異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

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6章  アイとユウキは……『世界を救う、はずだ』

書の1後半 思い出してしまった『お願いだ、お願いだから引き返してくれ』

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■書の1後半■ 思い出してしまった now I remember!

「なぁ、その魔王な俺って、どんな感じだったんだ?」
「……吹っ切れたのか?」
 焚き火に水分を飛ばした枝を折り曲げて放り込みながら、ナッツは小さく首をかしげた。
「何時までも逃げてたってしょうがないからな」
「……ああ、その前向きさがアッチのお前にもあったらなぁ」
 ナッツが項垂れてぼやいた言葉が、あの……聞こえてるんですが。ワザとですか。リアル-サトウハヤトに向けた当て付けですかナッツさんや。
 俺は苦笑し、先に休んでいるテリー達をちょっと見てから話を続けた。
「本当の本当にそーいう展開だったのか?何回リコレクトしても思い出せないぜ?」
「多分その部分がバグっててサルベージ出来ないんじゃないのかな。お前の場合は本格的に壊れてるんだよ。でなきゃ何か制限が掛かっているか……とすると、もしかして思い出さないほうがいいんじゃないのか」
「何で」
「バグ感染しているから隔離したとするだろ?その領域をあえて復活させたらどうなる」
 それはコンピューターでのたとえ話、だな。うむ、そうだな……。
「……バグ再発、か」
「そういう展開が無いとは言い切れないだろ」
 確かに。
 こんなにも現実的に騙されているが、俺達から言わせればこれは実は『ゲーム』なのだ。全ては脳がそのように騙されて『見ている夢』である訳だが、その元となっているのはコンピューターでプログラムである事は間違い無い。一般的なシステムと全く同じというワケでは無いが、やっぱり根本的な『規格』は同じだろうと思う。
 なので、一般的なコンピュータ理論に仮定し考えてみると……しかしこのプログラム領域が一部悪質化し、バグとなって障害を引き起こしている……という見方も出来るだろう
 俺はそのバグを貰っちまったんだな。
 大切な記憶、ログを全部思い出せない。一部壊れて復旧出来ないのは……そこが破壊すべきバグに変革されてしまった領域だから……という一つの可能性。
「……でも、いいから教えろよ」
「しつこいな」
 ナッツは苦笑して諦めて自分の額を撫でた。
「僕は見てない」
「見てないって、魔王な俺をか?」
「多分あれはお前だ、という強い予測で近くに感じた……というのが正しいのかな。出来れば近付いて事実を確認したかったよ」
 ナッツは項垂れて、小さな溜め息を漏らす。
「なぁ、ヤト」
 呼びかけられて俺は生半端な返事をする。タトラメルツに向かってただいま森を再びマラソン中だからな。
 疲れていない訳ではない。今ぶっちゃけ俺は眠い。しかも俺はその道中ずっとリコレクト出来ないかと無駄に悩んでいた訳で、カロリー消費は半端無い。頭を使うと無駄に疲れるんだよな。
 普段使ってないからだとか言うな、そこ。
「……タトラメルツに行ったら後悔しないかな」
「誰が」
「お前がだよ」
「……何でよ」
「お前はさ、こっちだと凄い前向きでポジティブ思考だから……もしかすると大丈夫なのかもしれないけど。僕はどうしても……ああ、無意味だし無用な心配だとは思うけどやっぱり、混同しちゃうんだよ」
 俺は、彼が何を言いたいのか分かった。
 ナッツは、リアルーサトウハヤトの性格を熟知しているから、そっちの『ヤト』の性格から危惧しているんだ。ナッツは心配してくれているのだろう。タトラメルツに行く事で間違いなく、『俺』がヘコんじまう事実を予測している。だから……その事実を前にして『俺』がくじけてしまう事を心配している。
 その『俺』は、オレなのか俺なのか。
 リアル-サトウハヤトと長い付き合いであるリアル-カトウナツメは、そんな心配は無用だと知りつつそれでも、現実と仮想を取り違えて心配してしまっているんだろう。

