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10~11章後推奨 番外編 ジムは逃げてくれた
◆BACK-BONE STORY『ジムは逃げてくれた -0-』
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◆BACK-BONE STORY『ジムは逃げてくれた -0-』
※これは、10~11章頃に閲覧推奨の、アベル視点の番外編です※
アイツは当然として、あたしも大体こんな事は誰にも話したくなかったりする。
それをアイツが察してくれているのか、別にそういうのを期待する訳じゃぁないけど。
それでも、ちょっとだけ懐かしい話を思い出して見る。
それは、あたしが背負っている重い背景の話。
どうしてそれを思い出すのにアイツの話題が出てくるのかって?
まぁ、それは仕方が無い事なのよ。割となんでもない風に装って笑うけど、アイツはアイツなりにその過去が重いものだって本当は知ってるはずだし。
他人事みたいに言って、他人事のように笑い飛ばしてごまかそうとする。
チキンなアイツの悪い癖よね。
確かにそれはこちらの世界での事情だけど、間違いなく自分の背負った過去じゃない。
あたしは素直にこの過去を背負う、だからこの際……出来れば過去に仕舞い込んでしまいたい事だけどはっきりと吐き出しておきたい訳。
アイツがどうして遠慮して、あたしの過去を突っ込まないのか……知らないわよね?
言えないのよアイツ、それ言っちゃうと自分の事も突っ込んで語る羽目になる事分かってるんだわ。
あたしはアベル。
こっちの世界におけるアベルは遠東方人で、遠東方イシュタル国の出身なのはご存知の通り。
イシュタル国は大陸から離れた島国で、歴史的には一番最後に八精霊大陸に加えられた土地で、国でもあるわ。
ちょっと日本みたいな文化を持ってる所だけど、それでもやっぱり異世界。色々と風習は違う。
イシュタル国の原住民の事を遠東方人、イシュターラーと呼ぶの。系統的には東方人イストーラーと同じとか言われるらしいけど……実はそうでもない。遠東方人は、どこかのエラい学者さんが言う所『古代種』という珍しい系統が色濃く残っているらしくて……人間種よりは潜在的に魔種の特徴が隠されている、とか言うわ。
普通は有り得ない色彩の髪の色や目を持って生まれてくる事で、その潜在的な物事がはっきり現れる場合があって……。
赤い目と赤い髪を持つ、あたしもそういうイシュターラーの『古代種』先祖返りの一人だったりする。
それは閉鎖的な血の巡りのお蔭だわ。
決して、自分の生まれが珍しいものだとは思わない。きっとこれは家庭的な自業自得。
あたしは実は……これで遠東方の良家の生まれであったりするのだ。事情は大体テリーと同じ。ううん、あたしは彼以上に、自分の本当の事など語れない事情がある。そして、それはテリーもアイツも分かっているの。
数世紀前、この狭い島国の中で領土を持って国を張ってた一族の末裔の一つに、エトオノという字があった。
エトオノは、あたしの字でもある。
エトオノは恐らく世界一の賭博街でもあるエズで、一番か二番の闘技場を運営していた。
闘技場経営って言うのは血のっ気の多い商売でね、殆どヤクザな連中が運営に絡んでいると言って間違いじゃないの。
カネと実力がモノをいう世界で、あたしはそういう血生臭い事を隠し切る事が出来ない世界で不運にも、エトオノ家の一人娘として生まれてしまった背景を持っていたりする。
元々イシュタル国っていうのは闘争の絶えない所だったらしいわ。
この遠東方を国として統一したのが、他国から渡ってきた傭兵王のバルサミス・レイザーク。
イシュタルは他の民族から天下統一された、という歴史があったりするのね。イシュタル国は多数部族に分かれて戦う事で力を誇示し、それを神聖な儀式として繰り返す風習があったらしくて……国として統一するっていう考えが無かった、とかなんとか。
戦う事はイシュターラーにとっては神聖で、それを止めて平和に暮らす事など無理だと悟っていたとか唱える学者もいるらしいわ。
でもあたしの父親であり、国営闘技場を任されている一族の長アダムはイシュターラーらしく、何かといえば口癖の啖呵を切っては部下達から無駄に尊敬されてたわね。喧嘩っ早いのは、イシュタル国の特にエズでは美徳なのよ。
戦うのに意味などない。
意味があるとすれば、それは……そこに敵がいるからだ。
……パパ、それって、どっかの登山家のパクりじゃない?
