみたんだよ」
 俺は憮然とした態度で腕を組むぞ。ナッツは怪訝な顔になった。
「……不味かったとか?」
「タダで貰ったものだから正直こんなことは言いたくないんだけどな……美味くは無かった」
「そうか……ちなみに僕は別にフツーのドリップコーヒーだなーくらいしか思わなかったんだけど」
 俺は思わず怪訝な顔になっちまうぞ?
「お前、味音痴なんじゃねぇの?」
「何言ってる、毎日コンビニおにぎりやサンドイッチで満足しているおまえからそんな事言われたくない」
 リアルの事情も遠慮なく投入すんなよお前、
「しかたねぇだろ、貧乏なんだから」
「真面目に就職活動しろって」
「リアル俺には無理だという事をご存じでしょうにナッツさんや」
「努力しろって言っているんだけどなぁ」
 ナッツさん、異世界だとちょっとだけ強気です。普段何も言わないでくれるのにッ。
「まぁいいや、しかしそんなにひどい味だったかな?」
「いいかお前、よぉく思い出せ」
 俺はため息をもらしてどこからともなくこんなデータを持ってくるぞ。

 ドリップコーヒーの一杯の価格は基本的に、原価20円以下である。
 モノにもよるが10円切る奴だってある。
 しかして俺はそんなコーヒーは好んで飲まん。なんかドリップ紙臭いんだよな……。
 貰いモノのギフト、ドリップコーヒーは勤め先の休憩室にあったりするから飲む事があるが、これはギフトなので割と高い奴だと思う。そういうの飲んでて、なんか馴染めないでいる。高いのでソレだとすると、安いのはもっと美味しくないのでは?という疑いがあるんだな。
 で、俺のいずれ叶えたい夢としてはだな、コーヒーメーカのある仕事場で、豆で売ってるちゃんとしたコーヒー屋さんからその場で挽いてもらったコーヒー豆で、自分で淹れて飲みたいと思っている。
 それに勝るモンはねぇだろう、部屋もコーヒーの匂いに包まれてサイコーに違いない!
 しかし、コーヒーメーカーの管理は面倒だしお手軽とは言い難いよな。なぜ安価で掃除なども不要なドリップコーヒーを扱き下ろそうとするかだって?

 不味いと当って、後悔したくないからだ。

 もしも不味いコーヒーだったら。まだデミタス缶の方がマシだ。缶コーヒー、最近のはバカにできん。

「お前、この前のそのコーヒーいくらだったよ?」
「……50円?」
「いくらフェアトレードだからって、この品質で50円はどうなんだ!?」
「そんなに不味かったのか」
「不味いっていうか、やべぇぞこのコーヒー!……もったいないから飲んだけど」
「貧乏人は辛いねぇ」
 品質的にぜったいこのドリップコーヒー、原価20円切っている事は間違いない。
 一杯一袋であるからして包装代に半分は費やしていると思われる。こういうところ詳しいのはレッドさんから講釈頂いているからだが。
 とにかく、と云う事は包装代を剥がせばコーヒー自体の原価は10円以下だろう。
 この相場、缶コーヒーにも言える。アレは本来120円もしないのだ。あれはほとんど缶と缶デザインとCM料と販売手数料リベートである……との、レッドの話だからな。

 所でフェアトレードとは公平取引という意味なんだが……詳しく知りたきゃ各自ググれ、今回相棒がレッドじゃないから詳しい解説は無しだ。

 某大手ファミレスグループで展開するこの安価なコーヒーは、本当にフェアトレードなのだろうか?
 フェアトレードと呼ばれる販売物の中には、市場を無視している、などのさまざまな問題を抱えるものがあると聞いた。
 確かコーヒー豆というのは、大手業者に安価で買い叩かれてしまうと聞いたぞ。
 だから、このフェアトレードって制度を大々的に歌うモノがあるのだろうが……思うに、このフェアトレードコーヒー、対価50円はおかしいくねぇか?
 フェアトレードじゃなくってこれは、募金じゃねぇのか?

 品質的におかしい、というか思うにこの品質だと大手が買わないだろう、どうにも売れないものにフェアトレードだからなどという言い訳を付けているようにしか思えない。

 何が気に食わないか?

 薬臭いのだッ!

 コーヒー豆というのは洗えないんである。
 海外の農産物は様々なクスリ漬けになって入ってくるというのは常識と思われるがどうよ?
 だから、野菜はしっかり洗わないといけない。皮があるなら皮ははしっかり剥いた方がいい。皮まで食う食材なら国産を選んだ方がいい。

 もっかい言う。コーヒー豆は洗えないのだ。

 しかし当たり前だが生産するにあたり農薬は使われている。
 コーヒー豆は幸い『種』である。しかし生豆にする過程そしてそれを輸出する際、薬が散布されてないとは言えない。というか間違いなく何かしら使ってるだろ。
 それを知っているからコーヒーを飲めない訳じゃない。
 人体に影響が無い事がある程度、保障されているものだと思いたい。少なくとも俺はそのように騙されてコーヒーを飲む。

 だが……ここまで薬臭いドリップコーヒーは初めて飲んだ。

 淹れている時の匂いが最悪だった。
 この時が一番、アロマ香り立つ最高の瞬間であるはずだったのに……ッ!

「お前、コーヒーにだけはホントうるさいよね」
「そんくらい許せなかったんだよ!20円位ならいいし、あれがフェアトレードじゃなくて募金だったら別に何も言わねぇ!」
「しかし、こんなにぶっちゃけてしまうとコーヒーなんて飲めなくなるんだけど」
「カフェインには中毒性がありますからッ」
 やれやれとナッツさん、肩をすくめて鞄から、白っぽいコーヒー生豆を取り出した。
「じゃぁ、これも保存料とかまぶしてあるのかなぁ?」
「……そこらへんは薬師であるお前さんが判断しろよ。あ、なんか飲みたくなってきた」
「………」
 ナッツ、何か微妙な顔で悩み始めている。
「どうした?」
「いやぁ、そういえばこれを買った薬屋で……麻袋を開けた形で隣で扱ってたのって防虫菊だったなぁと思って」
「……防虫菊?食えるのか?」
「一応は、ヤマガタ県特産のモッテギクみたいな感じだったし。たぶん食べても大丈夫だと思うよ?ほら、カモミールもあれは菊科だからね。というかそうだよね、こっちで薬師やってると頭痛薬とか胃腸薬とか、リコレクト(思い出すコマンド)すると原材料がアレだったりアレだったり……アレだったりするわけだし」
 俺は耳をふさいだ。
「言うな、言わないでくれ!増血剤原料でもう俺は懲りてるんだからッ!」
「ぶっちゃけて酔い止めなんかメイン材料アレだし」
 自主的な規制用語にアレとか連呼しないでッ
「俺は酔い止めは使わないけど、テリーが泣くだろうからアレとか言うなぁッ!」

 秘密だが、結構虫って原料として使われてるのな。……ゴが付くアレも含みますから。

「リアル、着色料とかだと本当に虫から取るのもあるそうだしね」
「ごめんなさい、俺のグチを聞いてくれた感謝してますから、頼むからもうその話はやめて……ッ」


 おわり。
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