 俺も散々迷った事実だからな。
 現実と仮想、二つの世界と二つの思いを混同させてしまう事の無意味さを知りつつ……一瞬迷ってしまう。

 ナッツの気持ちは物凄く分かる。そして、俺以外でもやっぱりそういう取違いで悩んでいるものなんだなと知れて……ちょっと安心したりした。

「ホント、よくもまぁこんなに暴走出来るよなって、俺ぁ自分を関心したね」
 だから笑って頭を掻き、おどけてみせる。大丈夫。リアルならともかく、こっちの俺なら大丈夫。
 大丈夫だと言い聞かせて、俺は無茶を演出する自信がある。どんな事実にも負けたりしない。

 ここは仮想だ、現実とは違う。

 違うというのは重要だと思う。
 違うから、俺はここで嘘も付けるし在り得ない存在にもなれるし、それが許されている。
 それに思いっきり寄りかかってやろうじゃないか。



 ある程度俺の迷いが吹っ切れたのか、そっからはスキップしたみたいだ。
 森を抜けて……タトラメルツ手前にある小さな村にやはり夕方頃に俺達はたどり着いている。
「んー……何だあれは?」
 すっかり暗くなった刻限、白っぽいものが村を取り囲む森の中に沢山連なっている。
「……テントだね」
 ナッツがやや低く呟いた。
「ん?……キャンプ場として有名なスポットだ~とか」
 俺はわざとボケたのではない。
 割と真面目に……と言ったら何だが、本当にテントが沢山立っている意味が分からずにコメントした。
 すると、他全員ボケも突っ込みもせずに俺の顔をじっと見るので……やや慌てて改めてテント一群を見回した。
「にしちゃぁちょっと数が多いか。何?魔法使いの球技大会でもあるとか」
「いいかげんにしなさいよアンタは」
 アベルが大層呆れた溜め息を漏らし俺の後頭部を叩いた。本人は軽くどついたつもりだろうが、俺は途端前につんのめてしまう。だからッ!怪力遠東方人がただの人間を殴るなと言うとろーがッ!
「あれは……」
 ナッツが仕方なく説明しようと口を開こうとした時、突然テリーが驚いて指差した。
「おい、あそこにマツナギが居るぞ」
「え?」

 すっかり暗くなってしまって、鳥目のナッツはほぼ役立たずになっていたんだな。アベルも視力は良いのだが、恐らくその壮絶な方向音痴の為か注意力は散漫である。
 最初に気が付いたのはアインであるらしい。先に匂いで近くにいる事を察して……テリーが彼女の後ろ姿を見つけたと言う訳だ。

「マツナギ!」
 大きなシチュー鍋……給食なんかで使う底の深い鍋を想像してもらいたい……を運んでいた彼女は、俺の呼びかけに物凄く驚いて振り返った。
「……貴方達は……」
 そしてなぜか……睨むのな。
 どうして睨むのか俺には分からないが……テントの一群に近付いてみて俺は、ナッツ達が言いたかった事を薄々と、察しようとしていた。
「……炊き出し?」
 大きな空の鍋を見て、俺は呟く。
 そして、ようやく理解した。