部下達からは受けのよい父だったが、あたしに言わせれば口うるさい心配性のちょっと間抜けなパパだ。
嫌いじゃぁないけど……なんか、ウザい。
ちょっとおバカで心配性で、その割りに決断力があって無駄に力強い。腕っ節が強いのは分かるけど……知性が足りてない感じ。
まさしくアイツみたいな奴だわね、アイツ。あの熱血暴走バカのアイツね。
ちなみに、リアルでのあたし、アベ―ルイコの両親とまるっきり違う構成になってるのよね。
普通のサラリーマンのお父さんと、パートで働くお母さん、バリバリに働くキャリアウーマンだがその裏では男同士のエロに血道を開けるとんでもないお姉ちゃん。そんで、ゲームが好きな大学生のあたし。
あたしはこっちの世界ではアベルだけど、リアルではアベルイコであるのは分かっているわよね?
『トビラ』を潜ってあたしは、アベル・エトオノというキャラクターを演じている。この世界はそういう『世界』なのだ。そしてその世界のルールにおいて、経験値が上昇するとキャラクターの背負う背景事情が『重く』なるというのがある。
今から語るのは、そんなあたしの『重い』背景のお話なのね。
あっちとこっち、現実と仮想が重なり合う事は無い。おかげで二つの世界で構成が異なって、比較してしまって奇妙な気持ちが……正直在る。
リアル両親とあたしはそれ程仲は悪くないし、父親はどっちかって言うと漫画とかゲームとか否定しがちな方だからね。うん、ちょっとその反動で姉もあたしもオタクな趣味にイっている所は否定できない。
こっちのアベルのパパはなんか、『私』から見ると比較して、異星人みたいに感じちゃう。
成る程、父親を疎う娘の心理、とか言う奴が初めて分かった気がした。
リアルあたしは別に……親密ではないけど嫌いじゃないからさ……学友たちのよく語る、その気持ちが良くわからなかったんだ。下着を一緒に洗ってほしくないと願う、同級生達の一部にいたパパ嫌いの心理をあたしは、こっちのアベルを通して垣間見た気分。
ああ、こういう父親だったらちょっとあたしも敬遠するわ~。
暑苦しいし、臭いし、ウザいし。
あたしは好きに生きるから頼むから放っておいて!と拒絶したくもなるわよね。
あたしは……アベルは、この闘技場があんまり好きじゃぁないみたい。
まぁ、それはそうよね。
人をお金で買って戦わせて、殺し合いをさせて……それでさらに賭けをやって殺せ、殺せと煽らせて。
世界中からそういう血生臭い闘争と、賭け事をしにこの町に人々が集まってくる。
何しろ、国家公認賭博だし。……だからって、人に殺し合いさせていいの?
そんな疑問を抱き続けているみたい。
こういう環境に居た所為だろうけど、お金持ちの偉いファミリーのお嬢様であるあたしは残念ながら、西方公族にあるようなおしとやかなお姫様……とはいかない。
環境がヤクザなのだ。
気が強い性格は間違いなくこの環境のお蔭で形成された事になっているんだろう。
血を見ても今更怖いとは思わないし、目の前で人が潰されるのを見てもそう簡単に動揺はしないだろう。
子供の頃からごく自然に、人工の血生臭い場面を目の当たりにしてきたあたしはそういう事にすっかり、慣れてしまっている。
でもだからといって、目の前で繰り広げられる事が正しい事だとは……思っていない。
あたしの過去で重い部分とは、きっとそのエトオノファミリーにあたしが属しているという事。
そして……そこからどんな独立を果たしたのか。
そういう事なのだろうと思う。
※これは、10~11章頃に閲覧推奨の、アベル視点の番外編です※
アイツは当然として、あたしも大体こんな事は誰にも話したくなかったりする。
それをアイツが察してくれているのか、別にそういうのを期待する訳じゃぁないけど。
それでも、ちょっとだけ懐かしい話を思い出して見る。
それは、あたしが背負っている重い背景の話。
どうしてそれを思い出すのにアイツの話題が出てくるのかって?
