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9章 隔たる轍 『世界の成り立つ理』
冒険の書の確認 これまでのあらすじ⑦
しおりを挟む冒険の書の確認 間幕復習⑦
新型ゲーム機のテストプレイヤー兼デバッカーとして雇われた俺達は、自他ともに認める重度のゲーマーだ。
そんな俺達が早速送り込まれた世界は、現実か仮想かを思わず取り違えそうになる程に『リアル』な『異世界』だった。
が、しかしだ。
ここが現実か仮想か、それはその『世界』にいる限り互いを比較してあーだこーだ考えるべき事じゃぁない。
俺はもうリアル俺ならどうだとか、こう思うとか……そういう事は意識してやめようと思う。
ずっと前からやめようとは思っていたんだが、それでも長らく習慣みたいに成っていて止める事が出来なかった。
今度からは、意識してやめようと思っている。
異世界だろうが仮想世界だろーが、幻想だろうが夢オチだろうが。
その『世界』のただ中にある自意識にとっては、その『世界』こそが真実なのだから。
そのように騙されるべき次世代『ゲーム』の名前はソフト的に言えば『トビラ』。
ハード的にはコードネームMFC。まだ正式名称が俺達の雇い主であるメーカーから発表されてねぇからな。
さてはて俺達は現在、三度目のログインを果たし再び凄腕の幻想に脳を騙されている。
そんな冒険の書の確認というわけだな、これは。
すでに七回目に突入したんですね、って事は八章まで終わったって事だよな、早いもんです。
デバッカーである俺達は、正真正銘なバグプログラ『赤旗』と、その根元になっているらしい赤旗ぶっ立てている『魔王』と名乗る連中を追う『作業』をしている。そんで今もそれをやんなきゃゃ行けない訳なのだが……。
まぁ紆余曲折、時に思いと重いを履き違えながら、なかなかその核心に迫れずにいたりする。
分かった事には赤い旗のバグ、それはどうやらは結局の所、制作者側の小さなプログラムミスから始まっているらしいって事くらい。
小さかったミスが、今大きなものになって『世界』を蝕んでいる。
もはやゲームだとか仮想だとかそんなのは関係なく、この『世界』を救う為には魔王、赤旗の根本となるもの倒す……すなわち、消去する必要に迫られていたりする訳だ。
その課程、どうやら俺は『俺』ではなくなってしまったみたいだけれど、な。ちなみに俺というのは、この冒険の書を案内する戦士ヤトさんの事です。絶対俺視点で物語が進むのは、すなわち『冒険の書』として公開されているのが俺のログだからだという事情ももはや、ガッテンしてもらえていると思う。
俺が『俺』ではなくなった。
それでもなんとか、俺の記録は続いている。
要するに消えてなきゃいいんだよ。だから、俺が『俺』ではないなんて些細な事だ。
世界の大きさに比べれば酷く、ちっぽけな事だと俺は思う。
例えば、俺が現実で現実の俺に向けて何時も自嘲している事みたいにな。
ああっと、こういう比喩はもうしないんだった……ダメだな、すっかり癖ついちまってるし。
悪いなぁ、続きがちょっと憂鬱なのよ俺……。
とにかく……異世界冒険譚はまだ続く。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
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