 ここにあるテントは全て……避難民の、か。
 何処から避難して来たかなんて深く考える必要も無い。


 タトラメルツからに決まっている。


「お前は……領主ン所で働いているのか?」
「まさか、タトラメルツに行くつもりなのかい?」
 しかし俺の質問には答えず、マツナギは鍋を手にしたまま俺に一歩近付いた。
「あ、ああ……そのつもりだけど……」
「……行かないで」
 やや睨まれた視線と、低い言葉。
「え?……何?」
「頼むから、タトラメルツには来ないで」
 俺の頭はまだ彼女の言っている意味を理解しない。
「……なんで……?」
「いいから、引き返してよ!お願いだから来ないで!」
 突然悲鳴の様に言い放ち、マツナギは鍋を持ってテントと森の奥へ走って行ってしまった。
 俺は反射的に後を追おうとして慌てて止める。そしてテリーを振り返った。
「何で俺を見る」
 テリーからは怪訝な顔で云われてしまったので慌ててナッツに視線を送ると、ナッツも慌てて視線を逸らしながら言った。
「あー、僕は宿屋でも手配して来るから」
「そうよ、何人の顔窺ってんのよ。さっさと行きなさいよ」
 アベルが腰に手を当てて、マツナギが去っていった方向をびしりと指差した。
 何だよ、折角暴走はなるべく控えようと思って踏みとどまったのに!こういう時に限ってこれだ、ったく。
 俺はすぐさまマツナギを追うべく走り出した。その後を付いてくるのは……アインか。パタパタと羽音がするから振り返ると、小竜は目を瞬かせて言った。
「ナギちゃん、足速いんだもの。何処に行ったか分からないでしょ?あたしが後を追っかけてあげる」
「おーおー、そりゃご親切にどぅも……。何?何で今回は俺が追いかけるの推奨な訳?」
 暗くなって見通しの悪くなってきた森の中、アインの影を追って俺は走りながら聞いてみる。
「だって、ナギちゃんが睨んでたの……明らかにヤトだったけど」
「え?そ、……そうだったか?」
 確かに俺、彼女から睨まれてると感じたな……。
「何か悪い事したのかな」
「何言ってるの。した、に決まってるじゃない」
 アインさん……やけにアッサリ断言してくれますね。
 まぁ確かに、悪いのは俺だよ。
 この際はっきり認めてしまって言いますが……この村を取り囲むように展開するテント難民達だって、俺の所為だって言うんだろ?
 魔王に振る舞った俺の所為?
 俺は、もしかして難民を出すような致命的な破壊をあの町に齎したりしたのだろうか……?
 タトラメルツを破壊したのか?俺が?それで……町を追い出された人がここに……。

 俺は走りながら、胃が竦みあがるような痛みを感じる。

 何でナッツはそれを先に教えてくれないのだろうか?タトラメルツの町がどうやら……ただ事ではない状態に成っている事とかさ。何も知らないでいたら絶対ショックを受けるというのに……連中が何かしてたのではなくむしろ、俺がとんでもない事をやらかしたという事までバラしておいて何故、それを黙ってなきゃいけない。
 そこまでヒドい事を俺はやったのか?
 その仕返しだとでも言うのか。