まぁ、それは仕方が無い事なのよ。割となんでもない風に装って笑うけど、アイツはアイツなりにその過去が重いものだって本当は知ってるはずだし。
他人事みたいに言って、他人事のように笑い飛ばしてごまかそうとする。
チキンなアイツの悪い癖よね。
確かにそれはこちらの世界での事情だけど、間違いなく自分の背負った過去じゃない。
あたしは素直にこの過去を背負う、だからこの際……出来れば過去に仕舞い込んでしまいたい事だけどはっきりと吐き出しておきたい訳。
アイツがどうして遠慮して、あたしの過去を突っ込まないのか……知らないわよね?
言えないのよアイツ、それ言っちゃうと自分の事も突っ込んで語る羽目になる事分かってるんだわ。
あたしはアベル。
こっちの世界におけるアベルは遠東方人で、遠東方イシュタル国の出身なのはご存知の通り。
イシュタル国は大陸から離れた島国で、歴史的には一番最後に八精霊大陸に加えられた土地で、国でもあるわ。
ちょっと日本みたいな文化を持ってる所だけど、それでもやっぱり異世界。色々と風習は違う。
イシュタル国の原住民の事を遠東方人、イシュターラーと呼ぶの。系統的には東方人イストーラーと同じとか言われるらしいけど……実はそうでもない。遠東方人は、どこかのエラい学者さんが言う所『古代種』という珍しい系統が色濃く残っているらしくて……人間種よりは潜在的に魔種の特徴が隠されている、とか言うわ。
普通は有り得ない色彩の髪の色や目を持って生まれてくる事で、その潜在的な物事がはっきり現れる場合があって……。
赤い目と赤い髪を持つ、あたしもそういうイシュターラーの『古代種』先祖返りの一人だったりする。
それは閉鎖的な血の巡りのお蔭だわ。
決して、自分の生まれが珍しいものだとは思わない。きっとこれは家庭的な自業自得。
あたしは実は……これで遠東方の良家の生まれであったりするのだ。事情は大体テリーと同じ。ううん、あたしは彼以上に、自分の本当の事など語れない事情がある。そして、それはテリーもアイツも分かっているの。
数世紀前、この狭い島国の中で領土を持って国を張ってた一族の末裔の一つに、エトオノという字があった。
エトオノは、あたしの字でもある。
エトオノは恐らく世界一の賭博街でもあるエズで、一番か二番の闘技場を運営していた。
闘技場経営って言うのは血のっ気の多い商売でね、殆どヤクザな連中が運営に絡んでいると言って間違いじゃないの。
カネと実力がモノをいう世界で、あたしはそういう血生臭い事を隠し切る事が出来ない世界で不運にも、エトオノ家の一人娘として生まれてしまった背景を持っていたりする。
元々イシュタル国っていうのは闘争の絶えない所だったらしいわ。
この遠東方を国として統一したのが、他国から渡ってきた傭兵王のバルサミス・レイザーク。
イシュタルは他の民族から天下統一された、という歴史があったりするのね。イシュタル国は多数部族に分かれて戦う事で力を誇示し、それを神聖な儀式として繰り返す風習があったらしくて……国として統一するっていう考えが無かった、とかなんとか。
戦う事はイシュターラーにとっては神聖で、それを止めて平和に暮らす事など無理だと悟っていたとか唱える学者もいるらしいわ。
でもあたしの父親であり、国営闘技場を任されている一族の長アダムはイシュターラーらしく、何かといえば口癖の啖呵を切っては部下達から無駄に尊敬されてたわね。喧嘩っ早いのは、イシュタル国の特にエズでは美徳なのよ。
戦うのに意味などない。
意味があるとすれば、それは……そこに敵がいるからだ。
……パパ、それって、どっかの登山家のパクりじゃない?
