異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

文字の大きさ
上 下
221 / 362
本編後推奨あとがきとオマケの章

番外編短編6『天空国の花嫁』

しおりを挟む
裏ページ □ 蝶が飛んでいる □から分岐しました

番外編短編6『天空国の花嫁』

 ついにあいつやりやがった。

 俺は、親切通り越してお節介な野郎がこっそり置いていきやがった西方の……明らかにカストリ雑誌を拾い上げて、拳を固めてガッツポーズ。
 あ、カストリ言っても分かりませんかね。ようするに噂話をまとめた大人の雑誌だ。どこの世界でもこんなん発行しやがる奴らはいるもんだなぁ……てぇか、なんでこっちなんだ。新聞でいいじゃねぇか。趣味悪いなぁレッドの野郎。
「あら、何かと思ったら」
 俺の頭上に乗っかったチビドラゴンが興味心身に覗き込む。
「なんでそれでガッツポーズなのよ」
「そりゃ、親友のおめでた話はガッツポーズだろ?」
「素直に喜べるんだ」
「当たり前だ」
 俺は笑ってドラゴンの鼻先を指ではじく。
「本当に、喜んでる?ホントはうらやましかったりするんじゃないの?」
「何言ってんのアインさん、素直に祝福してやろうぜ」

 確かに、かつて俺はあいつから猛アタックされていたわけで。
 俺も確かにあいつの事は今でも『大切』に思ってる。
 でもな、意地でも何でもなくて本当に俺にとっては『大切』なんだよ。
 大事なものすぎて俺自身では触れないくらい。

 いや、まぁ、正直に申し上げますとぶっちゃけあれは俺の前では確かに女ではあるのだけど……不思議と恋愛対象には出来ないものであったりするんだ。
 ……俺がガキの頃から世話になってる奴だぞ。
 俺には、兄弟も両親もなかったから正直分からない感覚なんだが恐らく―――
 ……ガキの頃の俺にとって、アイツは『姉』であり『母』だった。
 今、受け入れた様々な価値観を思うにそんな事をぼんやり考えたりする。
 単純に辻褄合わせただけかな?うん、そうかもしれないけど別にいいだろ。

 とにかく祝福するよ。
 嫉妬とかそんなんねぇぞ。
 例え俺は結婚とかそういうのこっちでは無理な体になっていたとしても……

 ……ないんだからッ!!!!

「タイミングが外と一緒ってのが笑えるな、」
「あ、それは初耳。じゃ、ナッツったらよーやくアベちゃんに告白出来たって事ね。……しかも、ちゃんとオッケーもらったって事か」
「そーいう事だ」

 どーいう事かって?
 だから……。
 雑誌トップに大々的に踊っているこの文字を読み上げてやるか。

『前代未聞!ハクガイコウが結婚宣言!』
『相手は遠東方人!』
『天使教の改革はついにここまで来た!』
『対抗する……』

「あ!?」

 俺は思わず雑誌の表紙を凝視し、目を疑った。

「どうしたの?」
「分かった、なんでレッドがこっそりこんな胡散臭い雑誌を置いて行きやがったのか把握!みろ、アインさん!」
 そう言って俺はアインに見えるように表紙を差し上げ、ようするにカイエン・ナッツ=ハクガイコウご結婚おめでとう相手はあの乱暴女のアベル・エトオノだよ!の記事の下の小さな欄を指さした。
「え?何よ?……ううん?」
「これってもしかして、テリーの事じゃね!?」
「ああ!伏字になってるけど明らかにテリーの事っぽい!」

『対抗するW家は歳の差婚の気配』

「うわー、何、奴もやっちまったわけか」
「いろいろおうちの関係で、政略結婚じゃないの?」
「どーだろーなぁ……あ、なんかよくわかんないけどこっちは素直に喜べない俺ガイル」
「うん、素直でいいわ。あたしそのネタ貰うからよろしく」
「…………ちょっと待って、どういう意味でかなそれは?」



               END

 ここまでお付き合いいただき、ほんとうにありがとうごさいました!!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...