「ん、近くにいるわよ」
 アインが宙返りして空中でホバリング。俺も足を止めてすっかり村から外れテントも数少ない森の中を見回した。
「マツナギー?」
「……何なの?貴方は」
 声が上から降ってくる。見上げるとすっかり星の瞬く空が見え、張り出した木の枝の上に鍋を抱えたマツナギが幹に背をもたれて腰掛けていた。
 デカい鍋持ったまま走るってのも驚いたが……よくそれを抱えたまま木に登れるよな?流石は森に適合した暗黒貴族種である。
「カオスはさ……あまり強くは言わないけど、私にさっさと貴方達の事を思い出してもらいたいみたいなのだよね」
「お前……思い出したくないのか?」
「ああ、思い出したくないよ」
 マツナギは木々の隙間に見える夜空を見上げるようにして呟いた。
「その、どうして俺を睨むんだ?」
「……ごめん」
 するとなぜか素直に謝られてしまって俺は恐縮した。女の子に対してはあんまり強気な事を言えない男の子の事情を察してくれ。
「いや、別に俺が悪かったのならそれはそれで……」
「よく思い出せないんだ。でも……何でだろう、貴方を見ると警戒心が働く。近付いては行けないって思う。無意識に……怖いのかな」
 俺がマツナギが座っている木に近付こうとしたら途端、振り返って彼女は俺を見た。睨みに近い。
「だからお願い、近付かないで」
「……」
 俺は当然口を曲げてしまうぞ。
 だがなマツナギ。近付くな、と言われれば近付きたくなる。俺は……そういう奴ですよ?
「……なる程、触って欲しく無い訳か」
 小さく口の中で呟いて、どうしたものかと考えていたら。
「なんかエロスな事考えてる?」
 アインが俺の頭の上に着地しながら一言。
「……お前はどうしてそーいう思考になるのだッ!」
 アインさん、すっかりエロボケ担当ですか貴方は。
 嫌がるアインの額に再びでこピンを食らわせて黙らせ、俺はマツナギを見上げた。
 暗闇に僅かな月の光だけが彼女を浮かび上がらせる。銀色の髪はしっかり結い上げられているが……僅かに零れ落ちた幾筋かがキラキラと光っていた。
 何時見てもうっとりするほど美しい。どんな格好でも、どんな姿でも彼女は絵になるもんだな。
 そういや、マツナギは精霊使いの気性を持っているらしい。精霊使い、天然でしか居ないとされる希少な能力者だ。
 貴族種は俗にエルフの事だが、リアルの方におけるエルフ不文律として精霊魔法を使うというのがあったりする。まぁ勿論エルフというのはファンタジー世界共通種族ではない。世界によっては設定も違うんだが……。
 しかしある程度そういうお約束を踏襲する仕様になっているこの異世界。貴族種は俗にエルフの事だから、稀な精霊使いという属性を彼女らが持っている事は割と不思議では無い。
 精霊使いは勘が鋭いと云われている。何が自分にとって脅威なのか、無意識に理解していて行動したりするのかもしれない。

「…………」

 俺はマツナギに気取られない様に腕を回してから、剣の入っていない鞘を何となく抜き取った。
 そして、それを投げつけるという暴挙に出た。
 マツナギは、人間種などとは比較にならない有能種の貴族種なわけですから、余裕で俺の行動がどんな結果に結びつくのか咄嗟に理解出来ずに居るも飛んでくる鞘に注視した。モノが投げられたからといって即座逃げたり動いたりする様な事はしない。そこに危険性を感じればすぐ動いただろうが、俺は……鞘を投げつけて彼女に危害を加える心算が無いからな。
 ともすれば、マツナギはとりあえず静観する事になるだろう。
 ……俺が狙ったのは彼女じゃない。彼女のすぐ傍の木の枝の又に、絶妙な具合で置かれている大きな鍋の方であった。

 ガンという音がして鞘は当たり、枝の上にあった鍋のバランスが崩れる。
 当たり前だ。
 俺はその鍋を下に落とす為に鞘を投げたのだから。

「ちょっと!」
 何をするんだという言葉は続かず、恐らくマツナギは反射的に鍋が落ちるのを防ごうとして手を伸ばし……流石に鍋がデカ過ぎる所為であろう。
 猿も木から落ちる要領でバランスを崩した。
「わッ!」
 それでも木の枝にぶら下がっている状況には脱帽だ。片手で鍋を掴み、もう片方の手と足で枝にぶら下がっている。
「何するんだい!」
「ほら、降ろせ」
 俺は彼女がぶら下がっている下までやって来て、片手でなんとか掴んでいる鍋を受け取るべく両手を伸ばした。状況反射で体勢を崩してくれればいい、でなけりゃ手の届かない木の上から降りて来てくれれば、とか思っていた俺である。とにかく、相手が逃げない様な状況にしたかった。
 片腕で引き上げるには少々鍋はデカすぎるし、引き上げた所で置くべき安定した場所も無い。
 かといって、木の下に降りて俺に近付くのも嫌、らしいからな。
 マツナギは諦めて俺に鍋を渡そうとした。