部下達からは受けのよい父だったが、あたしに言わせれば口うるさい心配性のちょっと間抜けなパパだ。
嫌いじゃぁないけど……なんか、ウザい。
ちょっとおバカで心配性で、その割りに決断力があって無駄に力強い。腕っ節が強いのは分かるけど……知性が足りてない感じ。
まさしくアイツみたいな奴だわね、アイツ。あの熱血暴走バカのアイツね。
ちなみに、リアルでのあたし、アベ―ルイコの両親とまるっきり違う構成になってるのよね。
普通のサラリーマンのお父さんと、パートで働くお母さん、バリバリに働くキャリアウーマンだがその裏では男同士のエロに血道を開けるとんでもないお姉ちゃん。そんで、ゲームが好きな大学生のあたし。
あたしはこっちの世界ではアベルだけど、リアルではアベルイコであるのは分かっているわよね?
『トビラ』を潜ってあたしは、アベル・エトオノというキャラクターを演じている。この世界はそういう『世界』なのだ。そしてその世界のルールにおいて、経験値が上昇するとキャラクターの背負う背景事情が『重く』なるというのがある。
今から語るのは、そんなあたしの『重い』背景のお話なのね。
あっちとこっち、現実と仮想が重なり合う事は無い。おかげで二つの世界で構成が異なって、比較してしまって奇妙な気持ちが……正直在る。
リアル両親とあたしはそれ程仲は悪くないし、父親はどっちかって言うと漫画とかゲームとか否定しがちな方だからね。うん、ちょっとその反動で姉もあたしもオタクな趣味にイっている所は否定できない。
こっちのアベルのパパはなんか、『私』から見ると比較して、異星人みたいに感じちゃう。
成る程、父親を疎う娘の心理、とか言う奴が初めて分かった気がした。
リアルあたしは別に……親密ではないけど嫌いじゃないからさ……学友たちのよく語る、その気持ちが良くわからなかったんだ。下着を一緒に洗ってほしくないと願う、同級生達の一部にいたパパ嫌いの心理をあたしは、こっちのアベルを通して垣間見た気分。
ああ、こういう父親だったらちょっとあたしも敬遠するわ~。
暑苦しいし、臭いし、ウザいし。
あたしは好きに生きるから頼むから放っておいて!と拒絶したくもなるわよね。
あたしは……アベルは、この闘技場があんまり好きじゃぁないみたい。
まぁ、それはそうよね。
人をお金で買って戦わせて、殺し合いをさせて……それでさらに賭けをやって殺せ、殺せと煽らせて。
世界中からそういう血生臭い闘争と、賭け事をしにこの町に人々が集まってくる。
何しろ、国家公認賭博だし。……だからって、人に殺し合いさせていいの?
そんな疑問を抱き続けているみたい。
こういう環境に居た所為だろうけど、お金持ちの偉いファミリーのお嬢様であるあたしは残念ながら、西方公族にあるようなおしとやかなお姫様……とはいかない。
環境がヤクザなのだ。
気が強い性格は間違いなくこの環境のお蔭で形成された事になっているんだろう。
血を見ても今更怖いとは思わないし、目の前で人が潰されるのを見てもそう簡単に動揺はしないだろう。
子供の頃からごく自然に、人工の血生臭い場面を目の当たりにしてきたあたしはそういう事にすっかり、慣れてしまっている。
でもだからといって、目の前で繰り広げられる事が正しい事だとは……思っていない。
あたしの過去で重い部分とは、きっとそのエトオノファミリーにあたしが属しているという事。
そして……そこからどんな独立を果たしたのか。
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