 俺はその鍋では無く、彼女の伸ばされている無防備な手首を掴んでやった。
 かろうじて手の届く距離にあったんだよ。見事な俺の不意打ちって奴だ。
「……ッ!」
「悪いな、だまし討ちで」
 するりと鍋を持つマツナギの力が抜ける。よって俺は、巨大な鍋を体全体で受け止めるハメになり……これが予想に反してかなり重かった所為でバランスを崩し尻餅をついていた。
「ぐぉッ?何、この重い鍋ッ?」
 流石は魔種、人間とは肉体構成が違います!マツナギお前、こんなクソ重い鍋持って走り回った上に木に登ったのかよ!アベルもそうだがよくもまぁ、その細い腕でこんな重い鍋をぶら下げられるもんだよ本当に!
 鍋に押しつぶされてもがいている俺の隣にマツナギは、するりと着地して来た。
「……ヤト」
「くのッしょっと、」
 俺はなんとか鍋を脇に寄せ、立ち上がろうとしたのだが……その俺を再び押し倒す黒い肌。
「来てしまったのか……ああ、あれから何日立ったんだろう?」
 俺の肩を掴み真っ直ぐ見つめるマツナギと……ま、マツナギ巨乳が最高記録至近距離でありますッ。
 攻撃判定までの距離……推定3ドット!
 頼む、事故よ起これ!
 などと俺が不謹慎にも願った瞬間それは起こった。
 果てしなく柔らかいものが俺の胸に押し当てられ、マツナギは上から押しつぶされる形で俺に倒れ込んできたのだ。というのも、マツナギの背中に乗っかる形でアインさんが歓喜に飛びついた方である!
 うほーッ!
 アイン、グッジョブ!!密かに心の仲で親指を立てて彼女の行動を褒め称える俺。
「ナギちゃん?記憶!記憶、戻ったのよね!」
 別にワザとやった訳じゃないのかな?アインは興奮したようにマツナギの背中の上に飛び乗って首を回して来た。
 でもああ確かに。俺は慌てているマツナギの頭上を見て確かに確認したぞ、プレイヤーがいる事を示す、青い旗が彼女の頭上に復旧した事を。
「ちょっと、アイン!」
 しかし必要以上の接触をしている事を当然と自覚しているマツナギは、すぐさま背中に手を回しアインの長い尻尾を掴んで背中から引き摺り下ろした。そして慌てて起き上がって俺から離れる。
「にゃーッ!尻尾は持たないでってばーッ!」
「ヤトを押しつぶしちゃったじゃないのさ!」
「大丈夫よ。減るものじゃないわ」
 ……前言撤回、アインさん。ワザとですか。
 再び俺は密かに背中でグッジョブと親指を立てておいた。


「何だ、単純だったのね。呪いが解けるのは『接触』だけで良かったんだ」
 アインはマツナギから抱きかかえられ、首を回して同意を求めるように俺を向く。
「呪い?」
「そう。あたしが精神分離してたり、テリーが野生化してたり、ナギちゃんが記憶喪失なのは全部呪い」
「誰のだよ」
「……事情を説明してないのかい?」
 と、マツナギ。そう言ったっきり、なぜか気まずそうな顔をする。
「……まさか、その呪いも俺の所為だとか言うなよ?」
「ある意味そうよね?」
「いや……そう、かな?」
 アインの同意に対しマツナギは戸惑った様に首をかしげている。
 俺達はずいぶん村から外れた所に居たらしいな。テントの立ち並ぶ中を、村に向って歩いている。
「ナッツとアベルは?」
「なんとか免れたみたいだけど……でも結局それってアレよね。ぜぇんぶ『彼』の予測通りだと思わない?」
 アインの言葉にマツナギは、険しい顔になって俯いた。
「……お前ら、何の話をしている?」
「ヤト……それでもやっぱりタトラメルツには行くべきじゃない」
 マツナギは顔を上げ、俺を真っ直ぐに見て言った。
「お前はあそこに、引き返しては行けないんだ」
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